■明度向上、色むら解消
新製品では3タイプの色温度を用意した
ホテルの宴会場や企業セミナーなどの空間演出を手掛けるテクニコは、独自の制御システムによって無段階で調光できる業務用の発光ダイオード(LED)スポットライト「エスエルワンマークツー」を発売した。2011年に発売した前モデルに比べ、明度を上げて色むらを解消したのが特徴。14年にはさらに大きな空間をカバーできるタイプを投入する計画だ。これに伴って販売店の数を増やし、5年後には、売り上げ30億円を目指す。
同社の主力事業は空間提案。「テクニコデザイン」という名称で事業展開しており、音響と照明、映像をハードとソフトの両面からとらえ、総合的な演出を行っている。とくに強みを発揮している納入先がホテル。30カ所との契約を交わしている。
ホテルの宴会場の設備改修は通常、10~15年周期で行われている。しかし、不況の影響によってすべての会場を改修するのは難しい。とりわけ中小規模の会場は設備改修を後回しにされ、古い設備が使用されるケースが多い。また、スポットライトなどの備品に関しても、ホテルの開業から更新されないケースも珍しくはない。
一連の事情を踏まえ大手の照明メーカーも、定員が50人程度の中小規模会場向け業務用スポットライトの新機種を開発していない。この領域向けのLEDは“空白区”といえる。
テクニコがLED市場に参入した理由は、こうした市場背景があるため。既存の調光設備に対応できる製品を開発すれば市場を開拓できると判断し、事業化に踏み切った。同社が企画し台湾メーカーに部品製造を委託し、最終組み立ては日本国内で行うというのが全体の工程だ。
第1弾の「エスエルワン」はこれまで、累計で2000台の販売実績を残している。販売過程では「顧客から多様で細かな要望が寄せられた」(諏訪寧三社長)という。その一つが、「披露宴のテーブルの照明を照らす際、中心の花だけに当てたい」。こうした意見に丁寧に耳を傾け、改良を重ねることでエスエルワンマークツーの開発にこぎつけた。
マークツーの特徴は、明度を向上させた点。従来の明るさはハロゲンランプに換算すると200ワット相当だったが、250ワット相当へと25%高めた。また、明かりの中心と外側の色温度のむらを改善。「ミディアム」「ワイド」というレンズ角度に加えて、「ナロー」を加えることで、演出の場を広げた。
対応に適しているのは、天井の高さが3.5~5メートル程度の空間。これまでは基本的にホテル向けだったが、ライブハウスやテレビスタジオ、葬儀場といった新規分野へ攻勢をかけていく。また、来年の商品化を計画しているさらに大きなタイプの商品は、高さ7メートル程度の会場まで対応が可能。これによって用途開拓をさらに進め、コア事業に育てていく考えだ。(伊藤俊祐)
【会社概要】テクニコ
▽本社=大阪市中央区城見2-1-61 ツイン21MIDタワービル34階
▽設立=1986年7月
▽資本金=4000万円
▽事業内容=ホテル宴会場などの空間演出
「フジサンケイビジネスアイ」