第4回『イノベーションズアイ交流会in大阪セミナー&プレゼン大会』(フジサンケイビジネスアイなど主催)が大阪市内で開かれ、表現力や収益性などが評価された美容グッズ企画・販売業のウィッチェリー(堺市堺区)がプレゼン大賞に選ばれた。受賞した河野裕史社長が起業についての考えや製品開発への思いを語った。
河野社長はタオラップル開発について「秘訣は逆転の発想と人脈にある」と明かす
「witchery」は、魔法、うっとりさせることを意味し、これを社名にした。〝女性を美しくする〟を基本コンセプトにする河野社長は「商品で魔法をかけるように美しくなってもらいたい」と説明する。
設立は2008年8月。「リーマンショック(08年9月)後であれば、銀行融資が受けられなかったかもしれない」と運も強調する。河野社長は学生時代から40歳で独立することが夢だった。大学卒業後、製造業や女性対象のアイデア雑貨などの営業を体験し、独立に備える。「起業前の約20年間は人脈を形成する期間であり、流通を学ぶ時間だった」と振り返る。
◇既成概念を捨てる◇
会社設立後、第1弾の商品、つけまつげ専用接着テープ「ドクターグルーメイシャー」は約20万個をバラエティーショップやドラッグストアなどで販売。製品企画の段階でサンプリングを行い、つけまつげの悩みは、「はがれる」ことよる「肌荒れ」であると判明。そこで、溶液を使う接着ではなく、肌荒れしにくい1㍉幅の両面テープを使うことを考案する。
第2弾は、当時流行していた盛り髪にピンを不要にした簡易なグッズ「ヘアアレンジベースモーリ」。第3弾は、クリームだが、油とり紙をイメージしたテカリ防止クリーム「塗る油とり紙」。第4弾は、娘が小学校の理科で作ったスライムがヒントになった。樹脂のジェル製のフェースマッサージ用「コスメデスライム」。多くが20万個を超えるヒット商品となった。新製品を生む原動力を河野さんは「既成概念を捨てることが基本」と話す。そのため「週2から3日、バラエティーショップなどに足を運ぶ」と消費者ニーズや市場動向を観察する。
◇枠を超え逆転の発想も大事◇
「既成概念を捨てる」ことは第5弾の発汗促進タオル「タオラップル」にも生かされている。タオルは汗を拭くものだが、この商品は逆に汗を出すタオル。商品名にもひと工夫加えた。タオルの「タオ」と「ル」の間にラップを入れ、三層構造を表している。製品化の過程には、スチームタオルや痩身用ラップなどを使うエステティシャンの意見が参考となった。
製品の特徴は、2枚のマイクロファイバー素材の生地の間に機密性の高いポリウレタン樹脂のラップを挟んで蒸気を逃さない。また、布地がマイクロファイバー素材で顔の汚れも落としやすい。さらに、最近の節電ムードが追い風となり、暖房グッズとしてバラエティーショップなどでも注目されている。容器もキッチン用ラップを模して細長くした。
タオラップルも販売20万個をうかがう。さらに、来年早々、新製品の企画があり、今期は、前期比2倍の売り上げを目指している。
◇情報の共有と取捨選択◇
河野社長は、起業を目指す人に対し、既存の枠を超え何か付加価値をつなげていくと新しい発想が出るとの考えを示したうえ、「多くの情報を共有し、次に消去。残った情報をもとに製品企画する。人脈が宝物ですよ」とアドバイスする。
【問い合わせ】
株式会社ウィッチェリー
大阪府堺市堺区田出井町1-3
電話072・320・4324
URL:http://www.witchery.jp
「フジサンケイビジネスアイ」