株式会社イングリウッド 代表取締役社長兼CEO 黒川隆介

公開日:2019年12月24日

商品を売る最強集団を創る

ネット通販の先駆け
――2005年に創業した
「米国から小物や靴(スニーカー)などの商品を輸入して日本で販売するビジネスモデルで創業した。店舗販売が全盛の時代だったが、EC(電子商取引)のインターネット通信販売を軸に事業を展開した。ネット通販の先駆けだと自負しており、この世界で、単に商品を売るのではなく、テクノロジーを駆使して売るナンバーワン企業を目指した。当初は独自ドメインで参入したが自宅2階で立ち上げたため、会社への信用力がなく売れなかった。そこで2005年後半から楽天が運営する『楽天市場』でビジネスを始めるとネット通販好きから認知されて、売れるようになった」
アイデアで生き残る
――苦労したのでは
「ファンナンスで苦労した。銀行は信用してくれず、個人事業から有限会社になるとき『自宅2階でビジネスは大丈夫なの?』といわれ融資を断られた。銀行からお金を借りられたのは創業4、5年目だった。お金がないので生き残るにはアイデアしかない。米国でテクノロジーに触れていたので、ネット通販の仕組みを真っ先に作った。一つが予約販売。お金がないので外国から商品を仕入れて在庫を持つことができない。このため注文が入ってから製造元に注文を出す方法を採用した。また注文が入ってから商品を渡すまでのタイムラグを少なくする工夫を凝らした。ネット通販向け広告が出始めたころで、お客さまが買いたくなるポイント、キャッチフレーズを探した。また日本人のサイズ、好みなどが分かる統計シートを作ってエクセルで管理して売るタイミングなどを集計した」
――学生発ベンチャーへの逆風が吹いていた
「当時は名前の知られた会社に就職するのが学生にとっても親にとってもゴールだった。母親は「名前を知らないような会社に入るのはすなわち人生の終わり」といっていた。起業したので会社には人生の先輩がいなかった。アドバイスを得られず試行錯誤の連続だったので、失敗には慣れた。しかし失敗したから成長できたといえる。ただ人生経験が豊富な人が近くにいればもっと成長できた。一方で、人には恵まれた。創業間もないスタートアップが必要なのはアイデアと人材。ここにいると夢が叶えられそうと思ってくれるのか、社員は皆、仲良くやっている。上下関係はない」
15期連続増収増益
――創業以来15期連続で増収増益と聞く
「ベンチャーなのでずっと背伸びをしてきた。フルベット(リスク)で勝負するしかなく、破滅とは常に隣り合わせだった。その緊張感が15期連続の増収増益につながった。事業は現在、世界中から商品を仕入れてネットで販売する当初からのセールス部門と、百貨店などに商品を卸すホールセールビジネス。さらにデータテクノロジー事業に参入した。店舗だけでなくネットでも商品を売りたいと考えている大企業などを支援するBtoBのビジネスで、商品企画からお客さまに商品を届けるまでのプロセスをデータとテクノロジーを駆使して分析し提供している」
「ネット販売に乗り出しながらもうまく事業を展開しているところは少ないのが現状で、ネット通販で生きてきたわれわれの強みを発揮できる。デザインやデータ分析、広告展開から足回りといわれるコールセンター、在庫、リピーター管理といったことまでそろえて、ようやく売り上げを増やすことができるようになった。こうした川上から川下まで一気通貫でネット通販ビジネスを展開できるノウハウを持つのがわれわれの強みといえる。だからこそネット化率を引き上げたい企業を支援できる」
データ分析に重点投資
――重点テーマは
「2017年度からデータ分析の研究に重点投資している。お客様の購買に関するデータ、つまり買うタイミングや嗜好を調査。そのために人工知能(AI)に詳しい3人の外国人をデータサイエンティストとして採用。別部隊としてデータ研究に取り組んでおり、ノウハウの蓄積も進んだ。その結果、お客さまにはセールス好きもいれば、定価好きもいるし、広告を見るタイミングもさまざまなことが分かってきた。このため各社が行っている一斉送信が購買につながるわけではなく、One on Oneで一人一人の行動パターンにあわせて適切なタイミングに送るほうがいいことが分かった。それまでは送信時期などを担当者の勝手な気分で決めていたが、2017年からデータサイエンティストの最適アルゴリズム解析をもとにOne onOneで送信するやり方に切り替えた。データ社会では属人的なやり方には限界がある。お客さまへの的確なアプローチがリピート率の上昇とそれによる売り上げの増加につながる。結果も出ている。今では全体売り上げの約80%に達した」
米国と中国を攻める
――海外展開は
「人口が多い米国と中国で勝負していく。日本は人口の減少傾向が続いており、海外に出て行かざるを得ない。現状では10%弱の海外売り上げ比率を高める。中国市場では痛い目に遭ってきたが、展示会への出展といった販促活動の成果もあって3年目でようやく芽が出てきた。アリババの成長戦略を見ると、ネットによるオンビジネスと店舗によるオフビジネスをうまく活用していることが分かる。オフも重視し、そこで得た売れ筋情報などを生かしてオンで刈り取っているわけだ。われわれにとって参考になる。中国は今、オンだけだが、オフとの両面から攻めていく。中国と米国はオンとオフの両面作戦で絶対に市場を取るし、やりきる」
若手の育成に力を入れる
――今後は
「IPO(新規株式公開)を考えている。日本のEC化率は低いうえ、われわれのビジネスモデルではライバルはいない、類似企業も少ないので伸びる余地は大きい。まずは企業価値を適切に評価してもらいたい。業績は今期、来期とも堅調に伸びる見通しで、今後はガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令遵守)の更なる強化をしていく」
「働き方改革は進む。フレックス制を導入し、残業も少なく月1~2時間の社員もいる。生産性や効率性を求められるが、言い換えると要領よくできる人がうまくいく時代でもある。私は『ゲームセットせずに続ける』『終わりがなければ成功につながる』という逆転の人生を続けてきた。若手にも、こうした人生を選択肢の一つとして見せたいし、骨太の人間を輩出したい。そのためには自分の限界を超える必要があり、超える前に逃げてはだめだ。ここには勝負できる環境がある。やりたいことを提案すればチャレンジできる。それが結果として自分に跳ね返ってくる」
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