「スーパーで自分が考えた離乳食を買ってくれるお客さまを見かけると、幸せな気持ちになる」と話す木村倫子さん
食品大手キユーピーの商品開発研究所(東京都調布市)に勤め、加工食品開発部で離乳食の新しいメニューを企画開発している。
最初は母乳や粉ミルクを飲んで育つ赤ちゃんも、生後5カ月ほどで、軟らかいおかゆやうどん、シチューなどの離乳食を食べ始める。「乳歯が増える1歳ごろまで成長に合わせて、だんだん大人の食べ物に近づける」
生後何カ月という対象年齢を決め、和食か洋食か、どんな材料をどう料理するかを考案する。「健康に成長するのに必要な栄養をとれるように、肉、魚、野菜などの材料の組み合わせに一番気を配る」という。
4歳の女の子と2歳の男の子を育てている。子供たちが赤ちゃんだったころ手間がかかり、あまり食べさせられなかった料理を思い出して、新メニューにすることも多い。
最近では家で簡単に作れない「まぐろと根菜のひじきごはん」や「レバー入り野菜のトマトリゾット」という、凝った離乳食を売り出した。
新メニューは研究所内の調理場で料理をして、赤ちゃんが好きな味になるかを確認する。大人向けの料理と違い、コショウなどの調味料は使えないし、塩も少なめにする。「おいしくしようと、発売前に約20回も作り直すこともある」と試行錯誤を繰り返す毎日だ。
【プロフィル】木村倫子
きむら・ともこ 女子栄養大学では栄養学を学び、栄養士の資格を取得。卒業後、2004年にキユーピー入社。家庭菜園で子供と野菜を育てるのが趣味。35歳。東京都出身。
「フジサンケイビジネスアイ」