会話の意味を理解し、自動的に答えを返すシステム「NetPeople(ネットピープル)」シリーズを構築している、イナゴ(iNAGO、東京都港区)は、スマートフォン(高機能携帯電話)ユーザー向けの市場開拓に乗り出した。スマホの利用が急拡大する中で大量の情報からユーザーが必要とする情報を素早く絞り込む技術が求められている。同社はグーグルの携帯電話向け基本ソフト「アンドロイド」搭載機に的を絞り、対話システムのデファクト・スタンダード(事実上の標準)を目指す。
ネットピープルは、ユーザー自身がスマホやパソコンなどに会話するように語りかけると、絞り込まれた最適な情報をユーザーに返すシステム。
同社は、アンドロイド携帯向けに開発した「NetPeople:a」を、NTTドコモが発売している韓国サムスン電子製のスマホ「GALAXY(ギャラクシー)S II」対応版として、6月から配布を開始した。サムスン電子の携帯アプリ配布サービス「Samsung Apps」上から無料で配布を受けられる。
「NetPeople:a」を組み込んだギャラクシーに、「パーティーができる六本木の飲食店」のように語りかけると選び出された結果が表示される。返ってきた答えが多く、さらに絞り込みたい場合には「予算は4000円ぐらい」などと条件を追加していき、短時間に最適な情報にたどり着く仕組みだ。
従来のシステムは、音声認識まではするものの「絞り込み機能」が不十分で、ときには数千件、数万件以上にも及ぶ大量の検索結果からユーザー自身がほしい情報を探し出さなければならなかったという。
同社は、人間と対話するように自動応答するシステムを中心にあらゆるサービスを結びつけるプラットホームの開発を進めてきた。
これまで企業向けには、KDDIの「おしえてMissコンシェ」やブラザー工業「サポートナビ24」、ニッセンの「Q&A・ご利用ガイド」など企業ホームページの各種サービス案内役に、ネットピープルを提供してきた。
今回、スマホを通じて、直接一般ユーザーが使える検索システムを市場に投入。「携帯やパソコン、ゲームや通販などのコンテンツプロバイダー、広告などを対話型プラットホームのネットピープルで結びつけたい」(ロン・ディカールアントニオCEO)とユーザーが簡単で快適に情報を使える環境の構築を目指す。(広瀬洋治)
「フジサンケイビジネスアイ」