株式会社ウェブサークル 代表取締役 門田俊介氏、取締役 横山時世氏

公開日:2019年2月28日

人と人、企業と企業、人と企業のつながりをWebマーケティングで提供する

<写真>左:代表取締役 門田俊介氏、右:取締役 横山時世氏
どんな事業を行っていますか?
門田:売上構成比で言うと、Webマーケティング事業が約4割と最も多く、SEM(検索エンジンマーケティング)に加え、SNSなどを使って集客を行い、顧客先のサイトの認知拡大を手がけています。
また、横山取締役を中心に進めているクリエイティブ事業が約3割で、Webサイト構築やシステム開発などのクライアントワークを行っています。
加えて、Webマーケティングのプロ人材を育成する「Webプロフェッショナル育成事業」が売上全体の約2割を占めています。大企業でも、Webマーケティングの担当者が十分な知識やノウハウを持っていないことが多く、現場の知識教育を含めて人材育成を強化しなければならないのが現状です。
そこでWebマーケティングに関するコンサルティングを行い、顧客先業の問題点の改善を手がける一方、「Webプロフェッショナル育成事業」として、現場の人の教育もOFF-JTで実施しています。座学で毎週2時間の研修を受講していただき、約1年をかけてWebマーケティングのノウハウをお伝えしています。
「日本で1番使われているコピペチェックサービス」も提供しています。
門田:当社の売上高の1割を占めているのがソリューション事業です。無料コピペチェックツールの「Copy Content Detector」や無料チェックツールの「RankAnalyzer」などの、Webで使えるクラウドツールを展開しています。
「Copy Content Detector」は、無料で4000文字まで回数無制限で使用可能。多くのユーザーに広く使っていただいており、月間の文字チェック数は5億字台と、日本で最も多く使われているコピペチェックツールだと自負しています。「コピペチェック」などでGoogle検索をしていただくと、「Copy Content Detector」がトップに表示されます。
チェック最大文字数の上限がアップし、処理速度が無料版よりも早くなるなど、機能や性能をアップグレードした有料版も用意しています。
強みは何ですか?
横山:当社の特徴は、Webマーケティング事業にもクリエイティブ事業にも営業職がいないこと。当社はこれまですべて、お客様からのご紹介でビジネスをつないできました。仕事で確実に結果を出してきたからこそ、お客様からリピートをいただき、ご紹介を得ることができたと思っています。
門田:独自開発のツールやサービスを取り揃えていることも大きいですね。Webマーケティングに関しても、当社ではお客様のニーズやお客様が求める使い勝手に最適化したツールやサービスを構築するノウハウを蓄積しており、確実に結果が出せるように努力しています。
当社もかつては経験者採用が難しく、人件費を支払うのも大変だった時期がありました。そこを乗り切るためには、業界未経験でSEOやWebマーケティングとは何かを知らない人でも、私と同等のクオリティのサービスをアウトプットできるシステムを構築すればいいと考え、私自身のノウハウを注ぎ込んだWebマーケティングシステムを作り上げたのです。
その1つが、HTML言語を知らない人でも、ブログでもCMS(コンテンツ管理システム)でもなく、静的HTML言語で構築されたウェブサイトを5分で構築できるウェブサイト量産ツールの「WiSEO(ワイズ)」です。
人材育成事業に力を入れている理由は?
門田:Web業界は入口が狭く、マーケターが足りていないという事情もあります。でも私には、世間一般的に、人を育てることがおろそかになってきている現在の状態を変えていきたいという思いがあります。
そもそもWebマーケティングは、できる人、知っている人にしか仕事がこなせません。じつは、日本にはこれと似たような業界が数多くあり、その1つがいわゆる伝統工芸や伝統産業と呼ばれる分野です。
人が手で緻密なものを作り上げていくのは、人間だからこそできることであり、昔は茶碗も人の手で作られていました。ところが今では、そこそこの品質の商品を安く大量に作ろうと思えば、機械で十分にできてしまいます。
Webマーケティングについて言うと、その「機械」にあたるものがAI(人工知能)です。AIなら、細かい緻密な作業をいかに組み立てていくかということや、作戦をどう練っていくかということについて、統計に基づき最適解を導き出すことができるでしょう。
ところが、人の嗜好やニーズを考えてアイデアを生み出すということは、まだAIにはできないと思いますが、Webマーケティング分野については、統計をもとにある程度の成果を出せるので、このままいくと「AIに仕事をさせておけばいい」という時代に、ほぼ間違いなくなっていくはずです。
そうなると、Web業界の中でマーケティング分野で働く人がどんどん減少し、この分野では仕事が相当できる人でなければ残れない、極端な話、日本に数人しか人材が残らないという状態になるかもしれません。
これがなぜ伝統工芸の世界に似ているかと言うと、伝統工芸の作品を作るためには相当な修行が必要で、たとえば宮大工が鑿の使い方を覚えるには3年の時間がかかると言われます。鑿使いだけで3年かかると言われたら、やる気もなくなってしまいますが、同時に伝統工芸の業界側にも、若い職人が鑿使いがきちんとできるようになるまで教育したのかという側面もあると思うのです。
人を育てていないとは言わないまでも、入口が狭く、業界に入ってくる人が少ないうえに、熟練の技を要し、業界未経験では仕事ができないという点で、Webマーケティングと伝統工芸には共通点が多く、いずれも人手不足や後継者不足に陥っている状況です。人が減れば減るだけ、業界が縮小していくことはほぼ間違いありません。
私はWeb業界に入って18年になりますが、この業界で育てていただいたことに恩義を感じています。
というのも、私は小学校2年生の時に「大きな会社の社長になりたい」という夢を持ちました。ところが、どんな会社の社長になるかを決めていなかったのです。
その後、人生経験を重ねるなかで、故郷の愛媛県から上京する際、「Webで生きていこう」と決めました。つまり、会社の社長になりたいという私の夢を叶えてくれたのはWeb業界なのです。
その意味で、Web業界に恩返しをするために自分は何ができるのかを考え、人材育成事業をスタートさせました。まだ着手して間もないですが、「Webプロフェッショナル育成事業」のユーザー企業が100社、1000社、1万社、数万社に広がっていくなかで、「Web業界の中心にウェブサークルがある」と言っていただけるような会社になりたいと思います。
Web人材育成のための新たな取り組みである「サブコンストラクト採用」も始まりました。
門田:今、日本ではWeb人材が数万人不足していると言われています。もともと間口が狭く、毎年全体で4000人ぐらいしか業界に入れません。未経験で入れるのは新卒のみで、実績のある人でなければ採用されないことがほとんどです。そのため、いま中小企業にこそWebマーケターが求められているにもかかわらず、採用がほとんどできない状態にあるわけです。
その一方で、中小企業もWebマーケターとしてどんな人が自社にふさわしいのかがわからず、Webマーケターにも中小企業を目指す人がほとんどいません。こうしたミスマッチを解消する手段として、当社がWeb業界の未経験者を半年で教育・育成し、マッチングを行ったうえで人材紹介を行う「サブコンストラクト採用」というサービスを行っています。
当社の専任コンサルタントがプロジェクト責任者として、顧客先の業務内容・採用方針をヒアリングし、それに合った20~30台前半の業界未経験者をアルバイトとして採用(1社あたり5名にアサイン)。当社内で、顧客先から委託された業務をこなしながら最低6カ月間トレーニングを行います。
この間の教育・育成のコストを当社が負担し、トレーニング期間終了後、顧客先の業務を担当しスキルを高めた人材を2、3名ご紹介。面接のうえ、条件が合えば採用していただくというのが「サブコンストラクト採用」の仕組みです。
採用していただいた人材の出勤は、採用月の翌月からですが、すでに本人は当社内でのトレーニングを通じて顧客先の業務に慣れており、ミスマッチなく即戦力として活躍が可能です。
横山:これはおそらく他にまだないサービスで、市場のニーズに非常にマッチしており、売りやすいと思います。この「サブコンストラクト採用」事業については、これまで営業職がいなかった当社としては初の営業部隊を組織し、アクセルを踏み込んで拡販に取り組んでいきたいと考えています。
「縁の懸け橋となる事業を行います」というコーポレートフィロソフィーにはどんな意味がありますか?
門田:ウェブサークルという社名には、若い世代の人たちに、どんどんこの業界に入ってもらいたいという私たちの思いがあります。大学のサークル活動のように、仲間たちと楽しくWebの仕事をするサークルをイメージし、ウェブサークルという名前をつけました。
サークルは「円」であり、「輪」です。人間1人ひとりは点ですが、輪になった人たちを線でつないでいくと円になります。そして、そのつながりから生じる「縁」がやがて自分に返ってくるという意味も、ウェブサークルという社名に込められています。
つまり、仲間が集まる場所であるサークルと、人がWebで作るつながりである円と縁が重なり、社名になっているわけです。会社のロゴも、互いにつながった3つの円をかたどっていますが、それは「人と人、企業と企業、そして人と企業の繋がりを提供する」という当社の企業理念を象徴しており、人と人、企業と企業、人と企業とのあいだをウェブサークルがつないでいる姿をイメージしています。
これから会社をどう発展させていきますか?
門田:横山は2期目から取締役として経営に参画してくれています。私は創業時から、サブコンストラクト採用のモデルを考えていたのですが、「こんな事業を手がけて、Web業界の人材を育てていきたい」と話したところ、彼は「それは面白い」と言って当社に入ってくれました。私が主にコンサルティングを担当し、横山は新規クライアントの獲得を担当しています。
横山:セールスサイドの戦略などを主に手がけています。以前、Web制作会社を経営していたことがきっかけで、門田と出会いました。
門田:横山自身が経営経験豊富で、自ら培ったノウハウを活かし、「こんな時にはこういうことをしなければいけない」とアドバイスしてくれています。2期目から「売上高1億円を目指そう」という指針を打ち出してくれたのも横山です。
経営を練る部分を彼が担ってくれており、私はそれが経営的に予算が合うのかどうかの判断や、実際にそれを行っていくためのノウハウの構築、人材の選定、環境やインフラの整備を担当しています。私が実行部隊で彼が計画部隊という感じですね。
横山:2人のすみわけは本当にそういう感じです。正直な話、私が起業して事業を譲渡した会社に、役員として入らせていただくというお話をいただくこともありましたが、結局すべてお断りしました。
飲み会の席でも「次はどんな会社を作るの?」とよく聞かれますが、私はウェブサークルという会社に面白さを感じていて、門田の人間性にも引かれているので、起業にも転職にも興味はありません。
私は、つねに新しいことを手がけていきたいタイプの人間で、会社を興すのは手段であって目的ではないと思っています。その意味で、新しいことを自由にやる環境を整えてくれる人がいるのなら、私自身が新たに会社を経営する必要もありません。
今後の目標は?
横山:ですから今は、門田が幼い頃に抱いた「大きな会社の社長になる」という夢の実現に貢献できたらいいなと思っています。そのなかで、第10期までに売上高100億円を達成するという目標に向かって邁進しているという感じですね。
門田:目標は高いほうがいいと思っています。私は会社が設立3周年を迎えた際、社員の生活を豊かにしながら事業を成長させていく「豊かに飛躍」というビジョンを掲げました。
ただ単に会社が大きくなるとか売上が増えることは、おそらく社員にとってはどうでもいいことだと思うのです。もっとも、会社が大きくなることは、社員の生活にも大きく影響するので、どうでもいいということにはなりませんが。
いずれにしても私は、社員たちが喜んでくれるのは、自分たちの生活が豊かになるからであり、彼らは普段、私ができないことを代わりにやってくれていると思っています。もっと言えば、社員たちは、大きな会社の社長になるという私の夢の実現を手伝ってくれている存在で、彼らが会社を辞めたら、これまで一歩進んでいたことが二歩後退してしまうでしょう。
ですから、社員たちが当社で培ったノウハウが自分のものであると同時に会社の財産でもあることを忘れず、可能な限り長く働いてもらうには、彼らに豊かになってもらわなければいけないと思うのです。
たとえ社員が潤っても、利益がともなわなければ会社は疲弊してしまいます。それゆえ、社員が豊かになることと、会社の飛躍を両立させるために知恵と力を尽くすことが、会社の代表である私の役割だと考えています。
インタビュー:ジャーナリスト 加賀谷貢樹

門田俊介
代表取締役。愛媛県出身。独学でWebサイトの構築・運用を行いアフィリエイトで月60万円の利益を上げる。
その後、制作会社で経験を積み2014年にはシェアオフィスを利用しひとりで創業。
現在は東京と愛媛にオフィスを構え、40名の従業員と1300名のライターネットワークを擁するまでに成長させている。

横山時世
取締役兼batch mate Inc.代表取締役。
24歳の時に起業し、27歳で売却。その後もスタートアップを繰り返し2015年夏、1期目が終わったばかりのウェブサークルにジョイン。
経営、制作、新規事業と幅広い領域を担当している。

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