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【アグリ系シーズ】植物の香りが織りなす生物間相互作用を農業システムや健康食品に応用した植物ならびに生産システムの開発

産学連携情報

東京理科大学  基礎工学部 生物工学科  有村 源一郎 准教授

【アグリ系シーズ】植物の香りが織りなす生物間相互作用を農業システムや健康食品に応用した植物ならびに生産システムの開発

研究の目的


本研究では、植物が作り出す天然化合物である揮発性テルペン等の二次代謝化合物を恒常的に放出する遺伝子組換え植物や薬用植物を用いて、薬理効果(大腸の抗炎症等)、抗ストレス作用といったテルペン類の多彩な機能を明らかにし、メディカル・アロマ植物としての利用に向けての基盤を構築します。さらに、ミント等のアロマ植物を天敵誘引と植物間コミュニケーションを促進するアグリ・アロマ植物として、マルチに活用させます。

研究の概要


植物の香りの中でもテルペン類は、抗炎症、抗癌、リラクゼーション(抗ストレス)などの、多岐にわたる健康促進能力をもつことから、世界中の研究者や医療関係者から注目されています。さらに近年は、微生物、酵母、植物工場を用いたテルペンの生産技術システムの開発および、揮発性テルペンが織りなす生物間コミュニケーションをアグリバイオ技術として生産システムに取り入れるための基礎研究が急速に進められています。一部の研究成果については特許出願中であり、具体的な商品化を視野に入れつつあります。本研究事業では、多彩な生理活性をもつテルペンに着目し、植物―天敵間コミュニケーションおよび植物間コミュニケーションを促進するアグリ・アロマ植物と、抗炎症などの健康増進効果が期待されるメディカル・アロマ植物の開発をトマト等を用いて試みています。

~従来・競合との比較~
従来技術は、植物有効成分を単一薬剤化合物として利用しています。一方、本技術は植物体そのものの機能を利用するもので、植物のマルチ機能、複数有効成分をそのまま活用できます。

~想定される用途~
・アグリ・アロマ植物(ミント等)との混栽により農薬を用いずに害虫食害を防ぐ
・メディカル・アロマ植物の活用により科学的に立証された健康増進成分を低コストで供給可能

~実用化に向けた展開~
・香り有効成分の産生及びその調整に働く遺伝子の同定
・機能性植物の創製
・ゲノム編集(CRISPR/Cas9システム)利活用

~企業へ期待すること~
本研究技術により創製したアグリ・アロマ植物、メディカル・アロマ植物の実用開発および販売

◆知的財産権:特願2017-214231「アブラナ科植物の免疫活性化方法及び免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法」
◆書籍:有村源一郎、西原昌宏(2018)植物のたくらみ―香りと色の植物学.ペレ出版(東京)pp.159
◆Uemura T.,Yashiro T.,Oda R.,Shioya N.,Nakajima T.,Hachisu M.,Kobayashi S.,Nishiyama C., Arimura G.(2018)Intestinal anti-inflammatory activity of perillaldehyde.Journal of Agricultural and Food Chemistry 66:3443-3448 Sukegawa S.,Shiojiri K.,Higami T.,Suzuki S.,Arimura G(2018) Pest management using mint volatiles to elicitresistance in soy:mechanism and application potential.The Plant Journal.In press

お問い合わせ先


東京理科大学 研究戦略・産学連携センター
〒162-8601 東京都新宿区神楽坂一丁目3番地 
TEL:03-5228-7440
E-MAIL:ura@admin.tus.ac.jp

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