■“ナシ婚”向け提案 市場活性化目指す
日本では年間67万組が結婚するが、このうち約半数が結婚式を挙げていないとみられている。結婚式場の口コミサイトを運営する「みんなのウェディング」が今後力を入れるのは、こうした“ナシ婚”向けのサービスを展開することで、ブライダル市場の活性化に結びつけること。飯尾慶介社長は「潜在需要は大きい。ユニークなコンテンツを提供していけば掘り起こすことができるはず」と語る。
--結婚式市場が活性化すれば、どういった形で景気の波及効果が生まれるのか
「挙式件数が増えると、祝儀をはじめとして大きなお金が動くようになる。挙式で収支がプラスだったら、そのお金は家具や家電の購入などに充てられ、消費の促進につながる。ウエディングが果たす役割は大きい」
--全体の半分に相当する層が式を挙げない理由は
「いわゆる『できちゃった婚』を指す『授かり婚』と、既存のセレモニーに価値を見いだせない、金銭面というのが上位3つを占める。このうち経済的理由は所得の二極化と大いにかかわっている。披露宴に要する金額は平均350万円で、収入が低いカップルにとっては厳しい水準となるからだ。昔は親世代に貯金があったため、いざとなれば負担してくれていたが、親自体の懐具合が厳しくなったため、経済的に諦める人も少なくない。こうした層に向けてプランを作成、提案するのが私たちのビジネスモデルだ」
--具体的には
「経済的理由を挙げるカップルに対しては、お互いの両親だけを呼ぶ小人数プランなどを用意している。5万~10万円台と格安タイプもある。従来は見向きもしなかった結婚式会場の大手運営会社も、注目している」
--授かり婚対策は
「授かり婚は全体の25%以上を占めている。このうち7割以上は、子供と一緒のファミリーウエディングに興味がある。潜在的な可能性は大きい。このためベネッセコーポレーションと提携しサイトを立ち上げて訴求している。安定期を迎えた方々の掘り起こしも重要だ。イオングループの結婚相談所であるツヴァイとの提携では、専門のアドバイザーが式場の紹介などを行う無料相談カウンターを運営。2020年までに100カ所を開設する方針だ」
--セレモニーが苦手なカップル向けの対策は
「映画館を借り切るなどオーダーメード型の提案を強化。美術館など2人で出会った場所で挙げたいといった要請があれば交渉も行う。単価は高いが急激に伸びている。『ワンパターンだったらいいや』と断念していた層を積極的に取り込みたい」(伊藤俊祐)
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【プロフィル】飯尾慶介
いいお・けいすけ 大学卒業後、トーハン入社。2006年ディー・エヌ・エー。10年10月みんなのウェディング社長。38歳。千葉県出身。
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【会社概要】みんなのウェディング
▽本社=東京都中央区銀座3-15-10 菱進銀座イーストミラービル5階
▽設立=2010年10月
▽資本金=14億3400万円
▽事業内容=結婚式場の口コミサイト運営
「フジサンケイビジネスアイ」