株式会社インテグリティサポート 代表取締役 桐明 幸弘

公開日:2021年5月14日

宿泊業の事業承継、早期準備を訴え

インテグリティサポートが、旅館、ホテルの事業再生や事業継承の支援で活躍の場を広げている。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛などで宿泊需要が落ち込み、経営不振に陥っている宿泊業界への的確な対応が評価され、昨年12月には事業承継支援を手がける「ファミリービジネス事業承継研究所」を立ち上げた。桐明幸弘代表取締役は「企業経営の最大のリスクは事業承継」と指摘、後継準備に早期に取り組む必要性を訴えた。
--コロナ禍の影響は
「感染拡大前は、主に設備投資を伴うリニューアルやリノベーションの進め方について資金調達や事業計画策定をアドバイス。事業再生に伴うM&A(企業の合併・買収)支援も行っていた。コロナ禍を受け、ホテルを中心としたホスピタリティー業界のプロマネジャーを養成する『宿屋大学』で昨年4月の緊急事態宣言発令直後、『ホテル・旅館の資金繰りと事業継続について』という緊急ウェブセミナーを開催。このように資金繰り対策の相談に乗っている」
--資金繰りの他ではどんな相談が増えているのか
「コロナ禍による売り上げ低迷やそれに伴う将来不安から廃業を決めるホテル、旅館が多くなっている。このため今後は事業継続に向けたM&Aや円滑な廃業支援に注力する。JTB協定旅館ホテル連盟から依頼を受け事業承継の講演ビデオの作成にも乗り出した」
--経営者に訴えたいことは
「事業承継の準備をしておくこと。資金繰りが悪化してから事業承継を相談する企業が多いし、相談を受けた弁護士や公認会計士など士業のコンサルタントの中には安易にM&Aに走るようなケースも見受けられる。しかし事業承継は一過性のイベントではない。準備して承継するには十数年かかる」
--準備とは
「息子や娘と事業承継について話し合っていない。事業を継ぐ意志があっても親(経営者)は『後継者がいない』『継がせたくない』と思って子供たちに継がせることを検討することもなく売却している。売った方がいいと進める仲介業者がいるからだ。当社は売却側に立って正しい売り方をアドバイスする。売り物のPL(損益計算書)を見て素材(担保価値)のまま市場に出すことはしない。債務超過でも将来のキャッシュフローを生むことが期待できる事業価値があるなら、いい相手を探し出して事業を継がせる。人材などPLでは見えない価値を大事にする。支援するのは事業を存続させるためだ」
--ファミリービジネス事業承継研究所とは
「独立系のホテルや旅館の多くがファミリービジネス(親族経営)ということもあって昨年12月に立ち上げた。企業経営の最大のリスクは事業承継。社長が亡くなるとつぶれる企業が多いのは、後継者準備をしていないからだ。息子を急遽呼び戻して継がせるケースもあるが、リスク管理ができているとはいえない」
--必要なことは
「ファミリービジネスの事業承継のプロセスでは『ビジネス(経営陣)』の承継に必要な要素として『株主(オーナーシップ)』『ファミリー(家族・親族)』が加わる。この3要素が重なりあうので複雑化するし、コーポレートガバナンス(企業統治)とファミリーガバナンス(家族統治)がそろわないと事業承継は難しくなる。3要素が互いに関連してシステムとして経営されることが重要であり、全体最適を考えて議論を進めることが求められる。それには全体をファシリテート(合意形成)する必要があり、士業は難しい。M&A仲介のプロであるわれわれの出番といえる」

きりあけ・ゆきひろ 西南学院大学法学部卒。1980年東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行。90年レコフ、2001年監査法人トーマツを経て05年インテグリティサポートを設立し社長。64歳。福岡県出身。

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