2012年5月26日に行われた「第3回企業対抗駅伝」のスタート場面=東京都江東区の夢の島競技場(スポーツワン提供)
国内では年間で7000回にも上るアマチュアのスポーツイベントが開催されている。このうち、スポーツワン(東京都世田谷区)は約3000回分の企画・運営に携わる。これまでは個人向けサービスに力を入れてきたが、ここ数年は法人をターゲットにしたイベントに積極的に取り組む。代表的な事例が企業対抗駅伝だ。
参加チームは、メンバー全員が同じ会社に所属していることが条件。5人1組で構成して1人当たり5キロを走り、たすきをつないでゴールを目指す。参加費は1チーム2万円で、同じ企業から複数チームの参加も可能だ。
2010年に開始して以来、参加社数は順調に伸びている。5月18日に川崎市で行われる大会は東京地区で4回目。昨年は387チームだったが、今年は5割増しの600チーム程度まで増える見通しだ。
このイベントを開催したのは武田利也社長が「(2008年の)リーマン・ショックによって企業活動が停滞していたため、イベントを通じ企業を元気にしたい」と思ったのがきっかけ。当初は主に中小企業が参加すると予測していたが、実際は日立製作所や大日本印刷、NTTドコモなど大企業がズラリとそろった。
かつては大企業を中心に、社員の結束力を高めるため運動会が開催されていたが、経費削減で、こうした催し物は極端に減少した。一方で、若手社員が離職するケースが少なくないことを受けて、「予算をかけずにコミュニケーションの活性化を図りたいというニーズは強い」(武田社長)という。これが、年を追うごとに参加社が増えている理由の一つだ。
また、社内の士気を高めるだけでなく、社外との交流を促進する仕掛けも行う。例えば、「名刺交換ブース」を設置し、ランナーだけでなく応援に来ている社内関係者も、名刺を10枚集めたら抽選会に参加できる特典がある。この取り組みについて武田社長は「企業間の交流が進み、新しいビジネスに発展する可能性もある」とみている。表彰式や応援の場を活用して、自社をPRすることも可能だ。
同社では今後、企業向けイベントの充を図る。その一環としてフットサルやバスケットボールの企業対抗大会を開催。同じチームが同じメンバーで、駅伝を含む年間グランドスラムを達成したら、世界一周旅行に招待する。駅伝大会も東京と大阪のほか、名古屋など他の都市での開催も視野に入れている。(伊藤俊祐)
「フジサンケイビジネスアイ」