DXサロン(株式会社カトルセ) 代表取締役   橋本 健太郎

企業がこれからの時代を生き残る鍵は「DXと仲間」にある

ITのプロとコミュニティで企業のDXを支える「DXサロン」が、2023年1月のサービス正式スタートに先立ち、メンバー募集を開始した。専門家によるサポートとコミュニティの提供により、企業のデジタル化対応を支援。DXを学び実践し、さらには仲間と新たなビジネスを生み出す場に、サロンを育てていく。「DXサロン」のコンセプトとサービス内容について、運営者のカトルセ代表取締役・橋本健太郎氏に話を聞いた。

IT担当者のいない会社が、DXの知識やノウハウを仲間と学ぶ

――「DXサロン」はどんな企業、どんな人にお勧めですか?
メインはIT担当がいない会社の経営者、経営幹部の方です。これからの時代は、企業がIT化に対応できなければ、本当に生き残れなくなると思います。きちんとした知識がないままDXを進めると、いざというときに対応ができません。実際、私が以前ITサポートをさせていただいた年商約50億円、従業員数100名弱の企業でもそうでした。
従業員のほとんどが作業員でIT担当がいないため、過去に導入した業務システムの詳細がわからない。だからITベンダーも、その企業がシステムについて言っていることが正しいのか間違っているのか判断がつかない。システムを更新したいという要望はあっても、どう新しくしたいのかについて自分たちで仕様をまとめられない。したがって、コストがどれぐらいかかるのか検討もつかないという状態でした。
主に、そういう企業をサポートしたいと考えています。
――サロンの加入者に、どんなメリットがありますか?
「DXサロン」では主に、DXリテラシー教育、デジタルマーケティング、交流・ビジネスマッチングの3つの活動を行います。
まず、DXに関する基本的なの知識を、オンラインセミナーで学んでいただくことができます。たとえば、ライトなシステムを導入することで、生産性や利益率の向上にどう結びつくのかといった「守りのDX」についてですね。
今まで現場でエクセルのワークシートを作り、それぞれ処理していたことも、こんなシステムを導入すれば、作業を自動化し全社で情報を共有できる、といったことなどです。
スクール形式でどんどん講義を進めるのではなく、ある程度のノウハウをお伝えしたあと、テーマを設け、メンバーの企業の皆さんに実際に試していただこうと考えています。そして、その結果を「生きた教材」として持ち寄り、メンバーで共有していただくのです。
――自社の事業にDXを導入する際に役立ちますね
でも、知識を得ただけでは、DXは実践できません。そこで、私と当社のデジタルマーケティングコンサルタントの森(一彦氏)が中心になり、メンバーとシステムベンダーとのやり取りをサポートしたり、この領域のソフトウェアやシステムでは、どんなものがお勧めかといったことをお教えしたいと考えています。
IT担当者がいなくても「DXサロン」に加入していれば、情報システム担当のスタッフが非常勤でサポートしてくれる、というようなサービスを提供していきます。 (*フリープラン、ライトプラン、プレミアムプランがあり、それぞれサービス内容が異なります。詳細は「DXサロン」のホームページを参照下さい)
「DXサロン」のホームページ。主にIT担当者がいない企業に向けて、DXリテラシー教育、デジタルマーケティング、交流・ビジネスマッチングを行う。当初は100人を目標に会員を募集。ホームページの問い合わせフォーム、公式LINEアカウントへのリンク、申し込みフォームからアクセス可能。

「貴社のSNSアカウントのフォロワー数は何人ですか?」

――DXを導入する前に、どんなことにどうITを活用すれば、生産性や収益性が向上するのかを学べる機会を持つことは大切ですね
はい。「DXサロン」」のDXリテラシー教育の1つにSNSの運用があります。SNSをなかなかうまく運用できていない企業が多いので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
――企業のSNSの運用に関する悩みには、たとえばどんなものがありますか?
今はどの会社もWebサイトを持つようになり、ある意味、Webサイトが名刺代わりになりました。それが徐々にSNSに移行しており、企業がSNSでどんな情報発信を行い、それに対してどんな反応を得ているかが重要になっています。
たとえば、多くの企業がSNSアカウントやYouTubeチャンネルを持つようになる中で、フォロワー数が何人いて、動画が何回再生されているのか。
企業側からの一方的な発信だけでなく、双方向のコミュニケーションツールであるSNSの運用状況が、その企業は信頼できる会社なのかを判断するうえで重要な指標になり始めているのが今の流れで、さらにその傾向は強くなると思うのです。
その意味で、企業の公式アカウントはもちろん、経営者や営業担当者などがTwitterやInstagramのアカウントを持ち、そこが盛り上がっていることが大きな武器になります。
逆に、アカウントに対する反応が鈍い、放置された孤独なアカウントになっている状態では、SNSでいくらいいことを言っていても「この人は大丈夫なのか?」と思われてしまうかもしれません。
――その場合、どんなアドバイスを行いますか?
一般に、SNSアカウントにフォロワーが集まらない、あまり反応がないという場合、まずはフォロワーをこう集め、フォロワーが増えたところで、こんな方法で反応を高めていきましょうという提案を行います。
――「DXサロン」では、デジタルマーケティングについてどんなサポートを行いますか?
サロンで運営する、Twitterを始めとする各種SNSアカウントや動画チャンネルを、メンバー企業のPRに利用していただくことができます。今話題のNFT(非代替性トークン)を活用した最新のマーケティング手法もサポートしています。
企業の悩みは売上・集客か人の問題に二極化していることが多いので、人を集め、売上をしっかり立てるためにWebやSNSをうまく使っていくことが大事です。当社のデジタルマーケティングコンサルタントの森も私も、デジタルマーケティングに詳しいので、お役に立てるのではないかと思います。

サロンの本当の醍醐味は、新規ビジネスの創造にある

――橋本さんは「これからのビジネスにはDXと仲間が必要です」と話しています。「DXサロン」を通じて、メンバー企業のビジネスがどんな良い方向に変わっていくことを目指していますか?
DXの基本的な知識に加え、デジタルマーケティングによる集客方法や売り方のノウハウを共有し、実際にチャレンジしていただきながら、みんなで少しずつよくなっていくというようなサロンにしていきたいですね。
最初の段階では私と森で対応できると思いますが、会員数が増えたらDX全般のQA(品質保証)ができるメンバーを揃えて事務局を作り、最終的には会員同士だけでノウハウや失敗事例を共有できるようなファシリテーションをしていきたいと考えています。
それ以外にも「DXサロン」の醍醐味として、異業種の企業によるコラボが挙げられます。たとえば小売業と医療関連の企業が連携したら、何か新しい事業ができるのではないかと思いますね。
――今、醍醐味とおっしゃっていましたね
DXでITツールを導入して生産性を向上させるというのは当たり前で、異業種のメンバーがそれぞれ持っているリソースを共有し、新しい事業やサービスを生み出せるのが、DXの一番の醍醐味だと思います。
――新商品や新サービスの開発は、企業が単独で行うのが普通です。でも今は、ネットのコミュニティなどから新しいビジネスが生まれるようなエネルギーが、高まってきているような気がします
そうですね。そういうことをやるのが一番楽しいと、私は思います。私自身、新規事業が好きなので。
私が代表取締役を務める株式会社カトルセで、XRやAR(拡張現実)、3DのCGやVR、AI関連のシステム開発を手がける一方、お客様から新規事業のご相談を受けることも少なくありません。新規事業にはITシステムがからむことが大半で、「新事業×システム」のようなプロジェクトになることが多いのです。
――サロンがきっかけになり、新しいものが生まれるかもしれないと考えると、ワクワクします
そうですね。何か新しいものが生み出されるときに、ITがあるとコラボレーションが加速すると思います。
ITがあると、異業種のメンバーとの情報共有はもちろん、お互いの持つリソースが共有しやすくなります。コラボレーションを通じて生まれた商品やサービスを売り出すときも、今まででは考えられなかった層にアプローチすることも可能になるでしょう。
あとは、「こういうことをやりたいのだが、現実的にはできないのではないか」と思っていたことも、「具体的にこういうツールをこう使えば実現できる」という提案が、ITのスペシャリストから出てくると思います。

「Twitter×応援オンラインサロン」での経験を活かす

実際に、私が主催しているTwitterのコミュニティでも、「こんな事業をやってみよう」という話がメンバーのあいだで盛り上がり、実際にプロジェクトが進行しているものもあります。「DXサロン」でも、そんな動きをたくさん生み出せたら楽しいでしょうね。
――それは、どんなTwitterのコミュニティですか?
昨年末に「Twitter×応援オンラインサロン HOMIES(ホーミーズ)」というコミュニティを開設しました。メンバーは現在約240人ですが、1000人以上の規模には育てていきたいと思っています。
もともとシステムの開発受託をメインに手がけていた私は、一緒に仕事をしてくれる人材を探すためにTwitterを活用していました。プロジェクトマネジメントやシステムエンジニアリングができる人たちとの輪を作ろうと思っていたのですが、自然な流れの中で、さまざまな職種の人たちと数多くの交流が生まれてきたのです。
SNSが素晴らしいのはまさにそういうところで、将来的にやれればいいなと思っていたオンラインサロンを、Twitterの中で作ることになりました。
――Twitterのオンラインサロンは、どう盛り上がっているのですか?
Twitterのユーザーには、今副業をしているとか、起業を目指している個人の方が数多くいます。そういう人たちと数多く知り合い仲良くなったので、彼らに起業や個人が法人とビジネスを行ううえでのポイントを学んでいただけるサロンを作りました。それが10カ月程度で、会員数約240人の規模に成長したわけです。
サロンでの交流の中で自分自身、初めてわかってくることも数多くありました。私はシステム系の話題やWebマーケティング、Twitterの運用などについて積極的に情報発信してきましたが、サロンを通じてそれ以外の多くのことを自分自身も学び、メンバー同士も学べる環境ができたのです。
おそらく同じようなことが法人にも起き、DXやシステム構築の話題を中心にさまざまなことが学べ、コミュニティの中から新しいビジネスが生まれる場ができるのではないかと考えました。
――個人が集まるTwitterのサロンが盛り上がる中で、企業向けの「DXサロン」を作ろうと思ったわけですね
そうです。私は、もともと自分のやりたい事業などに協力してくれるメンバーを集め、育成できればと思っていたのですが、サロンの中から派生的に、新しい動きがどんどん生まれています。
たとえば、私があまり得意ではなかったLINEや、LINEマーケティングツールの「Lステップ」の運用にとても詳しいメンバーがいて、彼がセミナーを主催して他のメンバーにマーケティングを教えるという動きも起きました。
サロンというと、何か「怪しいのではないか」と思う人もいるかもしれません。でもサロンで実際に起きているこうした動きについて話すと、「面白そうだ」とみんなが言ってくれます。
――この記事を見た読者の皆さんにも、サロンの面白さや、ビジネスチャンスが生まれてくる可能性を理解していただけるといいですね
そうなると嬉しいですね。「Twitter×応援オンラインサロン HOMIES」には、WebやLINEでマーケティングを手がけて会社を何社も経営している人もいれば、SNSでの集客を強化したいのでTwitterをやり出したという人もいます。
その一方で、興味深いのは「HOMIES」の有料エリア(無料エリアも併設)に加入しているのに、自分が何をやりたいのかが定まっていない人もかなりいるということです。私たちのサロンに加入して下さるのは、自分のやりたいことや求めていることが具体的にある人ばかりだと思っていたのですが、必ずしもそうではありませんでした。
自分のやりたいことがまだ定まっていない中で、人とのつながりを求めてサロンに来て下さっている人たちが、メンバーの誰かが「こんなことをやりたい」と言って手を挙げると、積極的に協力し、作業を手伝ってくれるのです。
おそらく法人向けの「DXサロン」でも、同じようなことが起きると思います。新しいことをやりたいと漠然と思いながら、なかなかできていないという企業の方も少なくないでしょう。そういう人たちが、サロン内で「これをやりたい」と一所懸命頑張っている企業の姿を見て、刺激を受けて変わり出すことに期待しています。

ゆくゆくはサロンを「商圏」にも育てたい

「DXサロン」の中から、仮に自社の既存ビジネスが行き詰まっても生き残れるような、新たなビジネスチャンスを見つけていただきたいと思います。
――会社の中で閉じたDXなり新規事業だけでなく、これからはコミュニティの中で自然発生的に生まれてくるものの中から、新しいビジネスの芽が出てくるかもしれないという点が重要ですね
だと思います。たとえば大手企業で新規事業を始めるときには、コンサルティング会社の人が来て、企画職の社員が集まってアイデア出しを行い、点数をつけて成績のよかったものを採用することが多々あります。それよりも、業種も業界も異なる会社の人たちが5人ぐらい集まってブレインストーミングを行うほうが、斬新なアイデアや事業プランが出てくるのではないかと、私は思いますね。
――「DXサロン」に興味のある人は、どうアプローチしたらいいですか?
ホームページ(https://dx-salon.com)に設けた問い合わせフォームや申し込みフォーム、あるいは公式LINEアカウントに登録していただければと思います(ホームページから登録可)。
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが主催するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は、会員数約3万5000人と日本一の規模です。その中から絵本、映画、イベント、個展などのさまざまなプロジェクトが生まれてきました。同サロンを活用した集客やマーケティングは、西野さんが制作・プロデュースした作品などのヒットに大きく貢献しています。
面白いのは、このようにコミュニティが成長していくと、その中で回る商圏のようなものが生み出されるということです。サロンのメンバーにしてみれば、会員が増えれば増えるほどビジネスチャンスが広がっていくというイメージで、メンバー向けに割引価格を設定し、物販を行うこともできるようになるでしょう。
――コミュニティのメンバーは、ある価値や考え方に引かれて集まってきた人たちなので、商品やサービスのプロモーションも、不特定多数に向けて行うより効率的かもしれません
そう思いますね。そういうことができるようにするために、サロンの会員を増やしていきたいと思います。最初は数十社から始めて100社を目標にして、最低限1000社ぐらいの規模には広げていきたいですね。

 

「取材・構成 ジャーナリスト 加賀谷貢樹」
橋本 健太郎(はしもと・けんたろう)
DXサロン(株式会社カトルセ) 代表取締役
2019年起業。システム開発の企画、プロジェクトマネージメントを主な事業としながら、IT顧問、DXコンサルタント、SNSマーケティング、XRサービス、NFT×メタバースマーケティングと多方面に事業を拡大している。
2022年からは、ギフト・リフォームECサイト事業、Twitterオンラインサロン事業を展開。 大手住設機器メーカーのシステム開発に長く従事し、「XR・3DCGを活用したプレゼンテーション」「複雑なコンフィグレーションが必要なシミュレーター・見積機能」「基幹システム連携」などの開発や新規事業・SaaS開発に多く携わった。 攻めのDXは企画立案から、守りのDXは海外ベンダーの調査・評価まで幅広く対応可能。IT・システムの知識が無いクライアントを高いコミュニケーション力で支援します。

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