■企業の魅力「ノベルティー菓子」で発信
お中元のフタを開けると全社員の顔写真と社名入りクッキーが目に飛び込んでくる…。企業が伝えたい感謝や思いを個性的な箱と菓子を組み合わせた「オリジナル菓子」に乗せ伝える。そんなサービスで実績を積む総合ブランディング事業会社がエスプライドだ。西川世一代表取締役は、新しい発想で企業の内に秘めた魅力をカタチにして発信したいと意気込む。
--野球を断念し事業家への道に進んだ
「プロ野球への憧れを抱いた私は、強豪校の中京大学附属中京高校(名古屋市昭和区)で野球に没頭した。しかし、けがで思うようにグラウンドに立てず、大学進学後に野球の道を断念した。チャレンジする目標を見失う中、父親が頑張る姿を横目で見ながら、早く勉強して次の目標を掲げる思いを強めた。そして大学を3カ月で辞めて、1997年に上京した」
--その後の展開は
「父の会社は、段ボール箱や包装資材の生産・販売を名古屋で手がける紙器(しき)製造会社だ。その仕事を手伝いながら、パッケージにデザイン性を加えることに関心を持ち、98年にデザイン学校に入学した。印刷の基礎も学び、父の会社には2000年に入社し、商品陳列などの紙器ニーズを開拓する営業活動に奔走した。価格競争にさらされた紙器業界の厳しい現実をみて、新たな価値で勝負するビジネスを見つけないと未来がないと思い始めた」
--菓子との出合いは
「あるとき、競艇場で来場者に配るノベルティーグッズの制作依頼が舞い込み、選手の人形と砂糖菓子『コンペイトー』を入れた紙箱10万個を手がけた。後になって、ビジネスの種を探る際に菓子によるコミュニケーションに面白みを感じ、好みの菓子とパッケージを選んで作る付加価値品『ノベルティー菓子』を贈答品や記念品などに生かす取り組みを父の会社の事業として立ち上げた。その後、営業を本格化させ、05年にエスプライドを起業した」
--現在の事業領域は
「パッケージの『魅せ方』を変えることで人の感情を動かせる仕事で多くの知見を培った。それを企業などのファンづくりに生かす事業が広がり、今では上場企業や老舗会社などを丸ごとブランディングし、企業理念からロゴやホームページまでの刷新を手がけている。取引社数は約600社に達した」
--新たな挑戦は
「今年3月に福利厚生サービス『はい!おやつClub』を始めた。全国の菓子メーカーから企業に菓子を定期的に届け、それをきっかけに社内のコミュニケーションを深める狙いだ。当社を支えてくれた製菓業界に恩返ししたいとの思いもある。菓子に新しい発想で光を当て市場を広げたい」(臼井慎太郎)
【プロフィル】
西川世一 にしかわ・せいいち 中京大学附属中京高校卒。2000年に父親が経営する紙器製造会社に入社。05年4月に総合ブランディング事業会社のエスプライドを設立し現職。34歳。愛知県出身。
【会社概要】エスプライド
▽本社=東京都渋谷区千駄ケ谷3-17-11
▽設立=2005年4月
▽資本金=5100万円
▽事業内容=顧客ニーズに応じて菓子と箱をアレンジする「オリジナル菓子」の企画・制作やブランディング事業など
「フジサンケイビジネスアイ」