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インタビュー情報

withコロナ生活を革新的に変える研究です。

産学連携情報

工学院大学 先進工学部 環境化学科 岡田文雄 教授   

withコロナ生活を革新的に変える研究です。
新型コロナウィルスの流行が続き、世界的にも新しい生活様式が求められる今、“水道水から切り替え一つで消毒液が出る!”そんな時代がくるかもしれません。

今回ご登場いただいたのは、工学院大学 先進工学部の岡田文雄教授。17年間、温めてきたシーズがコロナの流行で脚光を浴びています。既に、5件の企業と共同研究が進んでいる岡田教授の研究をたっぷりとご紹介します!

―早速ですがどういった研究なのでしょう―
『はい、簡単にいえば水道水と家庭用の100V電源だけで理想的な殺菌洗浄水を作ることができる技術です。オゾンと過酸化水素を含んでいる促進酸化水というものがあるのですが、その水には除菌や殺菌、洗浄効果があるのです。そのこと自体は既に知られているのですが、今回はその促進酸化水を非常に簡便に、かつ安全に作りだす装置を開発しました。』

―例えば、その装置を家庭に取り付ければ、水道水が消毒液になるということでしょうかー
『その通りです。現在はコロナの流行で手洗いやアルコール消毒など皆さんなさっていると思いますが、その装置を取り付ければ水道水が消毒液になるわけです。勿論、飲用の水道は切り替えれば飲むことができます。』

―それが実現したら私たちにとっても非常に嬉しいです!―
『そうですね。家庭用に小型化するというのが大変でした。既存の装置はとても大型でしたし高価でもありましたから。ですから、私たちは軽量でコンパクト、低価格、水道管への取り付けが簡単、長寿命であること等を目標に掲げて開発をしました。』

―そうした研究が、たまたまコロナの流行と重なったのですね―
『はい。そもそも促進酸化水は、大腸菌やノロウィルスとか、菌の種類を選ばずに殺菌できるという特徴があったわけですが、コロナにも通用するのではないかと試験をしたのです。すると、新型コロナウィルスの代替ウィルス(豚コロナウィルス)で検証した結果、ほぼ不活化できることを確認しました。』
(0.9㎎/Lの溶存オゾンと0.4㎎/Lの過酸化水素を含有する促進酸化水を9 mL 使用することにより、1 mL の溶液に含まれる5000万個の豚コロナウィルスを93.6%、13万個の豚コロナウィルスを99.9%不活化した)

―それは素晴らしい結果でしたね!でも、なんだかオゾンと聞くと怖いような気がしてしまうのですが、どうなんですか―
『そういったイメージがあるかもしれませんが、とても安全です。手が荒れることも臭いもほとんどありません。台所にも使えますし、お風呂や洗濯水等にも使えます。洗髪にも良いといいますし、洗濯では部屋干しの嫌な臭いも防げます。また、有害なオゾンガスも出しません。オゾンを全て水に溶かすという画期的な気液ミキサーを開発し使用しておりますので、安心してお使いいただけます。』

―安全で、しかも環境にもやさしいとなると、やはり企業からのお声はかかっていますよねー
『はい、現在5社と共同研究を進めているところです。それぞれの企業が、この技術を使っているのですが、使い道は異なります。例えば噴霧機や散布器への応用です。レストランや病院など入る前に噴霧して除菌してから入店するとか、農場や畜産場へ散布するとか。あとは、下水配管洗浄への応用です。今、ディスポーザーって台所についているところがありますよね。野菜の残ったもの等を砕いて流す機器ですが、やはり詰まってしまって臭いがでてしまうなどの問題があるようなので、そこに使用するとか、様々です。』

―沢山の企業からお声がかかる中で、どんな企業との連携をのぞみますかー
『そうですね、やっぱり、“夢”をもっている企業でしょうか。自社の持っている技術と私の研究室の持っている技術を組合せて使い、社会実装、世の中を便利に衛生的に安全にしたいという夢をもっていてほしいです。そういった企業の方とディスカッションするのは私も楽しいですしね。』

―さて、このwithコロナの生活ですが、岡田先生ご自身ではなにか困ったことや変化はありましたかー
『大学の入構規制などにより研究がなかなか進められなかったということです。あとは、やはり遠隔授業を何科目も担当しなければならないので、その講義資料を作って音声をいれてと・・徹夜で作業しました。8月のお盆から12月の中旬まで一日も休めなかったです。でも、学生達も大変でしたよ。特に卒論を完成させなくてはならい学生は。だけど、私の研究室の学生達は良い成果を出してくれました。』

―岡田先生はこれから社会に旅立つ学生たちにどんなことを伝えていますか―
『私は24年間勤めた会社からリストラされているのですが、そういった教訓も含め、“就社”ではなく“就職”しなさいと言っています。就いた“職業”について深く学んで知識をつけてほしい。会社が左前になってもその知識で生きていける人間になりなさい、と言っています。』

―岡田先生のゼミの学生たちは、やはり学んだことが生かせる企業に就職するのですかー
『すべてがそうではありませんが、今回は一緒に共同研究をしていた企業から声がかかってという子もいました。今の学生たちは、しっかりしていますし、責任感をもって進めてくれます。うちの学生たちは、私が「これやってみたら?」といってできない理由を述べるような子はいなくて、非常に意欲的。いくつか特許も出願していますが、学生が出した実験データに触発されたというものもあります。また、私一人の頭と手と体では仮説の設定とそれを検証するための装置のアイデアを出すことが精一杯であり、仮説の良否の検証は時間的にできないのですが、学生が装置を作って検証どころか性能や寿命の実証までしてくれるという形で研究が進みますね。学生が交代しながら研究室に5日間泊まり込みで実験をするという週もありました。』

―この技術の今後の展開ですが、どうお考えですかー
『研究室の学生達には、この技術の特許使用料で60億円/年を稼いで工学院大学生6000人の授業料をタダにするぞ、と冗談を言いつつモチベーションを上げています。そのためには、日本のマーケットは限られていますので、海外も視野にいれています。
特に、塩素系洗浄剤の使用が禁止されている欧米、または中国での利用が考えられます。海外からは実際に、ネパールの日系企業から話がきています。ネパールは水道が発達しておらず井戸水を使用しているそうなのですが、近くで家畜を飼っていて井戸水に大腸菌やアンモニアが入ってきて飲めないそうなのです。それを殺菌洗浄してくれる装置はないかということなのですが、まさしくうってつけでした。促進酸化水は、大腸菌も殺菌できますし、アンモニアも分解できます。既に、川の水で検証したのですが、汚れなどを取り除くフィルターを新たに取り付けるなどしましたが、水道水と同じレベルで殺菌することができたので飲用も可能であろうという研究結果です。

この研究に日が当たるまで17年かかりました。私は大腸菌やノロウィルス、鳥インフル等、そういうものを考えて研究してきたのですが、突然コロナが流行して脚光を浴びるようになったわけです。やっぱり真面目にやっていると神様もスポットライト浴びせてくれるのだなと、そういう気がしています。
私は、あと1年で大学を定年退職します。国内の大学では、おそらく私しか促進酸化水の研究をしていないので、この技術をだれに継承したらよいのかが今の懸念でして。たぶん共同研究している方々に託して、次の開発を頼むしかないのかなと思っているのですが。本当にそれでいいのかなと、私の17年分の知識、経験、ノウハウがきちんと伝わるのかなと、一抹の不安を感じていますが、まずは関わっている共同研究を実らせることに邁進したいと考えております。』

―まさしく、岡田先生の研究は今、世界中が求めている技術だと思います。この研究が大きく羽ばたくことを望みます。ありがとうございましたー


≪工学院大学 先進工学部 環境化学科 岡田文雄 教授≫

■研究分野
ものづくり技術(化学工学・機械・電気電子)、反応工学
グリーンサステイナブルケミストリー、環境化学、環境関連化学

■共同・受託研究希望テーマ
オゾン水、水素水、促進酸化水の生成技術、及び気液スタティックミキサーの利用法に関する産学連携等、民間を含む他機関との共同研究を希望します。
技術相談、技術指導、受託研究にも応じています。

■研究の詳細
https://www.kogakuin.ac.jp/research/seeds/fbb28u0000007cdh-att/t5eu690000014qf8.pdf

◆企画 産学連携推進協会◆
                            

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