■馬焼き肉店、激戦地で腕試し
馬焼き肉店「三馬力」の店内=東京都豊島区
東京・池袋。この国内有数の巨大商業エリアに6月、「三馬力」という名のユニークな焼き肉店がオープンした。
同店は「おそらく関東では初めてではないか」(三馬力関係者)という馬焼き肉専門店。関東ではまず見かけない業態だが、オープン以来、1日の売り上げも20万~25万円と好調に推移している。
店名の「三馬力」は、馬肉を食べることで得られる「美容」「健康」「おいしい」という3つの“力”にちなんだもの。このうちの「おいしい」は、飲食店のチェーン展開やブランド開発、プロデュースを手がけるベンチャー企業、OICY(大阪市西区)の社名でもある。
OICYでは、「日本の食文化である馬肉を通して世の中を元気に」というテーマを掲げ、馬肉の魅力を伝えるとともに世界一の馬焼き肉専門店を目指している。
そのために、「世界でも食やサービスレベルが高い日本の中心であり、世界的な情報発信源でもある東京で認められる必要がある」(OICY関係者)と考え、1号店をあえて激戦地に出店した。その激戦地で検証するのは、もちろん“馬焼き肉”の可能性だ。
日本では、古くから貴重なタンパク源として馬肉が食べられてきた。そんな馬肉だが、同社はその美容・健康効果に目をつけた。
実は馬肉は、牛肉などに比べると圧倒的に低カロリーだ。五訂増補日本食品標準成分表によれば、馬肉のカロリーは鶏のムネ肉とほぼ同等の100グラム当たり110キロカロリー。脂質は同2.5グラムと和牛のリブロース10分の1以下だ。半面で、タンパク質は和牛モモ肉と同等の同20.1グラム、鉄分は和牛のリブロースの2倍以上、鶏ムネ肉の20倍以上と豊富。つまり馬肉は、低カロリーで高タンパク、不足しがちな鉄分なども多い健康食材というわけだ。
「三馬力」ではこの“健康食材”を、熊本県で加工まで一貫生産している千興ファームから100%調達している。
店舗には、陶板でできた専用の焼き器を導入した。馬肉は通常の火加減だと硬くなりやすいなど、実は焼き肉向きではない。しかし、専用の焼き器を使い、放熱に合わせた肉厚にカットするなど工夫して、弱点を克服。3種類の専用タレも用意し、“おいしさ”を追求した。
OICYはすでに、東京都内で串揚げ店なども展開しているが、三馬力については「2015年末までに東京の主要エリアに10店舗、その後は全国展開を目指すほか、海外展開も検討する」(兼子栄治・OICY代表取締役)という。(青山博美)
「フジサンケイビジネスアイ」