コンシェルジュ 太田匠吾代表取締役
起業して間もないスタートアップ企業が開発したチャットボット(自動応答システム)による自動対話エンジンプラットフォームが、大企業などから注目を集めている。人工知能(AI)を使った機械と人の自然な対話が、コンシェルジュによる“おもてなし”を思わせるからだ。提供するのは、その名の通りコンシェルジュ(Concierge U)で、太田匠吾代表取締役は「グーグルやフェイスブックのようなグローバルプレーヤーを目指す」と意気込む。その革新性・独創性が評価され中小・ベンチャー企業の支援組織であるイノベーションズアイが昨年12月3日に開催した「革新ビジネスアワード2018」で大賞に選ばれた。
評価されたビジネスモデルとは
「AIが進化すると多くの業務が自動化されて、ただの機械も機械としてではなく、一歩進んだコンシェルジュとしての活躍が期待されるようになる。つまり、『人と人が話す』ように『人とロボットが話す』ことが求められる。このようにコンシェルジュであるAIが、ユーザーの知りたいことをデータから分析し、求める答えを導き出して提供する。対話しているユーザーが本当に人と会話しているような感覚になれる。このような、ユーザーが『使いやすい』を実感できるエンジンを志向している」
ユーザー個々の求める答えを分かって発言する
「チャットによって得られる情報はユーザーの直接の発言なので基本的に正しい。ユーザーとボットとの対話を通じて蓄積される情報は増えていくので、その人への理解が増し、『この人は間違いなく、この情報を欲しがっている』と分かって提供することができる」
市場で受け入れられている
「個々のユーザーに対し特別感のある応答を実現できることが当社の競争優位性といえ、検索や相談などユーザーの問い合わせに対応する自動応答システムとして主に利用されている。マーケティングデータを収集できるからだ。2016年6月に起業し17年初めからシステムを提供しているが、すでに大企業を中心に約100社が導入している。今後は中小企業でも、ユーザーの問い合わせに応答できる仕組みを自ら作れるものに進化させ、さらに普及させたい」
今後の展開は
「この対話エンジンを単なるカスタマーサポートとしてではなく、今後の進展が見込まれるIoT(モノのインターネット)分野を視野に入れている。つまり、今はチャットインターフェースだが、今後はIoTに焦点を当てる。16年に約6兆円に達した国内IoT市場は22年には約12兆円に成長するといわれており、われわれにとってチャンスだ。このため、IoT製品の中に当社の対話エンジンを組み込んでもらう試みに取り組んでいる。スマートフォンなどの媒体を使わなくても機械自身がユーザーと直接対話できるようになる。それを支える自動対話エンジンプラットフォームを提供する。この世界で当社はナンバーワンと自負しており、成長モデルを創る。スタートアップ企業として4年後のIPO(新規株式公開)を目指す」
【プロフィル】
太田匠吾 おおた・しょうご
東京大学大学院農学生命工学研究科修了。2006年JPモルガン証券投資銀行入社。産業革新機構を経て、15年にコンシェルジュを設立し現職。山口県出身。37歳。
【会社概要】
コンシェルジュ
▽本社=東京都千代田区富士見2-4-12
▽設立=2015年2月6日
▽資本金=1150万円
▽従業員数=15人
▽事業内容=AIチャットボット「Concierge U」開発
「フジサンケイビジネスアイ」