製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第14回

用途開発のためのマーケティングの考え方

後藤 亘 2018年7月11日
 

マーケティングについては、いろいろな考え方や取り組みの方法があります。

しかし一言でマーケティングと言われても、

「なんとなくはわかるけど具体的にはよくわからない」という経営者の方も

いらっしゃいます。

さらに、自社の技術を売るためのマーケティング、となると

「ウェブサイトにアクセスを集めないと」とか

「マーケットニーズを汲み取った商品開発が...」とか、細かい戦術に

走りがちです。


ここでは少し大きなくくりから考えてみます。



たとえば、「マーケティングの4P」という言葉は聞いたことがある人もいると

思います。これは、マーケティング戦略の1つで、顧客ターゲットに対してどのように

働きかけるかを具体化するツールです。マーケティングミックスとも呼ばれます。


4PはそれぞれProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)です。


私も大学院で学びましたが、どちらかというと大企業できちんとしたマーケティングの

専任部隊があって、経営レベルとすりあわせをしながら現場に落とし込んでいくような

手法です。

ですので、中小企業の場合あまりピンと来ないと思います。



では中小企業向きの考え方はあるのでしょうか?



あります。それは「成果の三角形」と呼ばれる考え方です。



その考え方はこうです。

マーケティングには3つの構成要素があって、これはどんな業種でもあてはまる

不可欠な要素であるとしています。この3つの要素には優先順位はありません。

常に3つ同時に存在しなければなりません。1つの要素は残る2つの要素に力を

与えるので3つの要素で三角形を構成して「成果の三角形」と呼んでいます。


その3つの構成する要素は、3つともMで始まります。


それは、Message(メッセージ)、Market(マーケット)、Media(メディア)です。


全てが正しい、つまり、正しいメッセージを正しいマーケットに対して正しい

メディアで伝えるのが、効果がある正しいマーケティングであると考えます。

そして全てが正しければ、その三角形は正三角形を形作ります。


もし、何かが間違うと、例えば、正しいマーケットに正しいメディアを使って

伝えるとしても、メッセージが間違っていると、マーケティングの効果は期待できません。

この時は正三角形になっていないことを意味します。

他の2つの要素も同じです。常に正しいメッセージ、正しいマーケット、

正しいメディアの3つを心がけなければなりません。



これはある意味、聞いていてもわかりやすいと思います。

例えば、特定の加工技術を持った企業の用途開発で考えれば、

- 正しいメッセージとは、独自加工技術の本質をわかりやすく伝える内容

- 正しいマーケットとは、その技術が使えそうな解決策をさがしていそうな業界

- 正しいメディアとは、そのマーケットに届くようなプレスリリースや展示会


これらを念頭におけば、「何を」「誰に向かって」「どこで」「どのように見せるべきか」がわかってくるようになります。


しかし、簡単に実践できるかというと、そうではありません。

マーケティング的な視点でその独自技術に向き合うことが必要です。特に今まで

自社ブランドによる市場開拓をしてこなかったような製造業者などは、まず経営者

からじっくりと自社の3つのMを再確認するところから始めるべきでしょう。

ここできちんと時間をかけることで、正しい成果の三角形を作るためのスタートラインに立てるのです。


 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

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