フォトクリエイトは、インターネットを活用した写真販売で急成長を遂げているベンチャーだ。スポーツ大会などのイベントに登録カメラマンを派遣。撮影した写真をネット上で参加者らに販売している。写真によって人生を豊かなものにしてほしいという同社の願いは、サービスが浸透するにつれて達成に近づいている。
同社が2002年から提供している「オールスポーツコミュニティ」や、06年に始めた「スナップスナップ」といったネット写真サービスは、パソコンなどでサイトにアクセスし、会場でもらったパスワードや大会のゼッケンを打ち込むと、自分の写真を選択・購入できる仕組みだ。値段は学校関係のイベントが1枚120円(L判)から。東京マラソンの写真も2160円(2L判)で購入できる。
現在、1500人のカメラマンが登録。それぞれ得意分野があり、あらゆる撮影ニーズに応えられるほか、全国各地のイベントに対応している。2年前には台湾でもサービスを始めた。
「子供のころは、学校の廊下などに掲示されたサンプルを見て、親が購入する写真を選んでいたが、その延長線上にある」と大澤朋陸(ともたか)社長。しかもネットの活用で、親が学校に出向く必要がなくなったうえ、サイト上に何枚でも掲載できるようになった。14年は6264件のイベントにカメラマンを派遣し、計約410万枚を販売した。
もっとも、開始後しばらくは認知度が低く、根づかせるのにかなり苦労したという。
突破口となったのは社交ダンスだ。動きが素早く、素人には撮影が難しいうえ、時間にも懐にも余裕のある年配の愛好者が多く、買ってもらえる可能性が高い。同社はイベントの主催団体と交渉し、公式サービスとして写真を売り出したところ、徐々に浸透。07年には東京マラソンで初採用され、人気がさらに高まった。
ここ数年は念願だった2大市場への進出を急ぐ。学校と結婚式場だ。日本では結婚式場の大半が特定の写真屋に撮影を依頼しており、第三者のつけ入るスキがほとんどない。そこでカメラマンを派遣するのではなく、ネット販売を支援することで共存共栄の関係を築きつつある。
「販売に必要なシステムを貸し出し、写真はこちらで保管する。日本では年間約30万組が挙式しているが、その1割が当社のシステムを利用している」(大澤社長)
学校向けでも、幼稚園の写真撮影を請け負う写真館を集中的に訪問。やはりシステム貸しを始めた結果、現在は約1500の幼稚園が顧客になっている。
ブログや交流サイト(SNS)が普及し、写真を介した交流が増えるにつれて、プロ顔負けの腕を持つ人が増えている。しかし大澤社長は「写真との距離が近くなるほど自分には撮影できないと思うようにもなっている。人生のすべてをプロの写真でサポートしたい」と強調する。(井田通人)
【会社概要】フォトクリエイト ▽本社=東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル3階 ▽設立=2002年1月 ▽資本金=2億4233万8467円 ▽従業員=150人 ▽売上高=33億3100万円(15年6月期予想) ▽事業内容=インターネット写真サービスなど