□特許商品「まどりーど」 樹脂二重窓で省エネ 結露解消
東府中病院の院長室のガラス窓に設置されている「まどりーど」。快適な室内空間をもたらしているという
窓ガラスの断熱性能に優れ、結露を大幅に解消するという冬場の「窓」の悩みを解決する特許商品が注目を集めている。温水床暖房などを製造するミナミヒーティングプラン(東京都稲城市)が製品化し、2012年に特許を取得した樹脂二重窓パネル「まどりーど」だ。
既存の窓ガラスの室内側に、着脱可能な特殊クリップで3ミリの空気層を持たせて、ガラスの約5倍程度の断熱性をもつ樹脂(ポリカーボネート)パネルを取り付けるだけで、冬場には30%前後の節電・省エネ効果があるという。それだけに「電力危機対策が急務な今、『まどりーど』が解決に役立つ」と開発者の村上誠社長は胸を張る。
冬は単板窓ガラスから室温の50%前後の熱が外に放熱されている。そこで、高断熱窓にそっくり交換したり、内窓を追加で取り付けたりして対策を取っているが、費用と時間がかかるのが一般的だ。
「まどりーど」は、1平方メートル以内の窓に設置した場合、1万6900円から(設置費は別)と半分程度の費用で済むため経済的。しかも、節電と省エネをもたらす断熱性能だけでなく、外気と室内の温度差で生じる結露も大幅に解消しカビの発生などを抑制する。また樹脂パネルはガラスの150倍以上の強度をもっており、衝撃に強く、割れにくい。このため地震や衝撃で窓ガラスが割れても室内への飛散を防ぐほか、窓からの防犯にも役立つという。
夏場においては断熱効果やUVカット、遮熱効果もあるため、冷房の効きが良く、20%程度の節電・省エネ効果が期待できるという。
快適な室内空間をもたらすため、オフィスや工場の作業効率や学校などの学習効率も向上。昨夏に「まどりーど」で遮熱タイプを取り付けた東府中病院(同府中市)では「夏は西日が厳しかった窓のじりじり感が緩和され、冷房の利きも良くなった。冬は病室における窓際の冷気がおさまり大変快適」(十藏寺澄子常務理事)という。「まどりーど」は着脱が可能なため、賃貸物件やマンションの共有部の窓への設置もできる。
12年度の環境省ETV(環境技術実証事業)に大建工業と共同申請。対象技術に選定されたことから中小企業の事業施設、商業・公共施設などの窓対策として導入が見込まれる。また保育園や幼稚園施設では窓ガラスの安全性の確保からも注目が高まっている。今後は、独自の全国サービスバイザーネットワークを駆使して取扱店の拡充に力を入れていく。(松岡健夫)
「フジサンケイビジネスアイ」