製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第21回

持続的成長のための用途開発

後藤 亘 2018年10月18日
 

会社の規模にかかわらず、製造業が持続的な成長をしていくために

必要なことは、2つあります。社長さんならすぐにわかると思います。

1つは常に新しいビジネスや顧客を獲得すること。

もう1つは、そのために新しい製品やサービスを提供し続けることです。

さらに言えば、この2つはお互いが常に影響しあっていると言っても

良いでしょう。新商品が新しいビジネスを生み、新しい顧客からの

インプットが次の新商品開発に生かされるのは、感覚的にも理解できることだと思います。


この商品開発で大切なこと、成功の鍵というのは、常に市場のニーズを

見極めつつ、自社が持つ技術をどう活かしていくかでしょう。

しかしそう簡単なことではありません。

であれば、なんとか今ある技術や既存の商品で新規のビジネスをもっと

たくさん獲得できないか、と思うにも自然なことでしょう。

そこで必要なのは、「ウチの技術、ちょっと違った使い方出来ないのか」

とか、「別の業界で、我が社の商品を利用する方法はないのだろうか」

という発想であり、それを探求する強い意思です。

特に産業材などで、限られた数の企業とだけしかビジネスがない、

特定の業界でしか使われていない、といったケースでは自社技術の利用範囲を

広げることで、新規のビジネスを獲得することができれば、大きな

メリットになります。

また、違った利用の仕方をすることで得られるフィードバックを自社の

商品開発に活かすことで、自社技術を更に深化させることもできます。


この利用範囲を広げる活動が、用途開発です。

用途開発を広げるには、ある工夫が欠かせません。

例えば「ちょっと違った使い方が出来ないだろうか?」という問いかけの

答えを得るには、どうしたら良いのでしょう?

それは、いまある技術の見せ方と見せる相手に鍵があります。

「ちょっと違った使い方」を発想してもらうには、何をどう見せれば

良いのか。どこの誰に向かって問いかければ良いのか?これが肝になります。

「別の業界で、我が社の商品を利用する方法はないのだろうか」にも、

別の見せ方が必要でしょう。


このように見せ方を工夫することは、言うは易しですが行うは難しです。

それなりの努力と試行錯誤が必要です。ただし、将来を見るには避けては

通れないでしょう。瞬間的な売上の増大にはならないかもしれませんが、

ビジネスの持続的成長を目指すのであれば、経営者には自社技術の利用範囲を

広げるためにリソースを使うことをおすすめします。

 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

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