製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第11回

競合分析のコツ

後藤 亘 2018年5月29日
 

自社の技術を売るマーケティングにおいて、最も大切なこと。
それは、その技術を正しく認識することです。


とりわけ、自分で考案した技術や長期間に渡って小さな改良を重ねてきた製品などの場合、
どうしても贔屓目に評価してしまうことがあるかもしれません。


しかし、あくまでもその技術なり製品なりを評価するのは使い手、ユーザーです。
ですから、作り手の思いでの認識や評価とは別に、ユーザーがその技術をどう認識するか?
その製品をどう評価するか、を常に念頭に置く必要があります。


実際に技術を認識、評価する際には、絶対的な評価の仕方と相対的な評価の仕方という
2つの見方があります。
ここでは比較的わかりやすい、相対的な評価について解説いたします。


さて、この相対的評価、競合分析とも言われます。
かっこよくインテリジェンスとか、コンペティティブインテリジェンスと言われる
こともあります。


簡単に言えば、似たような技術・製品と比べて、いいのか悪いのかを評価することです。
ただ、公平さを保ちながら複数の技術を同じ土俵で比較するというのは、意外と難しい
ことがあるので注意が必要です。


他にもいくつか留意すべきポイントがあります。


そのポイントの一つ目は、自社の技術が優れている点を、最大のパフォーマンスが
出るような環境でデータをとることです。


自社のデータをよく見せるのは当然のことです。


データの捏造はいけませんが、自社の技術が最大の性能を出せる環境で競合技術と
比較測定するのはいいやり方です。
そしてそのデータの違い、性能の差異がこんなにあるからスバラシイ、とするだけでは
物足りません。
ユーザーが利用するときには、その差がどういう形で認識出来るのか、に翻訳する
必要があるのです。


例えば、
「競合に比較して精度が1%高いので、選別にかかる工数を10%削減できます」
といったようにです。


ポイント二つ目は、比較する際の客観性と再現性をきっちりと担保することです。

競合会社が同様の競合分析をした時に(条件が同じであれば)同じ結果が出ないと、

おかしな評判が立ったりします。
以前、女性の研究者がなんとか細胞を発表して脚光を浴びましたが、結局その実験に
再現性がなかったことで騒ぎになったのは、記憶に新しいと思います。
技術者である以上、この辺はしっかりとすべきでしょう。


ポイント三つ目は、あくまでもユーザー目線で、ということです。


一つ目のところでもありましたが、他社のデジカメに比べて30万画素多いとか、
動作周波数が競合に比べて1ギガヘルツ速いです、というのはメーカーの言い分であって
ユーザーにどんな価値があるのか見えません。


利用者が具体的にどう感じるか、どんなメリットが有るか、に翻訳する必要があります。


このようなポイントに留意すれば、他の技術や製品と比較する競合分析は、マーケティング
ツールとしては使い勝手がいいものですし、聞き手にもわかりやすいものです。


社長の技術もぜひ競合分析で自社技術を上手に見せてください。

 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

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