新生児撮影の依頼を受け、自宅を訪問して撮影するフォトグラファーの林直幸さん
ピクスタ(東京都渋谷区)が運営する写真の出張撮影マッチングサービス「fotowa(フォトワ)」に注目が集まっている。SNS映えする個性的な写真を求める顧客と、働き方を自分でコントロールしながら作風で勝負したい個人フォトグラファーを結びつけるウィンウィンの仕組みが受けている。
フォトワは、専用サイト上で撮影可能な日時や場所などからフォトグラファーを探し、出張撮影を依頼できるサービス。サイトに掲載されている各フォトグラファーのポートフォリオ(作品集)を見て、写真の雰囲気や得意分野を確認し、どのような写真を撮ってもらいたいか事前の打ち合わせもオンラインで完結できる。
家族写真が主な対象で、価格は平日1万9800円、土日祝は2万3800円(いずれも税別、1時間、交通費込み)。登録フォトグラファーはピクスタによる審査を通過した約400人。審査では写真の腕だけでなく、家族写真が主力なだけにコミュニケーション能力もみる。通過率は1割程度と狭き門だ。全員の品質が保証できるため、「お客さまには純粋に好みで選んでいただける」と同社は胸を張る。
昨年2月のサービス開始から撮影件数を伸ばし、現在は月200~300件で推移。特に人気なのは、七五三やお宮参りの記念撮影や、生後間もなく外出もままならないニューボーン(新生児)の自宅撮影だ。年内に月間の最大件数1200件を目指す。
人気の背景には、従来の写真館やスタジオ撮影などでありがちな、型にはまった構図とは異なる、よりナチュラルで個性的な家族写真を撮りたいとのニーズがある。写真共有SNS「インスタグラム」の人気が広がるにつれ、おしゃれな写真を印刷ではなくデータで欲しいと考える人が増えた。
フォトワでの依頼だけで生計を成り立たせられるほどのフォトグラファーもおり、業界に新しい働き方をもたらしている。柔らかな風合いの写真が人気のフォトグラファー、林直幸さん(32)は「仕事が安定した」と話す。林さんは以前、子供が職業体験をする施設で記念撮影を担当。勤務時間が12時間超の日が続くハードな仕事で「働く時間を短く、効率良くしたい」との思いがあったという。フリーランスとなってフォトワに登録してからは、自分のペースで働けるようになった上に、「他の人とは明らかに違うテイストの写真が受け入れられてうれしい」と話した。
「フジサンケイビジネスアイ」