株式会社PDCAの学校 代表取締役   浅井 隆志

結果の出るPDCAの進め方を伝授 中小企業の営業人材を高度化

売り上げや販路の拡大をどう実現するのか。これは企業にとって大きなテーマだが、重要なのはそれを実現するための施策であり、その施策を立案して実践する人材だ。しかし、実践して結果を出せる人材を育成できている企業は多くはない。特に中小企業でその傾向が強い。そんな企業向けに“結果の出る営業”“結果の出せる人材”を育てる教育・研修サービスを提供してきた「セールスの学校」は、今後“結果”をより強く意識した教育を深耕するという。同社の浅井隆志代表取締役に、近年の研修事情や“結果を出せる人材”の育成などについて聞いた。

――社名にもなっていますが、セールスを含めた営業力強化を実現するための研修サービスを中小企業などに提供してきました
われわれの研修サービスは、大きく新入社員向けと管理職向けに分けられます。以前は講義中心の展開でしたが、近年は実務上の目標を決め、目標管理をしながら半年かけてその目標の実現を目指すという実践的な要素を強めています。
新入社員向けの研修では、結果を出すためのプロセスを伝授することが必要で、そのための目標管理の進め方、特に、PDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)の進め方を重視しています。要は、より“結果を出す”ことにこだわっている、というわけです。研修というより実務の目標達成のために伴走しながら指南をしていくコンサルティングが本質です。このコンサルティングと講義が合わさったハイブリッド型の社員教育です。
――営業力のアップはついつい精神論や根性論になりがちです。加えて、人材不足が叫ばれる中小企業では営業ノウハウの蓄積や伝承も難しいですね
現在提供している研修サービスは1社1人から参加が可能となっています。このため、他社からの参加者との人的交流も可能になるなどのメリットもあります。社内の指導も促進させるために、上司も一緒になって目標設定や目標管理を進める上司巻き込み方式でもあります。これがコミュニケーションの向上に大きく役立つほか、目標に対する認識を共有することにもつながります。
ビジネスは、地域や商品、トレンドがニーズにマッチしただけでも成長することがあります。そうした場合、なにが奏功したのかなど、ビジネススキームや戦略の重要性に気づきにくい。研修では、そういう特殊事情などを排し、ビジネスの基本となる戦略立案の方法と進める上での目標管理、特にPDCAの動かし方を習得できるよう進めています。
――折しも新型コロナウイルス禍で、オンライン化など新たな要請も多くなってきました
われわれもオンライン研修をラインアップしています。しかし、こうした研修に限るとオンラインの需要は少ないように感じます。一部にはオンライン研修を大きく伸ばしている研修会社もありますが、中小企業向けなどでは対面を軸とした研修の人気が依然として高い。テレワークをはじめとするオンライン化は進んでいますが、逆にこうした研修が貴重なリアルコミュニケーションの機会ととらえられているのではないかと思います。
ただ、内容面の変化はうかがえます。テレワーク下では進捗など業務遂行の過程が見えにくくなります。このため、プロセスを軽視し、結果だけで判断しやすくなるわけです。結果をより強く求める傾向が出やすいわけですが、結果を導き出すためにはプロセスが重要となります。そんなこともあり、研修は結果を強く意識した、結果のためのプロセス、PDCAを学べる内容にしています。
――今後の展開、展望をどう考えていますか
最近では、講義など研修サービスの提供にとどまらず、より広い目標達成や人材育成に向けたコンサルティング要素を含むサービスに対するニーズが高まっているように思います。今後は、そうしたニーズにも応え、結果を導き出すPDCAの実践を軸に、人材育成を含むコンサル型のサービス提供も目指すことにしています。社名についても、現在のセールスの学校から「PDCAの学校」に改め、方向性をより鮮明にする考えです。
企業にとって人の重要性は高まる一方です。労働人口が減少を続ける中で、この傾向はますます強まっていくことでしょう。しかし、中小企業ではそもそも十分な人材の確保も難しく、やっと採用してもなかなか定着しないという課題もあります。
そんな中小企業の人材育成は国や社会にとっても大きなテーマです。これからも、人材育成という視点から中小企業の支援、成長につながる支援を続けていこうと思います。
浅井 隆志(あさい・たかし)
代表取締役
1976年、東京生まれ。
高卒で建具職人から住宅会社の営業マンに転身。
売れない営業マン時代を長く過ごすが、独学で自身の営業理論を築き上げ、業界でもダントツの業績を達成する。管理職として組織構築や人材育成に携わり、営業の超効率化を推進し、在籍していた会社を業界のトップリーダーに育て上げた。
マーケティングや事業戦略にも精通し、33歳で起業。現在は4法人1団体を経営し、グループ合計で従業員は73名にのぼる。なかでも「セールスの学校」の躍進は目覚ましく、新人教育分野で研修の開催数が国内トップレベルに躍進。精力的に全国を飛び回り、講演活動や研修講師として活躍を続けている。

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