オーシャンズ・三井裕社長
設立から6年目に入ったオーシャンズは、社員の営業能力の向上を中心とする教育プログラムを顧客企業の事業内容に応じて提供している。複数の大手銀行系のシンクタンクなどが自らの顧客に展開するコンサルタントの一環として、受注する案件も多い。受講者は累計で約600社、約1万5000人に上る。三井裕社長によると同社の経営理念は、子供たちの親が勤める企業を元気にすることを通じ、子供たちを笑顔にすることだという。
--教育プログラムの要は
「この十数年で多くの業界で製品やサービスのコモディティー化(汎用(はんよう)化)が進み、製品スペックやサービス内容で他社との差別化が図りにくくなった。顧客からみれば、どんな商品を買っても同じで決定的な違いが見えにくい状況といえる。それだけに、どの営業マンから購入するかが重要になっている。当社のプログラムは、顧客にいかにして選んでもらえる営業マンになるかを重視している」
--教育すれば身に付くのか
「売れるための魔法を教えるのではなく、魅力的な営業をしてもらうツボをつかんでもらうことに主眼を置いている。ツボは顧客の業容によって異なるが、共通しているのは精神論的な営業からの脱却だ。営業論を押し付けるのではなく、凝り固まった考えや手法から自由になることをサポートする」
--ツボの具体例は
「『3:10:60:27』の法則と呼ばれるものがある。製品やサービスを顧客が選ぶときの思い入れは、濃淡別に3%が即決して購入する層、10%は気がかりな点が解決すれば購入する層、60%は購入する必要性がすぐに見当たらず保留する層、27%は購入しないと決めている層というものだ。当社はそれぞれの層に見合った営業展開の重要性と、『60』と『27』2つの層を伸びしろのある潜在需要として捉える視点などを教えている」
--事業領域を拡大している
「教育事業とは領域は違うものの、住宅設備などのカビ取りを請け負う『カビ取り屋.com』の売り上げが年々伸びている。現場専用の調合処理『MAD工法』で頑固なカビも根こそぎ除去し、環境負荷もほとんどない。ホテルや旅館、温浴施設、ゴルフ場、マンションなどに需要の裾野が広がっている」
--目指す経営理念は
「バブル崩壊後、自分自身もゴルフ場会員権の販売やリゾート開発の営業で苦戦し、他の多くの業種も長く厳しい時期が続いたことで、大人たちや子供たちから笑顔が消えた。今の仕事を通じ、一社でも多くの企業で働く人たちが悲しい思いを抱えず、多くの子供たちが笑顔でいられる社会に貢献したい」
【プロフィル】三井裕
みつい・ゆたか 大学卒業後、ディベロッパーに勤め、リゾート開発やゴルフ会員権の販売などに携わる。2010年にオーシャンズを設立し現職。47歳、埼玉県出身。
◇【会社概要】オーシャンズ
▽本社=東京都港区芝3-17-14 三田浜ビル10階
▽設立=2010年2月
▽資本金=500万円
▽従業員=3人
▽売上高=約8000万円 (15年1月期)
▽事業内容=営業担当者の教育・研修、住宅設備などのカビ取り
「フジサンケイビジネスアイ」