株式会社FooLaiBo(フーライボー) 代表取締役 三浦 隼

公開日:2020年9月25日

「オンライン商談」は、営業をアップデートしクリエイティブにするツール

先を見据えてオンライン商談を導入する企業が増加
――今年5月頃からオンライン商談に関する相談が増えているそうですが?

 

三浦 オンライン商談は、じつは約3年前から徐々に普及し始めていました。ところが新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、お客様への訪問が難しくなり、その間、営業活動をストップせざるを得なくなったケースも少なくありません。こうした状況の中、オンライン商談への対応の必要性を痛感した企業から、問い合わせや相談をいただくケースが増えています。

 

――どんな企業からの相談が多いですか?

 

三浦 2つのパターンがあります。1つはIT企業やベンチャー企業からで、すでにシステムを導入し、オンライン商談ができる体制にあったにもかかわらず、実際にシステムを運用してみたところうまく扱えず、オンライン商談できちんと契約や成約が取れるように機能を改善・強化したいというもの。
もう1つは非IT系で、これまで訪問営業だけでやってきた大企業などから「新たにオンライン商談を導入したいのですが、その方法を教えてほしい」という相談をよくいただきます。そのいずれかが多いですね。
緊急事態宣言が解除されたあと、世間的にはいったん訪問や出勤のスタイルに戻った感はありますが、いつまたコロナ禍や震災などの自然災害に見舞われないとも限りません。また企業で働く従業員たちが、世の中には在宅でも仕事や営業ができる人たちが数多くいることを知った以上、それに対応しなければ、「うちの会社は遅れている」と思われ、会社を辞められてしまうという事業環境の変化もあるわけです。そこで、先を見越してオンライン商談を導入し、いざという時に対応できるようにしておきたいという相談が今、とくに中小企業や非IT系の企業から寄せられています。

 

――どんな業種での導入ニーズが多いですか?

 

三浦 オンライン商談に親和性の高いのは、訪問しなくても売りやすい商材を扱う企業です。たとえばWebサービスや私のようなコンサルティング業、あとは人材紹介業ですね。
コップのような日用品や工業製品は実際にモノを触ってもらわないと売りづらいですが、人材紹介業では人材の履歴書を見ながらお客様と話ができますし、コンサルティング業やWebサイト制作業、Webツール販売業も形を伴わないサービスや商品を扱っています。
結果的に、もともとオンライン商談を導入していた、もしくは導入したがうまく使いこなせていないというお客様は、ITもしくは人材領域の企業であることが多いですね。
これから新たにオンライン商談を導入したいとか、オンライン商談について教えてほしいというケースとしては、非IT系で無形の商材やサービス、たとえば弁護士や行政書士などの士業が多いでしょう。物販については今のところニーズはそれほど多くありませんが、自社でどんなオンライン商談ができるのかというイメージがなかなかつかめないと思うので、こちらからもっと積極的に説明していく必要があります。

 

――すでにシステムを導入した企業で、オンライン商談が必ずしもうまくいっていないのはなぜですか?

 

三浦 たとえば訪問営業では雰囲気作りがうまく、ある意味、場の空気をコントロールするのが得意な人であっても、オンラインでつながると萎縮してしまうとか、目線が動いてしまって、とても訪問営業の時のような対応ができないことが多々あります。私自身は、オンラインでも訪問・対面でも、営業の本質は変わらないと思っていますが、実際には対面・オフライン営業とオンラインの営業では、やり方に若干違いがあり、そこに慣れていない人が非常に多いのを痛感しています。

 

――そうした企業のニーズや課題に対し、どんなコンサルティングを行っていますか?

 

三浦 基本は、訪問で行っている現在の営業をできるだけ大きく変えずにオンライン商談に置き換えるのが理想的で、そのほうが変化も少なくてすみ、導入もスムーズです。そこでまずは今の営業スタイルを、従業員のITリテラシーなども含めてお聞きすることから始めます。
次いで、オンライン商談用ツールの価格や機能、使いやすさや使いにくさなども含めて説明し、その企業にとって最適なツールの選定のお手伝いをさせていただいています。
さらに、ツールが揃ったあとは、皆さんが実際にオンラインで営業ができるように、ツールの操作や使い方をレクチャーしたり、本番前に私とオンラインで営業のロールプレイングを何回か行い、慣れていただくというサポートをしています。

 

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FooLaiBoのホームページ/https://foolaibo.jp
オンライン商談をスムーズに進めるテクニック
――営業担当者が、初めてのお客様にオンラインでアプローチするのに戸惑いませんか?

 

三浦 私は、営業のコンサルティングをメインの領域にしていますが、そもそも営業や商談をする相手が少ないとか、集客で困っているケースも多いのです。要はリード(見込み客)ですね。マーケティングをいかに行って商談の機会を増やすかという、むしろ営業の手前の段階で困っていることが判明するというケースが多々あります。そこで私は、Webマーケティングでもチラシでも何でもいいのですが、お客様に自社のサービスを知ってもらい、問い合わせをいただくという、商談の機会を作り集客をするところまでのコンサルティングもパッケージで提供しています。
そこで増えたリードに対してどうアプローチを行い、お客様の側でも不慣れなオンライン商談のアポイントをどう取るかというテクニックも、慣れないと難しいですね。そのため、どう話せばお客様に警戒されずにオンライン商談をスムーズに行えるかを考えて作ったトークスクリプトなども用意し、手取り足取り指導を行っています。

 

――オンライン商談は具体的にどんな流れで進むのですか?

 

三浦 最初のアプローチはオフラインの営業とそれほど変わらないと思います。たとえば電話で「当社ではこんなサービスを提供しているのですが、ご興味ありますか?」と新規のアプローチをするとか、お客様から「御社のサービスに興味があるのですが」という問い合わせが来るケースもあるでしょう。その時に「ではサービスを詳しくご紹介したいので、一度お話をさせていただけませんか?」と言うと思いますが、今までなら「30分程度お伺いさせていただいてもよろしいですか?」と簡単に言えました。ところがサービスの紹介を「オンラインでやりましょう」とか「『Zoom』を使ってやりませんか?」と言っても、お客様によってはよく知らなかったりして、「それ何なの?」とか「セキュリティは大丈夫なの?」と言われたり、はては「怪しい」と思われかねません。そこを、お客様を警戒させずに、いかにしっかり伝えるかが重要ですね。

 

――そこで何かボトルネックになるようなものがあると、お客様が離れてしまいますね。

 

三浦 よくあります。オンライン商談の本番に向けたトレーニングはたっぷりこなしていて、いつでも試合はできる状態になっているのに、肝心の試合の約束が取り付けられないというケースが少なくありません。
そこで、リストを用意して社員が毎日テレアポを行って案件を取っているお客様に向けて、他の方法がないかを検討し提案も行っています。たとえば「イノベーションズアイ」では多くの社長がコラムを書いていますが、そこから案件を取ってくることもできるのではないかという発想もあります。ほかにも「Twitter」やSNSを使って情報を発信する、社長や営業部長が自社のサービスを宣伝するようなWebinar(ウェビナー/Webセミナー)を行い、集客するなど、さまざまな方法がありますが、そこまで手が回らない企業も多いので、私たちでサポートさせていただくこともかなりあります。
営業はもっと自由でクリエイティブであっていい
――たとえば非IT系で物販の会社がオンライン商談を導入することで、営業をどう強化できますか?

 

三浦 物販でも、個人向け商品の場合、基本的に自社のECサイトや楽天、アマゾンなどのポータルサイトで商品を販売しているケースが多いと思います。
その一方で、企業向けにある程度単価の高い商品を販売している場合、お客様に商品を見てもらわなければ営業できないという固定観念が強いかもしれません。ただ、実際にはカタログがあったり、Webサイト上で商品の説明書きが読めたり、動画で商品の利用シーンが見られたりと、お客様のもとを訪れて商品を触ってもらわなくても、自社の商材やサービスを伝える方法はいくらでもあります。
さらに、オンラインでつながると、電話やメール対応と違って相手の顔が見えます。表情や目線、身振り手振りなどから伝わる人となりに加え、オフィスであれば背景にフロアの風景が見えたりして、「この人はこんなところで働いているんだな」という周囲の雰囲気もわかるでしょう。こうした要素は軽視されがちですが、競合がひしめく中で自分たちが頭ひとつ抜け出し、お客様に自社のファンになっていただくうえで、じつはとても重要です。
そう考えると、対面ではなくても、オンラインでお客様に顔を見せて人となりを伝えながら距離を縮めていくことは、個人向けの営業でも法人向けの営業でも非常に大きな価値があると思いますね。

 

――一度断られたお客様に、オンライン商談で再提案することも可能でしょうか?

 

三浦 まさに失注リストや、お客様が検討中のままで終わっているペンディング(先送り、保留)リストのお客様をオンライン商談でフォローしたいというニーズも確かにあります。
その場合、訪問に来られるよりも、むしろオンライン商談のほうがお客様の心理的なハードルも低いでしょう。
たとえば半年前にある案件を断られたとか、返事が曖昧になっている案件に対して、「あれからサービスを改善したので」とか「サービスを開始したので少しお話させていただけませんか」と言いたい場合。資料を送ってもいいのですが、できれば直に話を聞いてもらいたいので、「たとえば15分だけオンラインでつながっていただけませんか?」とメールを送ってみるのもいいでしょう。
私がよく行っている方法としては、自分個人の「ミーティング予約ページ」を作り(画面参照)、そのページへのリンクを記したメールをお客様に送っています。興味のあるお客様は、だいたい2~3週間以内の好きな時間に私とのミーティングを予約していただけるというもので、こういうツールを使いこなすことで「この営業マンは少し違うな」と思っていただき、自分に興味を持ってもらうなど、さまざまな切り口があります。

 

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顧客が好きな時に営業担当者との面談を予約できるWeb予約ツール

 

――従来の営業では考えられなかったことが、オンラインでは可能になりますね。

 

三浦 最近よく感じるのですが、この「ミーティング予約ページ」にしろ「Twitter」などを使った情報発信にしろ、最新のWebツールや技術もからめた営業手法を紹介すると、「今はこんなスタイルの営業ができるようになっているのか」と、顧客先の営業担当者の目が輝くことが多いのです。
若手の方であれば、テレアポを100件泣きながらこなして、ようやく1件訪問が取れるという、古い営業のイメージしか頭にない人が多いかもしれません。でも、こういう話を聞いていただくことで「視界が開けた」と感じていただいたり、「もっと営業は自由でクリエイティブであっていい」ということがわかり、興奮した面持ちで自分なりに営業手法を研究されるケースもあります。オンライン商談の導入をきっかけにして、営業そのものをアップデートすることができるということをぜひ理解していただきたいですね。

 

――コロナ禍の影響で苦しんできた営業部門が元気になることを期待します。

 

三浦 その意味で、社長や経営者の皆さんには、停滞した自社の営業チームが変わるかもしれないと感じていただけたら嬉しいですね。
実際、社長やかなり年配の営業部長の下に中間のマネージャーが不在で、20、30代の若手しかいないといった企業では、オンライン商談の導入コンサルティングを行う一方、私自身が外部マネージャーとして、チャットで現場の営業マンのメンタルケアをしたり、キャリア相談に乗ることもよくあります。社長と営業部長は会議に出席せず、私が上司のような立場になり週1回オンラインのミーティングを行っているお客様もいます。
評論家にはならない。最前線で活躍するプレーヤーの矜持を常に持ち続ける
――今後、オンライン商談をどう広げていきますか?

 

三浦 従来のIT系ではなく、ITインフラの整備にこれまであまり取り組んでこなかった非IT系、とくに物販などを含む中小企業やスモールビジネスの方々に向けて、「あなたのビジネスでも簡単に使えます」ということを伝える伝道師的な役割を担っていきたいと思います。
これはオンライン商談だけではなく、テレワークについてもです。たとえば、育児をしながら営業するのが難しい働くお母さんたちが、お子さんが眠ったりして空いた時間に、在宅で30分商談をするといったこともテレワークで可能になります。
そうすることで、今まで通勤・訪問前提のワークスタイルの中でキャリアをあきらめざるを得なかった人たちが救われ、かつ会社側も、優秀な人材にテレワークや在宅ワークを通じて残ってもらうこともできるようになります。そこをもっと広く伝え啓蒙していきたいですね。
それとも関連することですが、私個人としては最近SNSなどでWeb上での発信を強めています。たとえば「Twitter」で情報発信を行う一方、ビジネスパーソン向けのSNSである「LinkedIn」でも毎日必ず小さなブログを投稿しているほか、ラジオアプリを利用し、音声で営業やテレワークに関する話題を毎日投稿するなど、情報発信活動を強化しています。加えて「Zoom」を使って不特定多数の視聴者に向けたWebinarを、共催などの形で始めています。

 

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三浦氏が最近情報発信を強化しているWeinar(ウェビナー)の一例

 

――コンサルタントとしてのポリシーを教えて下さい

 

三浦 コンサルタントの中には、かつて自分が極めた経験をすっと売り続ける方も見受けられますが、私としては時代の先端を行く最新のビジネス手法やトレンドをしっかり取り入れ、成功も失敗も繰り返したうえで、常にリアルタイムのコンサルティングを提供していきたいという思いがあります。
自分自身も一起業家であり発信者としてさまざまな活動を行い、そこで得たものをお客様に還元していきたいですね。
私は評論家になりたくはありません。自分自身が1人のプレーヤーとして最前線で動き続けたいと考えています。

 

「取材・構成 加賀谷貢樹」

三浦 隼(みうら・じゅん)
新卒入社の金融大手にて営業マネジメントを経験。チーム実績において前年比130%超を達成、全社MVP。
戦略策定、施策の企画推進、現場営業および教育プログラム構築を担当。 のち、コンサルティング会社や出版社を経て、B2Bインサイドセールス専門のベンチャー企業にカスタマーサクセスコンサルタントとして参加。
当時国内ではほとんど前例のなかったカスタマーサクセス職のチーム立ち上げ、および顧客企業へのインサイド/フィールドセールスの強化支援を担当。
のべ250社のご支援、300名以上の営業ロールプレイングを行う。 その後、別のベンチャー企業で新規開拓営業の立ち上げ、マーケティング・オートメーション(MA)企業でのカスタマーサクセスチーム立ち上げを歴任し、株式会社FooLaiBoを創業。

 

【問い合わせ先】
株式会社FooLaiBo
〒105-0014 東京都港区芝3-31-6 サンライズ芝2F
https://foolaibo.jp

 

●Twitter
ミウラジュン@営業をアップデートするコンサル
https://twitter.com/pocopecopen

 

●LinkedIn
https://www.linkedin.com/in/jun-miura

 

●himaraya
まだ訪問で営業してるの?ミウラジュンのミウラジオ
https://www.himalaya.com/business-podcasts/2293791

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