■固定並みPHS、3分8円から
法人向けに割安電話サービスを提供するアジルネットワークス(東京都中央区)は、PHSを固定電話代わりに活用できるサービスの提供に力を入れるなど、中小・ベンチャー企業向け通信関連事業を強化する。
具体的には、ウィルコムのPHSを活用した通信サービス「アジルモバイルセントレックス」を広めていく。通常、携帯電話で受発信する際には、「090」や「070」で始まる番号が使われて、料金が固定電話よりも割高となる場合が多い。これに対して同サービスは、同社が窓口となることで、固定電話並みの料金で通話できるようにする。例えばオフィス所在地が東京23区内ならば市外局番「03」が使えるうえ、内線への接続や保留転送もできる。
同サービスは、情報通信機器を活用し時間や場所の制約を受けずに働くテレワーカーや、外回りの多い営業担当者、さらに個人事業主で固定電話回線を持っていても外出中は電話に出られないといった人が、外出先でもオフィスの固定電話番号を使えるというメリットがある。
料金面でも、携帯電話に通話した場合は通常、1分間に20~40円程度の通話料金がかかるが、同社の回線を経由することで、「03」発信で固定電話あてに通話する場合は、3分8円程度に抑えることが可能という。しかも、内線に接続した場合や、社員同士の通話の場合は通話無料になる。
従業員数が300人程度までの中小・ベンチャー企業が主な顧客ターゲットで、固定電話への投資を抑えたい事業主などに提案していく。
一方、パソコンを介して通話できる「ソフトフォン」関連では、通話内容や顧客の購入履歴などの情報が保存でき、顧客管理システムを容易に構築できるサービスにも力を入れる。
同様のシステムを導入しようとすると、従来、1端末当たり50万円以上かかるのが一般的だ。これに対して同社のサービスは、インターネットを介してソフト提供やデータ管理などを行うクラウドコンピューティングの活用によってコストダウンを実現し、1端末当たり月に約1800円からと低価格でシステムを構築できるという。
篠田亘司最高経営責任者(CEO)は「経常利益ベースで足元の5000万円から、新規事業の強化などで3年後には3億円規模に拡大したい」と意気込む。(那須慎一)
「フジサンケイビジネスアイ」