フジキンの小川洋史代表取締役兼CEO
特殊精密バルブ機器を手がけるフジキン(大阪市北区)。半導体製造装置用バルブの販売が好調に推移し、同分野の世界シェアは約40%を占める。半導体のほか、医薬品・バイオ分野での海外事業拡大や医療福祉での新規事業参入により、2025年度に海外も含めた連結売上高で2500億円の達成を目指している。小川洋史代表取締役兼CEO(最高経営責任者)に今後の事業展開などを聞いた。
バルブ受注2倍伸び
--半導体製造装置向けの事業が急拡大している
「IoT(モノのインターネット)化の流れが世界的に加速し半導体需要が増大している。当社のバルブの受注も前期比で2倍弱伸びている。バルブ単品から独自のユニットやシステム製品を開発し続けていることが奏功した。茨城県つくば市にある事業所をはじめ半導体製造装置用の生産能力をこの2年で約2倍に引き上げた。つくばとベトナムの工場は増設中で、今秋には生産能力がさらに50%弱アップする計画だ」
--18年3月期の業績は
「国内売上高は前期比約40%増の630億円となった。ただ、半導体関連の設備投資が一服したため、今期の売上高は微増と予想している」
--半導体分野以外で注力している事業は
「医薬品や化粧品などのバイオ関連用バルブも順調に拡大している。中国などのアジア市場は今後さらに伸びるとみる。燃料電池車(FCV)や燃料電池バス、水素ステーション向けなど水素関連事業も今後、受注増が見込める」
介護医療で新規参入
--新事業にどう取り組む
「医療福祉分野の事業を拡大する。現在は超音波診断装置や遠隔医療システムを中心に展開している。今年4月、つくばの事業所内に企業内保育園を開設した。これを機に保育・介護サービスや介護用ロボットなどへの事業参入を検討している」
--今後の目標は
「今年度中にホールディングス(持ち株会社)制へ移行し、グループ全体の調達業務を担う事業会社を設立するなど組織を再編する計画だ。数年後には事業会社や海外現地法人の株式上場も視野に入れている。海外事業や医療福祉事業の拡大により25年度に海外を含めた連結売上高2500億円の達成を目指す」
【プロフィル】
小川洋史 おがわ・ひろし
滋賀県立瀬田工業高卒。機械メーカーを経て、1959年富士金属工作(現・フジキン)入社。常務、専務、副社長を経て2004年社長、10年会長兼CEO。17年から現職。79歳。愛知県出身。
【会社概要】フジキン
▽本社=大阪市北区芝田1-4-8 北阪急ビル
▽創業=1930年5月
▽資本金=54億円(グループ合計)
▽従業員=約4500人(派遣含むグループ合計)
▽事業内容=特殊精密バルブ機器の製造販売
「フジサンケイビジネスアイ」