「新サービスを続々投入する」と意気込みを語るセレゴ・ジャパンのエリック・ヤング社長=東京都渋谷区のセレゴ・ジャパン本社
■楽天も採用 高い効果で人気
とても流暢(りゅうちょう)な日本語は、父親の仕事のため日本で過ごした少年時代、学校の友達との会話で覚えたという。ただし、「日本語の文法は大嫌いで、勉強したことがない」
自身の日本語習得についてそう語るのは、脳科学を駆使したウェブ上の語学学習サービス「iKnow!(アイノウ)」を提供するセレゴ・ジャパン(東京都渋谷区)のエリック・ヤング社長だ。
アイノウは昨年3月の有料サービス開始から1年弱で3万人のユーザーを獲得。社内公用語の英語化を決めた楽天グループが従業員向け英語学習教材として2月1日から全面採用するなど、グローバル展開を急ぐ企業ニーズも高い。人気の理由は明快。ネットでの英語教育サービスは数あるが、その学習効果が抜群なためだ。
楽天の社員を対象にしたテストでは、毎日15分、週1時間半程度の学習を3カ月間続けた社員の英語能力テスト「TOEIC」(990満点)スコアの平均上昇率は116点に達したという。もちろん日本の学校で学ぶ“英文法”の学習はない。
「よりよいものを、より安く提供するのがネット企業としての使命」というヤング社長。利用料金は1カ月1000円、1年継続だと1カ月当たり約700円と、戦略的に設定した。その結果、有料化以前に提供していた無料サービスの利用者のうち2割、約2万人が有料に移行。ネット業界では1~3%程度が一般的とされるだけに、驚異的な数字だ。
アイノウは、ユーザーの学習を通じて、システム側が個人ごとに忘却パターンを把握。アニメーションや音声を活用し、最適なタイミングで繰り返し弱点を克服させることで記憶を定着させる。ゲーム性もあり、ユーザーを飽きさせない。
ヤング社長が「教育サービスではなく、あくまで学習効果向上のためのテクノロジー企業」というように、脳科学、認知心理学などを駆使した学習手法で特許を取得。学習効果は数学や物理でも同じだが、現在は「市場が大きい」(ヤング社長)英語と中国語に絞る。
今年2~3月には無料サービスを入り口に、有料への移行を促す「フリーミアムを導入する」(同)ほか、「新たに画期的な新サービスの提供を始める」(同)。同時にスペイン語や中国語圏の英語学習ニーズ向けにグローバル展開を本格化させる。
ヤング社長は「数年以内に会員100万人は可能と思う」と豪語。来年の上場も目指すなど、さらなる急成長を目指す。(池誠二郎)
「フジサンケイビジネスアイ」