■アパレル拡充 新規顧客を開拓
ロコンドの田中裕輔社長(左)とデシグアルを展開するアバシックのジョルディ・バルセイス・バルス・アジア担当副社長
靴を中心としたインターネット通販サイト「ロコンド」を運営するロコンド(東京都港区)が、時計やアクセサリーに加え、アパレル販売を本格開始した。2013年春夏シーズンでは、スペイン発のファストファッション「デシグアル」など100ブランドの販売を予定し、15年中に1000ブランドまで拡充する方針で、15年2月期には13年2月期比3倍超となる取扱高100億円を目指す。
ロコンドは11年2月、靴専門の通販サイトとしてサービスを開始し、同年7月にはバッグを追加した。取り扱う全商品が購入後30日間は送料・手数料ともに無料返品でき、利用方法や商品選びの相談に電話やメールで対応するコンシェルジュサービスも特長だ。返品可能期間が長いため、自分の洋服などとのコーディネイトを試したり、時間帯で足がむくむなどサイズ選びが難しい靴の履き心地も確認しやすい点が評判を呼んでいる。
12年9月以降、月別取扱高が急伸した。「買ってから選べる通販サイトの認知度拡大と商品拡充が要因だ」と田中裕輔社長は話す。靴・バッグで1000ブランドをそろえ、会員数は13年5月22日までで30万人。
今回のアパレル本格展開は「会員から洋服もロコンドで買いたいという要望が出ていたのと、洋服の方が靴よりも市場が大きいため」(田中社長)だ。今年3月からスポーツウエアのデサントなど6ブランドを先行販売し、今回、デシグアルとアースミュージック&エコロジーなど3ブランドを加えて、本格開始に至った。
デシグアルは大胆な柄と色づかいが特徴の人気ブランドで、12年の総売上高は8億ユーロ(約1051億円)。日本では12年12月に東京・原宿に旗艦店を開設し、13年4月に大阪にも店舗を開くなど、13年の日本売上高は前年比2.23倍の25億円超を想定する。こうした中、日本展開に関するマーケティング活動を含めた業務提携をロコンドと締結し、日本国内向け直営オンラインショップと位置づけた。デシグアルを運営するアバシックでアジア担当副社長のジョルディ・バルセイス・バルス氏は「世界売り上げの約10%がネット販売によるものだが、3年後には30%を想定しており、(業務提携は)その戦略の一環だ」と話す。ロコンドでは400アイテムを投入する計画だ。
田中社長は「ロコンドの中心顧客は30代後半女性で、デシグアルの顧客層と一致する。春夏に投入する100ブランドの中で、デシグアルを目玉に位置づけたい」と期待をこめる。これまで85%を靴で占めていた取扱高比率構成を変え、3割程度をアパレルで獲得する一方、新規顧客の開拓につなげる考えだ。(日野稚子)
「フジサンケイビジネスアイ」