製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第13回

中小企業経営とテクニカルマーケティング

後藤 亘 2018年6月26日
 

今回は、2017年の中小企業白書の中からマーケティングに関わるトピックを1つご紹介しましょう。



中小企業のライフサイクルの中では新事業展開が重要であるとの観点から、新事業展開に成功している企業と成功していない企業で、その違いを洗い出すと言う試みをしています。


例として、次のようなコメントがあります。


「新事業展開に成功していない企業では、市場ニーズの把握や、自社の強みの活用、情報発信といった、マーケティングに関する項目で、課題と感じている割合が高くなっており、マーケティングに関する取組状況の違いが、新事業展開の成否の差につながっている可能性が示唆される」


具体的には、

〔1〕自社の強みの把握

〔2〕市場ニーズの把握

〔3〕自社の製品・サービスのPR活動を実施する情報戦略の立案・実行

〔4〕その評価・検証

といったマーケティング活動が出来ている企業の80%が、経常利益率が増加もしくは横ばいである。

それに対していずれも実施していない企業では、その割合が60%にとどまっているというデータを示しています。


これは中小企業全体のデータではありますが、製造業に置き換えてもほぼ同様のデータが見て取れると想定した上で、弊社が提唱する用途開発誘起戦略の落とし込みとのつながりを考えてみます。


〔1〕自社の強みの把握


自社の技術や製品の見せ方を検討する前段階で、自社技術の何がどう優れているかの洗い出しと評価を行います。そこでは、絶対的な評価と相対的な評価、そして技術のユーザーがどんなメリットが得られるか、価値への翻訳作業を通して、自社の強みをきっちりと把握します。


〔2〕市場ニーズの把握


前項の評価の中で、その技術が関わる市場全体のリサーチを行います。ビジネスボリュームからプレイヤーの数と特性、シェアなどを分析するなかで、そのマーケットのみならず周辺含めた市場のトレンドを捉えます。また、すでに自社技術を利用している顧客への直接のヒアリング等で、自社の技術の価値がどう活用されているかを再認識し、用途を広げながら次のニーズを拾っていきます。


〔3〕自社の製品・サービスのPR活動を実施する情報戦略の立案・実行


技術や製品の本質価値をユーザーに合わせたレベルと内容に翻訳し、オンラインとオフラインの見せる場を活用して情報発信します。そこでは、ユーザーサイドでの用途開発が積極的にすすめられることを念頭に、マーケティングの動線を意識した戦略が求められます。


〔4〕その評価・検証


各アクティビティにはゴールを設定します。そのゴールを達成できたかどうかで、結果を評価しながら必要な修正を行うPDCAサイクルを回します。



このように用途開発誘起戦略を運用することで、結果的に課題とされるマーケティング活動を網羅することが出来ます。

大切なことは、この活動が自律的に行われるようになること、専任の部隊や担当者がいなくても、きっちりとPDCAをまわすことができるようになることです。

それには、仕組み化することが必要であり、成功の秘訣と言えるでしょう。



社長も、マーケティング戦略をきちんと運用出来る仕組みづくりに取り組んではいかがですか?


(出典:2017年版中小企業白書 第2部 第3章)

 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

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