三ッ輪ホールディングス株式会社 代表取締役 尾日向 竹信

公開日:2021年1月22日

エネルギーの新しい価値を創造する

1940年の創業以来、社会インフラである家庭用エネルギーを提供してきた。創業時は、かつてはどの家庭にもあった七輪や火鉢に用いる練炭を製造・販売、炭の時代が終わると石油やガスに進出、「みつばちガス」の名称でおなじみの家庭用LPガス事業は販売代理店を通じて顧客網を拡大した。LPガスはボンベを各家庭まで運び、点検・検針のために毎月のように顧客と対面するため親密な関係を維持できる。この強みを生かして、エネルギーの自由化に伴う競争激化の中で、エネルギー以外の商材に着目、宅配水やリフォームに参入することで「生活提案型企業」に変身した。さらに地域を豊かにする「くらし事業者」にかじを切るとともに、2019年10月にホールディングス体制に移行。「ヒトのちから」と「テクノロジーのちから」を掛け合わせることで、エネルギーの提供を通じて新たな価値創造に注力する。
電力小売で地方創生
――注力していく事業は
「強力な顧客販売網を生かした事業として力を注いでいるのが電力小売だ。中でも地方創生や社会課題の解決に多角的に取り組んでいる。その一つが、サッカーJリーグの鹿島アントラーズのホームタウン(茨城県鹿行地区)で18年に始めた『アントラーズホームタウンDMOでんき』。観光客を呼び込むDMOの地方創成活動に賛同・共感するホテルや旅館、工場など法人、個人が申し込むと電気料金が削減される。さらに電気料金の一部がDMOの活動財源となる。エネルギーを資金調達ツールとして活用する地方創生型の新しい電力販売を実現した」
エネルギーとテクノロジーを掛け合わせる
――このほかには
「19年からは、共通の営業エリアを持つ小田急電鉄と業務提携し「魅力ある地域作り」の実現へ、協業中だ。小田急線沿線を中心に『小田急でんき・ガス』を提供。地域最安値クラスの価格に加え、24時間対応の駆けつけサービスも用意し安全・安心も備えた価値ある電気とガスを実現した。また岐阜県・飛騨高山エリアの電子地域通貨『さるぼぼコイン』の普及促進のため、さるぼぼコインで電気料金を支払えたり、ポイントを受け取ったりできるプランを18年から提供、契約者が還元されたポイントを使うことで地域経済の活性化にも寄与できる。これこそまさに、エネルギーとテクノロジーを掛け合わせて、これまでと違う新しい価値を提供することにほかならない」
「電気料金に応じてビットコインが付与されたり、支払いにビットコインが使用できたりするサービス『コインチェックでんき』を16年に開始した。当時、ビットコインで公共料金が支払えるサービスは日本で初めてだった。ブロックチェ―ン(分散型台帳)技術の活用では、一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアム(NEXCHAIN)に20年11月に参画した。従来は不動産、エネルギー、保険など同業界のみでお客さまデータを保持・活用してきたが、お客さまにとってシームレスで快適なサービスを提供するためにはブロックチェーン技術を活用した異業種間の連携が不可欠と判断した。また、20年12月には不動産業界との連携で引っ越したお客さまがスムーズに新生活をスタートでき、管理会社の業務負荷軽減を実現するテクノロジーソリューション「CLS(クラス)」もリリースした。このように、さまざまな事業活動を通じて提携事業者とともに社会や地域課題の解決に取り組んでいき、私もオーナー企業のトップという強みを生かしスピーディーに新しいことにコミットする。これが当ホールディングス体制の売りだ」
環境保全にも貢献
――菅義偉首相が「50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする」と表明した
「エネルギーの価値は環境で色付けされる時代が到来する、このため、われわれは価値創造企業として『グリーンプラン』をつくった。グリーンプランとは、当社グループ企業が供給する電気にJ-クレジットの環境価値を付与することで電気の使用量に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を相殺し、実質的にCO2フリーの電気を供給するという環境に優しい電気料金プラン。20年10月から業界初のサービスとして提供し、小田急電鉄でも『小田急でんき』の新プランとして『小田急でんきグリーンプラン』が開始した。。そして、12月からは日本初のCO2フリーのLPガスプランの提供を開始した」
尖った異能者を採用
――新たな価値創造を続けるには多彩な人材が必要だ。人材の採用・育成は
多様な人材が評価され活躍する組織であってこそ、継続的に価値を創造できるが、既存組織が既存事業の指標で社員を評価しているだけでは到達できない。社員の定量情報と定性情報を多面的に集積・見える化し評価の材料にしていく必要があり、当社では、人事領域でのテクノロジー、ヒューマンテックの実装に挑戦中だ。中途採用、特にその中でも尖った異能者の採用にこだわっており、めぼしい人材には私自ら一次面接から対応し一本釣りする。組織にハレーションを起こすかもしれないが、フィットすると会社が変わる力になる。。社内ベンチャーの三ッ輪ビジネスソリューションズの社長は入社3年目を抜擢した。室内プール用のLED照明を協業開発するなど独自性に拘り、1年目から黒字経営を実現した」
「年次の浅い社員でも能力と意欲があれば、大きな裁量を持った責任のある仕事に携われる。新しい事業を創り上げるのは負荷が高いが、そう感じない社員が少なくない。一本釣りの成果であり、新卒組に刺激を与えている。失敗しても構わないので、何事にも挑戦する人材育成に力を注いでいく」

尾日向 竹信(おびなた たけのぶ) 1980年生まれ。慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修了。その後入社した野村総合研究所ではコンサルタントとして活躍し、2007年5月三ッ輪産業株式会社に入社。 三ッ輪液化瓦斯株式会社の代表取締役を経て、2015年11月に三ッ輪産業株式会社の代表取締役に就任。 2019年10月には三ッ輪ホールディングス株式会社を設立し、代表取締役に就任。

キーワードから企業を探す
地域から企業を探す
注目企業ランキング< 週間 >