栃木県を中心に関東で調剤薬局と介護事業所を運営するフレンド(小山市)は、顧客サービスの一環として残薬や重複投与の改善などに取り組む「残薬解消プロジェクト」に乗り出した。残薬が多かったり、何種類もの薬が処方されている高齢者を対象に、同社の薬剤師とケアマネジャーが薬の整理や相談などに無償で応じている。
プロジェクトは8月に本格的にスタート。薬剤師とともに、同社のケアマネジャー約60人が担当する高齢者の自宅を訪れ、複数の医療機関の受診によって生じる薬の重複や悪影響がある飲み合わせを確認している。
これまでの訪問で、薬を整理して10年前に期限が切れたものを廃棄したほか、薬の効果を誤認しているとみられるケースでは必要な薬を継続して飲むように伝えたり、正しい服用方法を確認するなどの成果を挙げた。
罪悪感から、残薬の状況を医師に伝えられないでいる患者の意識を変えることも、狙いの一つ。訪問先の高齢者からは「また来てほしい」「間違った飲み方を直すことができた」と喜ばれているという。
厚生労働省の2013年度の調査によると、医薬品が余った経験がある患者は全体の55.6%と半数を超えている。飲み忘れのほか、自分の判断で服用をやめたり、処方日数と受診間隔が合わなかったケースが多い。また、日本薬剤師会の07年の調査では残薬の総額は75歳以上の患者だけでも年間で約475億円に上ると推計されている。高齢化が今後進むにつれ、残薬はさらに増える可能性がある。
フレンドは「患者任せにするのではなく、薬剤師らが薬の状況を把握、管理することで残薬や重複投与をできるだけ少なくしたい」としており、薬を処方する医師や他の薬局などととも今後連携を図っていく考えだ。
「フジサンケイビジネスアイ」