遠隔地を結ぶテレビ会議。VTVジャパンはきめ細かなシステム構築力で定評があり、サポート体制の強化で差別化を図る
■「TV会議」普及へ体制強化
テレビ会議システム構築のVTVジャパン(東京都千代田区)は、他社システムとの差別化を図るため、企業ニーズに合わせたスマートフォン(高機能携帯電話)に対応できる会議システム構築や、海外でのサポート体制を強化する。
東日本大震災でテレビ会議システムは「事業を円滑化するツールとして関心が集まった」(栢野正典(かやの・まさのり)代表取締役)。しかし「災害など緊急時だけ使う形では普及は難しい。普段から全国を結んだ会議などの需要を掘り起こさないと結局、根付かない」と平常時からの普及を目指し、システム構築時のサービス強化に乗り出した。
具体的には、これまではあまり深く関わってこなかった、システム構築初期段階の運用ルール提案から強く関与していく。また、会議システムの要でサーバーと電話交換機の機能を組み合わせた機器「MCV(多地点接続装置)」の設定に関する多くのノウハウをフル活用し、ユーザーに最適な会議システムを構築することで差別化を狙う。
一方でグローバル化を目指す企業へのサービスを向上させるため、海外サポート体制も強化する。中国やタイなどのアジア圏、欧米の販売代理店約30社とパートナー契約を結び、必要に応じて増やす。代理店網を充実させ、トラブル対応の時間を短縮する。
コスト面で導入しやすいパッケージ商品の投入計画も進める。本社と全国の200を超える拠点を同時に結ぶテレビ会議システムを構築した経験とノウハウを活用し、同規模のシステムをパッケージ商品化する。従来のオーダーメードによるコストアップを抑えられるという。
2011年9月期は売上高9億円を見込む。栢野代表は「できればずっと超えられなかった10億円の壁を早く乗り越えたい」と話す。さらに今後10年内には20億円台に乗せたい考えだ。
また、サポート事業の強化などで利益率の面でも、より高いビジネスモデルを構築する。10年9月期に約43%だった利益率を、中長期的に50%に引き上げたい考えだ。
栢野代表は「映像とコミュニケーションをキーワードに今後もビジネスを展開していくが、企業の知的生産活動をどう手伝っていくかを課題に、サービスや技術を一つ一つ深掘りしていきたい」と話している。(那須慎一)
「フジサンケイビジネスアイ」