■「賛成」58% 置き去り懸念
今月9日にロシア・ウラジオストクで閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、日本は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加協定を見送った。経済団体などからは「早く参加しないと、世界のルールづくりに乗り遅れる」といった批判の声が高まる一方、農業関係者などは「参加すると、日本の農業が壊滅的な打撃を受ける」と反対の姿勢を崩していない。
そこでフジサンケイビジネスアイは、中小・ベンチャー企業を対象に「TPPへの参加」について賛否を問うアンケートを実施。その結果、「賛成」と答えた企業が58%と過半に達し、「反対」は23%にとどまった。「わからない・どちらともいえない」は19%だった。
「賛成」と答えた企業からは「貿易立国の日本が保護主義に走れば、グローバル経済の中で取り残される」(不動産業)、「成熟経済下で人口減少が続くわが国において海外とのリレーションは不可欠。マーケットが世界に広がるという前向きな意見に乗るべきだ」(サービス業)との意見が相次いだ。
また、中国、韓国との間で緊張が高まっていることを反映して「今こそ、TPPに積極的に参加しアジアでの日本の立場を確立しなければ鎖国状態になる」(その他)と訴える声もあった。農業関係者から反対意見については「『農業を保護すべきだ』との戦後からの継続施策が甘えを呼び、グローバル時代に対応できないひ弱な産業にしてしまった。今こそ過保護から脱却し、世界相手の強い産業になるべく挑戦すべきだ」(卸・小売業)との指摘があった。
一方、反対の意見は「食の安全だけでなく食糧安保の観点からも、TPP参加は非常に危険。国内農業が壊滅的な打撃を受けた後は選択肢がなくなることで輸入食料の価格つり上げにも抵抗できなくなる」(サービス業A)といった意見が目立った。
また、「医療制度や知的財産もダメになる。まず、国内の基盤・土台をしっかりさせるべきだ」(サービス業B)と農業以外のダメージを指摘する声も多く寄せられた。「平等な国際ルールになればいいが、結局は大国(米国)のエゴによるミエミエの不平等条約を押し付けられる」との意見もあった。
アンケートは9月12~20日にかけて、中小企業で構成されるイノベーションズアイの会員企業にインターネットで実施し、111社から回答を得た。
「フジサンケイビジネスアイ」