「羽根のない撹拌機」の開発から特許の有効活用へ

専務取締役　村田和久氏

工業塗装と電子機器製造を行っています。塗装の現場では、塗料に細かい金属ゴミが混入すると不良品の原因となりますが、塗料の撹拌段階からこれを防げないかと考え、約3年かけて「羽根のない撹拌機」を開発しました。従来の撹拌機の多くは、重厚な金属製の羽根を持つプロペラ型です。これに対して当社の製品は、羽根を無くすことで飛散や液面の乱れや空気の巻き込みなどをほとんど無くし、羽根に起因する問題点が解決されました。また材質に関しても、金属に限らずゴムのような軟質材からセラミック、樹脂など幅広い材質で製作が可能となり、撹拌容器の形も丸底や四角底など様々な形状にすることができます。さらに、粘度に関係なく撹拌できる上、回転数に比例して撹拌力が上がっていくという特徴もあります。

当初は、塗装現場のために開発したものですが、実際には想定外の業種から多数のお問い合わせをいただき、混ぜるという作業が、食品、薬品、製紙、化粧品、水処理など幅広く存在することに改めて気づかされました。そこで、私たちの知識の及ばない分野のエキスパートの方々に、当社の技術を最大限に活かしていただき、それぞれが製品を設計、製造、販売すればよいのではないかと考え、撹拌機の特許ライセンスを商品として、技術指導や試作請負なども行う「エディプラス」という関連会社を設立しました。昨年、この特許を核として、優れた専門技術を持っている中小企業同士が連携することで今までにない独自の製品を作るというビジネスモデルを構築し、「さいたま市ニュービジネス大賞2013」のグランプリを受賞しました。今後も製造業で培った現場のセンスで知的財産の運用をしていきたいと思っています。

「フジサンケイビジネスアイ」