税理士法人プライムタックス 代表社員 谷忠宗氏

公開日:2018年11月20日

事業承継、組織再編、国際税務を三本柱に真のプロフェッショナルとしてベストを尽くす

御社の特色を教えて下さい。
当社のような小規模の税理士法人は、ランチェスターの法則で言う局地戦で戦わなければ勝てません。そこでニッチ分野で強みを発揮していくために、事業承継と組織再編、国際税務を事業の3本柱にしています。
事業承継と組織再編ではすでに多くの実績を積んでおり、なかでも事業承継の相談件数は年間約30件、累計で約500件に達しています。
国際税務は当社がこれから力を入れて取り組んでいく喫緊の課題で、今後経験を積んでいきたい分野です。
どんな事業承継支援を行っていますか?
事業承継時の贈与税や相続税の納税を猶予する事業承継税制が2018年4月に改正されたことで、事業承継はもう大丈夫という雰囲気になっていますが、そうとも言い切れません。たとえば贈与税の納税猶予は、贈与時に先代経営者が代表者を退任していることが条件になっており、使えないケースも意外に多いのです。
そこで私は事業承継税制だけではなく、組織再編税制と組み合わせたり、株価対策も行ったり、信託を設計したい場合には外部の専門家と組んだりして、トータルに対策を行っています。そこが他のプレイヤーとの大きな違いだと思います。
事業承継は、経営者が交替するだけなのだから簡単ではないかと思う人もいるかもしれませんが、人間関係のどろどろした部分も解決しなければならず、事業承継税制だけでは手に負えない部分がかなりあります。
実際、株主が多く、親族が株主から退いてくれないとか少数株主が騒いでいる、株主が分散しすぎて株式を買い取ろうと思っても収拾がつかない。あるいは株式を買い取ろうとしたが、株価が高く評価され、買取金額が高騰したなど、税務以外の問題は枚挙にいとまがありません。このように事業承継にはお金と人間関係が複雑にからむので、難しい面が数多くあるのです。
事業承継にM&Aが活用されることも多くなりました。
最近では、中小企業の約3分の1に後継者がいない状態で、生え抜きの従業員や役員だけでなく、社外の第三者に事業を承継することも多くなりました。その手段としてよく利用されているのがM&Aです。
かつては「会社を売ったら従業員が困るのではないか」とか、「自分だけの都合で会社を売ってもいいのだろうか」と考える経営者が多かったのですが、最近ではそういうことにあまりこだわらない人が増えており、日本にも、会社を育てて売るのは悪いことではないという考え方が根付き始めています。ですからM&Aは今後どんどん広がっていくでしょう。
これまで事業承継支援は、親族に承継する際の税金対策がメインでしたが、今後はM&Aを活用した第三者への承継が広がっていくと思います。
なお、親族外承継の方法として、経営陣が会社を買収するMBO(マネジメント・バイアウト)や従業員が会社を買収するEBO(エンプロイー・バイアウト)が利用されることも多くなりました。これらの手法では、会社の資産価値や会社が将来生むキャッシュフローを元手に借入金を調達するので、自己資金が少なくても買収を行えるという利点があります。
組織再編も手がけています。
グループ会社を複数経営している中堅企業や、売上高数十億円規模の企業のグループ再編が多いですね。株価対策で組織再編が行われることが多く、私が手がけた案件でも、グループ会社を合併したり子会社化して整理することで、従業員数や保有財産などの実態を大きく変えることなく、高騰していた株価の引き下げに成功した例があります。ホールディングカンパニー(持株会社)設立による組織再編も株価対策に効果があります。
上場会社の株価は市場の需要と供給のバランスで合理的に決められますが、非上場企業の場合、株価が割高に評価されることも少なくありません。事業承継のために自社株を後継者に移譲する場合、株価が高いと贈与税や相続税が高額になるので、組織再編を活用した株価対策が有効なケースもありますね。
国際税務支援サービスをどう進めていきますか?
国際税務は中小企業の海外進出支援として行っているもので、アメリカ、香港、台湾を主な対象にしています。国によって税制が大きく違うので、信頼できる現地のパートナーを探すことが最も重要ですが、当社では現在この3つの国と地域のプロたちとアライアンスを組んでサービスを提供しています。たとえば当社のクライアントがアメリカに進出する場合、現地パートナーの税理士法人にバトンタッチし、彼らが現地の税務手続きを行っています。
国際税務には、移転価格税制や海外赴任者の税務など、海外でビジネスを行う中小企業が注意すべき点も多いので、当社では中小企業でも利用しやすい安価なセカンドオピニオンサービスを設けています。
海外進出企業支援として、税務のほかに労務のアドバイスも行っていますが、「餅は餅屋」で、税理士にすべての業務がこなせるわけではありません。そこで労務については信頼できる労務士の仲間とアライアンスを組んでいます。
他分野の専門家とのネットワークも大きな強みです。
たとえば、ひとくちに税法といっても範囲が広く、とても1人ではカバーしきれません。そのため当社は事業承継、組織再編、国際税制に領域をしぼっているわけです。
その国際税制にしても、税法だけでなく労務や現地の法律など、カバーすべき分野が多岐にわたるので、それぞれの分野の専門家と組まないとグローバルな案件は処理できません。
私自身、他の士業とのつながりを数多く持っていて、以前から一緒に勉強会などを行ってきました。私に近い世代の士業が周囲に数多くいるので、信頼できる専門家に得意分野の仕事を依頼しているのです。
その意味で、当社の強みは突き詰めると人脈作りということになるのかもしれません。仕事は最終的には信頼関係なので、レベルが高くて信頼できる仲間をどれだけ多く探せるかということに今、一生懸命取り組んでいます。
その一方で、私は事業承継の支援のために全国を回ってセミナー等を開催し、相続税や贈与税軽減のための経営承継円滑化法に加え、ホールディングカンパニー設立やMBO、EBOなどによる組織再編を活用した株価対策などについて解説しています。声をかけていただいたらどこにでも足を運ぶというスタンスで、オンラインでもミーティングを行い事業承継などに関する質問にお答えしています。
仕事のうえで大切にしていることは何ですか?
つねに新しい情報を仕入れ、勉強もきちんと行い、新しい税制などについてキャッチアップしていくことです。
また、事業を幅広く柔軟に行っていくことも私の信条で、税務以外の相談についてもお受けし、信頼できる専門家につないでいます。お客様にとって役に立つ専門家の紹介も、大きな価値があることだと思うので、積極的に取り組んでいます。
いずれにしても法令遵守、真面目が一番ということに尽きます。お客様への提案に迷うことがあれば、どちらが正しいかを考え、正しいほうを選択します。
脱税や過度の節税はもってのほかで、自分自身も道に外れたことには手を出しませんし、お客様も誤った道には行かせません。ときには世の大きな流れに巻き込まれそうになることもありますが、たとえ自分だけが取り残されても、正しい道を行くことをポリシーにしています。
インタビュー:ジャーナリスト 加賀谷貢樹

2000年3月、日本大学商学部 卒業。
07年12月に税理士試験に合格し、08年9月に税理士登録。大手税理士事務所、公認会計士事務所を2社経験。
16年、税理士法人プライムタックスを設立し代表社員に就任。
通常の税務顧問業務意外にも、企業組織再編や事業再生、事業承継を得意としている。組織再編時の企業価値算定、M&A時の財務デューデリジェンスなどを含め、幅広い業務を手がける。

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