高橋書店日記事業部・山内靖久氏
生活書や就職・資格試験書、日記帳などの出版を手掛ける高橋書店(東京都文京区)で、使いやすく、しゃれた新しい手帳を企画している。
仕事や勉強、遊びの計画や予定を忘れないように書き留める手帳の使い方や好みは、人によってさまざま。
最近よく売れた手帳は、予定を書き込む日付のついた欄の下に、縦と横の線が入ったグラフも描ける方眼紙のスペースをとったものだ。メモだけでなく、下のスペースに地図や絵を描きやすい。雑誌記事のコピーを切り抜いて貼ることもできる。「これまでよりも手帳の使い方が増えたと人気が出た」とみている。この手帳は一般の人のアイデアを生かして作った。
手帳を買う顧客のアイデアに負けられないと出した「ティーズファミリー手帳」も好評だ。家族4人の1カ月の予定が一目で分かるように書き込める。
人気を維持するには、きめ細かな配慮が欠かせない。「高齢者向けの手帳は月や日付の字を大きく見やすくし、若い人向けには表のカバーの色や柄をはなやかにする」
例年9月には、翌年1月から使う手帳が店頭に並ぶ。次のアイデアを練り、手帳の売れ行きが伸びる12月には、また新しい手帳作りを始める。こうしたスケジュールが繰り返される。
スマートフォンの登場には危機感もあった。手帳のように予定を記録でき、多くの人がスマホを使うようになって手帳があまり売れなくなると心配した。
しかし、「ペンや鉛筆で紙に書く手書きの手帳ファンはまだ大勢いる。これからも多くの人が欲しくなる使いやすい手帳を考え続けたい」と新たなアイデアを盛り込み、スマホに負けない手帳を作り続ける。
◇【プロフィル】山内靖久
やまうち・やすひさ 読書好きが高じて大学卒業後、高橋書店に入社。文房具集めの趣味もあり、16年前から手帳の仕事を続けている。50歳。 埼玉県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」