アスカネット・福田幸雄社長兼
額面なしのギフトカードやメールを使い、贈り物をした相手が自由に商品を選べるギフトのEC(電子商取引)プラットホーム「ギフトネットコム」を立ち上げたアスカネット。福田幸雄社長兼最高経営責任者(CEO)は、国内ギフト市場に「新しい文化を創る」と意気込む。矢野経済研究所によるとギフトの国内市場規模は17兆円を超え、莫大(ばくだい)な市場が広がると構想を膨らませる。
--新しいギフトカードとは
「贈り物をしたいと思った人が『ギフトネットコム』のサイトに行って『ギフトを贈る』を選び、金額を打ち込むと相当するコードを発生させ、コードを印刷したギフトカードを制作し、相手に贈る。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でもコードを贈ることができる。贈られた相手は当社のサイトで金額に応じた商品が選べる。出品したショップの12万点に及ぶ商品から額に応じて商品が集まるしくみだ」
--きっかけは
「例えば出産祝いで1万円をもらい、半返しで5000円の金額入りギフトカードを渡せるかというと、日本人はなかなか渡せない。日本のギフトカード市場は3兆円と見込まれるが実際には10分の1にとどまっている。1冊から制作できる写真アルバム『フォトブック』の工場を活用して、1枚から制作できる額面なしのギフトカードができないか、研究を始めたのがきっかけだ」
--相手は金額がみえない
「お金は贈る側がギフトカードを発行する時点で当社に払ってもらっている。そこで決済は終わる。権利を買っていただく感じだ。贈られる側はサイトに出てきた商品を選ぶだけ。商品は分類されていて、アパレルから食品まで何でも選べる。そういうしくみは、ありそうで世界中、誰もやっていなかった。特許も申請している」
--むずかしい点は
「レンジ(価格帯)の決め方だ。額面5万円コースの次は10万円コースに飛ぶ。その間には膨大な商品がある。5万円に分類される商品には、それより高い物も安い物もあり、もうけすぎたり損が出たりする。評判を落とさないよう、毎月レンジを調整して、人気が集まるサイトにしたい」
--人気にこだわるのは
「新しい事業は最初から売り上げが上がるわけではない。新しい“文化”を創らなきゃいけない。ただ文化を創れさえすれば圧倒的な首位に立てる。日本のギフト市場は17兆円もある。3%も新しい方法に変われば自然と大きな利益が生まれる」(広瀬洋治)
【プロフィル】福田幸雄
ふくだ・ゆきお 文化服装学院ファッションデザイン科卒。服飾デザイナーなどを経て、1982年飛鳥写真工芸社を創業。83年飛鳥写真館を立ち上げ、事業を引き継ぐ形で、95年にアスカネットを設立、社長就任。2005年東証マザーズ市場に上場。07年5月からCEO兼務。66歳。広島県出身。
【会社概要】アスカネット
▽本社=広島市安佐南区祇園3-28-14
▽設立=1995年7月
▽資本金=4億9030万円
▽従業員=285人(2014年4月末時点)
▽売上高=47億6700万円(14年4月期)
▽事業内容=遺影制作サービス、1冊だけの高級写真アルバムの制作販売、空中ディスプレーなど
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