節電効果の高い秋冬物寝具を展開するナイスデイの手塚社長
ナイスデイ(横浜市西区)は、毛布を主力とする寝具を中国で生産し、インターネットで卸販売している。3月の東日本大震災を機に、節電効果を前面に出した製品を販売。クーラーの使用を控えることができる春夏用のひんやり寝具がヒットした。秋冬物でも暖房の節減につながるハイテク毛布の展開で、前年同期比5割増を目指す。
例年なら6~7月が販売のピークとなる春夏物寝具の在庫は今年、早くも6月には底をつき、売上高は前年同期比4~6割増を記録した。米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士の手袋向けに開発された「アウトラスト」と呼ばれるハイテク素材を採用し、気温が上がっても、寝具の温度が皮膚表面温度(32~33度)に自動的に調整され、ひんやり感じられる毛布やパッドが人気を集めた。
9月からは冬季の節電をにらみ、秋冬物の引き合いが増えているという。手塚義一社長は「大震災以降、消費者の節電、省エネ志向が強まっている。エアコンが3台ある家庭でも運転を1台で済ませようとするなどマインドが一変した」と話す。
9~12月の秋冬物の主力商品は髪の毛の100分の1の極細素材を使った「マイクロファイバー毛布」。「mofua(モフア)」のブランド名を冠し、1年保証を付け1980円で販売している。すでに昨年まで累計40万枚の販売実績があるが、今シーズンは20万枚の販売を目指す。
モフアシリーズには、ガウン(かい巻き)など多くの製品をラインアップ。このほか、反射熱による保温性を持つアルミを使ったパッドや、汗などの水分を吸い込むと発熱する性質を持ち通常より2.6度温度を高く保てる「ヒートウオーム」素材を利用したハイテク製品などで消費者の節電志向に応えている。
同社が消費者から支持を集めているのは、「ユニクロ世代」と呼ばれる20~40代に照準を合わせ、(1)低価格(2)暖かい(3)自宅で洗うことができる(4)軽い-という特徴を持った製品を開発していることが理由の一つだ。一方、ネット小売店向けには、同社の製品を販売しやすくするよう、販売用ホームページを用意するなどの工夫を凝らし、販売会社は200社を超えた。
節電志向の高まりというフォローの風が加わり、昨年約10億円だった年商は今年、3割増の13億円に達する勢いだ。3年後の20億円突破が視野に入ってきた。(佐藤健二)
「フジサンケイビジネスアイ」