製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第18回

コア技術の潜在的成長機会を洗い出す

後藤 亘 2018年9月5日
 

あなたは経営者として自社が持つ技術や製品を

どのように現状認識していますか?


いきなり不躾な質問かもしれませんが、まずは考えてみてください。

例えば、「ウチの技術はここがこう優れていて、

これをこういうシステムで使うとこんなに素晴らしい製品が出来上がるんだよ」

といった答えが出てくるのが一般的だと思います。

そして「事実、X社がウチの技術をそうやって使って、製品を量産している」

と続けば、すでにビジネスとしても成立していることを証明できます。


しかしもしかしたら、あなたは自社が持つ

潜在的なさらなる成長機会に気づいていないかもしれません。

どういうことでしょうか?


先程の回答には、ある特定の製品向けにあなたの技術が使われていることが

説明されています。


しかし、その技術はその「ある特定の」使い方しか出来ませんか?

あるいは、X社だけにしか採用されていませんか?

他の利用の仕方は出来ませんか?

という問いかけにはどう応じるでしょう。


「いやいや、元々その特定の使い方を想定して作った技術だから」と応じたなら、

それはとても残念な考え方です。

なぜなら、ちょっと工夫することで想定していない使い方が

見えてくるかもしれないからです。

そしてそれが、大きな成長の機会になるかもしれないからです。


その工夫には、幾つかの可能性があります。

例えば、契約に絡むような工夫、つまりこの場合ならX社との間に

何らかの契約があるようなケースです。

この場合は、違約にならないような対策を取るコストと

その工夫をすることで得られるビジネス規模を天秤にかける必要があります。


それから、技術そのものに関わる工夫。

これは、自社の技術や製品に何かちょっとした追加変更を施すことで

利用範囲が広がるケースです。

この場合も同様で、追加変更に関する仮説を組み立ててビジネスケースを作り

事業性を検証することが必要です。


もう1つ、比較的容易に想定していない使い方を探る工夫の仕方があります。

それは「見せ方」を工夫することです。

この場合は想定外の使い方を探るのですから、

想定外の人にもその技術がわかるようなものを準備して

見せる必要があります。

さらには、それをどこでどう見せるのか?にも工夫が必要です。


見せ方を工夫するだけですから、新技術を作り込むような

コストも時間も不要です。

しかしこういう視点で自社の技術を見つめ直すことで、

ちょっとした想定外の用途でビジネスの大きな成長機会を

見つけることが出来る可能性はあるのです。

 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

同じカテゴリのコラム

コラム検索
新聞社が教える SPECIAL CONTENTS
プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。