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【質量・成分の分析】脂質の分析(同定と定量)はお任せあれ! 2D-HPLCシステムの構築と脂質の網羅的解析への応用

産学連携情報

大阪府立大学  生物資源開発センター内 食品プロセス工学研究室   北村進一 名誉教授

脂質は生体内の主要成分の一つであり、膜構成物質、エネルギー貯蔵物質として重要な役割を担っている。“脂質”といってもトリアシルグリセロール(TAG)、遊離脂肪酸、糖脂質、リン脂質など各種クラスが存在し、広い範囲の極性を持つ。さらにその脂肪酸組成の違いにより、生物学的挙動も多様である。

これら分子種の同定、定量分析を網羅的に行うことは、生物組織の代謝や分化、病態を知るばかりでなく、食品分析学の点からも非常に重要である。

従来法として、試料より抽出した総脂質からTLCや液々抽出、固相抽出などで脂質クラスを分画し、次いでLC、LCMS、GCMSで分析、あるいはそれらを組み合わせた方法があげられる。しかしながら、これら従来法で網羅的に脂質を解析することは非常に労力と時間を要するものである。また、脂質は、GC分析では誘導体化が必要であり、また、特異的なUV吸収を持たないためLCでは検出が困難とされてきた。

本研究では、これらを解決するべく、検出器にCAD(charged aerosol detector)およびMS検出器を用いた専用のオンライン二次元HPLCシステムを構築し、中性脂質であるトリアシルグリセロール(TAG)、リン脂質であるホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)について、抽出サンプルをセットするだけで分子種まで同定可能なオンライン二次元HPLCシステム(2D)を完成した。それにより、従来の脂肪酸組成分析だけでは得られなかった知見が得られ、有用性が示された。
特に、PC、PEに関しては、認知機能アップのカギとなるプラズマローゲンの分子種の同定・定量ができたことは非常に有用といえる。

キーワード;2D-HPLCシステム、脂質の網羅的解析

問合せ先


大阪府立大学生物資源開発センター内 食品プロセス工学研究室
電話 072-254-9866 電話 072-254-9937

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