ベストバイの海外進出第1号店=カンボジア・プノンペン
関西を中心にリサイクル店を全国展開するベストバイは、カンボジアへ出店攻勢をかける。昨年12月に首都プノンペンの新都心に海外進出第1号店をオープン。日本の高品質のリサイクル品が評価され、日本の1店舗平均と変わらない売上高を上げている。このため5月までにプノンペンの中心部に小型店を新規出店し、さらなる店舗網の拡大も視野に入れている。
古着、家具、自転車、宝石、バッグなど家庭で使われなくなったあらゆるものを買い取り、修理と掃除をして販売している。しかし何でも買い取る方針のため、売り物にならない品物もたくさん出てしまう。福嶋進社長は「もったいない」と思いながらも廃棄していた。
転機となったのは5年ほど前に、フィリピンでストリートチルドレンを保護しているNPO法人(特定非営利活動法人)の職員と知り合ったことだった。「古着やおもちゃを送ってくれるとうれしい」と言われ、十分使えるのに売り物にならないので廃棄していた商品を送ったところ喜ばれた。その後、家具や自転車などをコンテナで送るようになる。
「これはビジネスになる」と直感し、成長著しい東南アジア諸国連合(ASEAN)で販売しようと思い立つ。市場を調査し、合弁でなく全額出資で進出できることなどからカンボジアへの出店を決める。昨年夏ごろから準備に着手し、12月に海外第1号店をオープンした。
「JAPAN QUALITY SHOP 良品買館」は売り場面積約1000平方メートルで、総合リサイクル店としては東南アジア最大級。日本の店舗同様の清潔で快適な売り場づくりをしている。開店初日は宣伝をしなかったにもかかわらず行列ができて入場制限をしたほどだ。
雑貨、家具、衣類など約6万点をそろえている。とくに人気なのが食器類。スプーンやフォークなどは高品質ということで、現地の新品より売れているという。日本では買い手がつかない焦げ付いたフライパンや鍋も売れ筋商品だ。
「日本製は素材が良く丈夫なので好まれる。中古品でも日本で使われたことは、大きなブランド価値を持つ」と福嶋社長は強調する。
1号店には平均すると1日に200人が訪れ、20万~30万円を売り上げる。1人当たりの購入額は1000~1500円。平均売上高は日本の店舗とも近い。
中古品を販売するだけにとどまらず、日本から古着を送り、現地の安価な労働力を使って仕分けをして日本に送り返すなど、合理化を図ることも計画している。
福嶋社長は「中古品であってもアジアでは待ち望まれている。ジャパンクオリティーを世界に広げていきたい」とASEAN進出を加速させる。(佐竹一秀)
【会社概要】ベストバイ
▽本社=大阪府茨木市上郡1-4-14
▽設立=2003年5月
▽資本金=6500万円
▽従業員=370人(15年2月末時点)
▽事業内容=リサイクル品の店舗運営、ネット販売など
「フジサンケイビジネスアイ」