アスパイア・インテリジェンス 代表 信元夏代氏

公開日:2018年11月13日

文化と言葉の壁を越えて伝わる英語プレゼン技術を指導

アメリカで就職しMBA(経営学修士号)も取得しました。
大学で異文化コミュニケーションを専攻し、在学中に1年間、アメリカの大学で学びました。そのときMBAを知り、いつか挑戦したいと思っていたのです。
大学卒業後は、伊藤忠商事のアメリカ法人である伊藤忠インターナショナル・インク(ニューヨーク)に入社し、アメリカでの就職という夢を果たすことができました。同社では鉄鋼、紙パルプ部門に勤務したあと、5年後にMBAに挑戦し、ニューヨーク大学スターン・スクールオブビジネスに入学。MBAの1年次と2年次の間のサマーインターンシップでマッキンゼー・アンド・カンパニー(東京)に勤務し、戦略コンサルティングを手がけました。
ところがその直後に9.11同時多発テロ事件が起こり、決まっていたアメリカの大手企業への内々定も取り消され、起業の準備をしながらEisner LLP(ニューヨーク)で働き、マーケティングの調査分析や戦略設計などの業務に携わりました。
起業のきっかけは?
大手自動車部品メーカー・曙ブレーキの創業者である父から受け継いだ起業家精神が備わっていたのか、外資系企業で働く中で、自分で事業を興したいと思うようになりました。私がビジネス経験を積んできた基幹産業における商社ビジネスに戦略コンサルティングを組み合わせ、異文化コミュニケーション力も活かして、日米の架け橋になりたいと考え、アスパイア・インテリジェンス(ニューヨーク)を2004年に設立したのです。
どんなコンサルティングを手がけていますか?
クライアントは在米の日系企業がほとんどで、当初は中小企業のクライアントが多かったですね。当時は、戦略コンサルティングでありながらも、現地の調査分析や戦略設計にとどまらず、その先の戦略の実践も含めて、クライアントの手足となって一緒に動くことをコンセプトに掲げていました。
ところが1人だけでは業務がなかなか回らないため、自分の強みであるハイレベルの分析力を活かしてグローバル戦略を立案し、戦略の中枢部分のお手伝いをすることにシフトしました。それにともない、クライアントにも大企業が多くなったのですが、同時に、どんなに戦略が良くても現地のチーム体制やトップのリーダーシップに問題があれば、戦略は机上の空論になることを痛感しました。
そのため海外でチームを組んで事業を進めていくうえで、チーム力やチームを率いていくためのグローバルなリーダーシップ力を育成していく必要があると考え、組織開発コンサルティングにも着手するようになったのです。
そこで、異文化のメンバーからなるチームの力を底上げし、チームの生産性を向上させるために必要なリーダーのコミュニケーション力やファシリテーション力強化のための研修や、異文化コミュニケーション研修、グローバルリーダーシップ研修、グローバルチームビルディング研修などを手がけるようになりました。研修は英語で実施することが多く、現地スタッフも多数参加しています。
現在では、この研修事業と戦略コンサルティング事業が半々の割合になっています。
英語のプレゼン力やグローバル・パブリックスピーキング力を高める「Breakthrough Speaking」(https://btspeaking.com/)サービスを、2015年に開始しました。
チーム力を突き詰めていくと、個人の発信力に行き着きます。
コミュニケーションには受信力と発信力の両方があるわけですが、とくに日本人には発信力が弱いという欠点があります。
コミュニケーションの相手が発するメッセージを受信するにも、相手が言っていることをそのままストレートに受け止めればいいというわけではありません。コミュニケーションの質を高めるためには、自分から良い質問をしながら、相手からさまざまな情報を引き出す技術も必要になってきます。
その意味で、受信する力は発信する力と大きく関わっており、自分から質問をしながら、アクティブに発信を行うことで、より質の高い受信も可能になります。そこで個人の発信力を高めるために、このサービスを立ち上げました。
法人向けには企業研修を行い、個人向けにはオンラインセミナーを提供しています。
オンラインセミナーはストリーミングではなく、双方向のライブ動画で講義を実施。ディスカッションに加え、演習およびそのフィードバックもオンラインで行っています。
また、個人向けのコーチングも対面およびSkypeで実施しており、付加的なサービスとして、スピーチ原稿の校正や作成、プレゼンの組立もサポートしています。
国際的なスピーチコンテストのニューヨーク地区大会で優勝経験があります。
私自身、研修を始めとして人前で話す機会が多かったので、英語でもう少しきちんと説明ができるようにプレゼンスキルを高めたいと思っていました。
そのため、話し方やパブリックスピーキング、リーダーシップを指導する国際的な非営利団体であるトーストマスターズ・インターナショナルに入会。同団体が主催する春季インターナショナル・スピーチコンテストのニューヨーク地区大会に出場し、2013年と2014年、2017年と3回優勝しました。
そこで実感したのは、ネイティブスピーカーではない日本人でも、アメリカ国内から集まった強豪たちに勝っていけると、いうことです。
なぜ私が優勝できたのかというと、それは英語力そのものによってではありません。自分が「何を伝えたいのか」というメッセージを徹底的に絞り込み、それをどう伝えたら相手に「刺さる」かを考え抜き、内容を洗練させたからです。
その結果、スピーチ全体としてのメッセージ性が高まり、説得力もあり、オーディエンスの共感も得ることができ、笑いあり、涙あり、感動ありのスピーチを組み立てることができたのだと思います。私はその体験から、「これは日本人のグローバルリーダーたちが持つべきスキルであって、トレーニングをすれば必ず身につけることができるものだ」と確信しました。
「Breakthrough Speaking」の事業化にあたり、私はワールドクラス・スピーキングというスピーチコーチ認定トレーニングを受け、全世界で約100名しかいない講師の認定を取得したと同時に、全米プロスピーカー協会のプロフェッショナル会員としても認定されています。
日本人にとって英語プレゼンはハードルが高いのではないでしょうか。
英語でプレゼンをする必要に迫られ、「英語力が不十分だから英語学校に通わなければ」と思っているビジネスマンも多いと思いますが、大事なポイントはそこではありません。
日本人は中学校でも高校でも英語を学んでいますが、高校生レベルの英語力があれば、その語彙力の範囲内でメッセージを紡ぐためのスキルを身につけていくことで、「伝わるスピーチ」が必ずできるようになるということを、多くの人に知っていただきたいと思うのです。
「Breakthrough Speaking」のコンセプトは、文化と言葉の壁を越えて「伝わる」技術を学ぶこと。「伝わる」力は語学力ではありません。語学力が今のままでも、格段に「伝わる」技術は身につけられるもの。「Breakthrough Speaking」を通じて、異文化、世界で通用するスピーチ力を身につけるお手伝いができたら嬉しいですね。
インタビュー:ジャーナリスト 加賀谷貢樹

早稲田大学商学部卒業。
ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。早稲田大学在学中、ミズーリ州セントルイス市のワシントン大学へフルスカラシップ 奨学生として1年間交換留学。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナル・インク (ニューヨーク)で鉄鋼、紙パルプ業界の営業や事業開発に携わる。ニューヨーク大学スターン・スクールオブビジネスにて経営学修士(MBA)取得。
その後マッキンゼー・アンド・カンパニー(東京)で戦略コンサルティング業務を手がけたあと、Eisner LLP (ニューヨーク)でのマーケティング調査・分析・戦略設計の業務を経て、2004年に アスパイア・インテリジェンス社を設立。
同社を通して、精緻な調査から明晰な分解、実行可能な戦略設計までをシームレスに行う「戦略コンサルティング」に加え、その戦略を実行するための組織・チームの強化をお手伝いする「組織開発コンサルティング」のサービスを提供している。
これまで飲食、生活用品、保険、製薬、自動車、化学品、メディア、IT、ファイナンスを始めとする幅広い業界を対象に、 多数のクライアントの戦略アドバイザーとして、ブランドおよびビジネス戦略の設計とその実現に寄与してきた。
大手メディアへの連載コラム執筆に加え、各種企業シンポジウムおよびカンファレンス等の司会進行、モデレーターなども多数務める。
米トーストマスターズ・インターナショナル主催の春季インターナショナル・スピーチコンテストで、2013年および2014年、2017年の3回ニューヨーク地区大会で優勝。

企業検索
注目企業ランキング< 週間 >
新聞社が教える SPECIAL CONTENTS
プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。