ベトナム、バングラデシュ、ミャンマーの3カ国で、それぞれソフトウエア開発を手掛ける日系の3社が業務提携し、共同受注や人員交流などを通じたシナジーを発揮して、開発規模を拡大させる。3カ国を「アジアIT開発ベルト地帯」と名付け、今後のアジアでのエンジニア開発市場の発展につなげる。
今回提携したのは、オフショア開発を手掛けるエボラブルアジアとBJIT、サイバーミッションズの3社。オフショア開発とは、海外にソフトウエアの開発業務を委託すること。日本より割安な労働力を活用し、システム開発コストの削減を図ることができる。
エボラブルアジアは、ベトナムでオフショア開発を手掛ける業界最大手。BJITは、バングラデシュのオフショア最大手で、サイバーミッションズはミャンマーに拠点を構える。
日本では大規模プロジェクトの集中による受注増が予想され、エンジニアの不足が2015年問題として懸念されている。また20年の東京五輪、ビッグデータの活用なども人材不足に拍車をかけている。今後さらに深刻になることが見込まれることから、オフショア開発市場の活性化を図ることを目的として締結に至った。これによって各社の経営資源の共有、営業での協力に加え、クラウドを利用しての開発で大型案件の受注などを狙う。
日本におけるシステム開発市場規模は10兆円とされ拡大傾向にあるが、オフショア比率は1%にすぎない。対して欧米では10%とされ、日本での普及の遅れが顕著になっている。
しかし東南アジアへのシフトを進めることで、将来的にはオフショア開発比率を欧米並みの10倍に伸ばすことを目指している。
ベトナムはIT輸出を基幹産業に育てようとしており、うち輸出額全体の60%が日本向けとなっている。バングラデシュは大学教育が英語であるためネーティブ並みの語学力を持つエンジニアが豊富。ミャンマーはオフショア開発先最後のフロンティアとされており、人件費の安さと今後の経済の成長性から、最も注目されている国の一つ。
日本と各国との関係についてエボラブルアジアの吉村英毅社長は「3カ国とも真面目で勤勉な親日国」と評している。(佐竹一秀)
【会社概要】エボラブルアジア ▽本社=東京都港区芝3-5-5 芝公園ビル6階 ▽資本金=2億1500万円(授権資本2億3500万円) ▽従業員=グループ全体579人(2015年1月5日時点) ▽事業内容=オフショア開発、オンライン旅行など
【会社概要】BJIT ▽本社=東京都中央区八丁堀2-19-8 長谷工八丁堀ビルB1 ▽資本金=2億4810万円 ▽従業員=グループ全体220人(2014年12月1日時点) ▽事業内容=オフショア開発、オンサイト開発、ラボ型開発
【会社概要】サイバーミッションズ ▽本社=横浜市中区本町1-3 綜通横浜ビル5階 ▽資本金=1000万円 ▽従業員=グループ全体100人(2014年12月1日時点) 事業内容=ITサービスなど
「フジサンケイビジネスアイ」