製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第26回

市場開拓と用途開発

後藤 亘 2018年12月26日
 

ビジネスの成長を図るには、市場の拡大が欠かせません。

これは製造業の第2次産業に限ったことではなく、

農業のような第1次産業でも小売業に代表される第3次産業にも

共通のことです。

市場拡大戦略のマトリックスはご存知でしょうか。

横軸に既存技術、新技術。縦軸に既存市場、新市場をおいて

4つの領域を作ります。

現状の位置は、既存技術と既存市場が重なるエリアです。

そこでビジネスをしているからです。

そこから市場を拡大させるには、このエリアの面積を拡大させる

こと求められます。

その方法として、一つは新市場にむけてエリアを広げるやり方と、

もう一つは新技術の領域に入り込んでいく方法との2つのやり方が

あります。いずれも、隣の領域に進出していくやり方です。

もちろん、方法としては新技術で新市場に打って出るやり方も

あります。しかし、リスクも大きく資源を無駄に浪費して、

結果的に失敗するケースが多いです。


さて、既存技術で新市場に販路を広げるか、既存市場に新技術を

持ち込むか、これは各社の戦略によります。

扱っている技術にも、社内のリソースにも左右されるでしょう。

しかしどちらのケースであっても、やはり成功の鍵となるのは、

マーケティング力です。

そして用途開発をうまく促せるかが、結果に大きく影響します。

例えば、既存技術を新市場で販路を拡大するには、あなたの会社が

持つユニークな技術を、いままでその技術を知らない人たちに

知って貰う必要があります。

しかも知るだけではなく、その技術を使えば、自分のビジネスに

これだけの利益が出る、と認識してもらわなければなりません。

いままで取引していた既存顧客に対するプレゼンとは、違うレベルの

説明が必要であることが理解できると思います。

同様に、新技術を既存市場に広げる場合は、既存技術を新技術に

置き換える事による利益を、費用対効果で訴える必要があります。

場合によっては新たな投資が必要かもしれません。

それを納得してもらうだけの効果として、見せることができるかが

キーです。


このように、市場拡大を狙う戦略に沿った形で、相手に合わせた

内容に技術を翻訳してプレゼンすることが求められます。

まさにテクニカルマーケティングです。

そして、このプレゼンを通して、ユーザー側での用途開発を促すこと

ができて、初めて市場拡大への道が見えてくるのです。

社長の会社では、市場拡大に向けてどのような戦略を描きますか?

テクニカルマーケティングの準備も整っていますか?

 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

このコラムをもっと読む 製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

同じカテゴリのコラム

キーワードからコラムを検索する