NY発:文化と言葉の壁を越えて” 伝わる”ロジカルスピーチ術

第20回

セールスパーソンは何を売るべきか

リップシャッツ信元夏代 2019年4月4日
 

すべての仕事はセールスである


「セールス」、または「営業」と聞くと、ある特定の人たちの仕事だと思われることでしょう。現に、営業部門、セールス部隊、など、営業の専門分野が職業カテゴリーとしてあるくらいですから、もしあなたの仕事が人事関連だったら、自分はセールスパーソンだ、とは決して認識しないことでしょう。
しかし実は、すべての人の仕事には、「セールス」、が含まれているのです。


あなたの職業が何であれ、仕事をする上で、チームメンバーや上司、部下、顧客、パートナー、プレス、株主…などなど、様々な状況で様々な人たちに対し、自分の意見を受け入れてもらうようコミュニケートをする場面、というのは必ずあるはずです。
そんな場面では、説得力を持って話し、(相手の意識や行動などに)変化を及ぼし、問題解決をする、というプロセスが欠かせません。


これこそが、「セールス」なのです。
すなわち、セールスというのは、何もモノやサービスを売り込む職業のことだけを指すのではないのです。相手を説得する、納得させる、共感させる、賛同させる…ためにコミュニケーションを取ること、それこそが、セールスです。パブリックスピーキングはまさに、アイデアを売り込む「セールス」活動です。


ですから、すべての人は、2つの職業を持っている、と言ってよいでしょう。「あなたの職業」、そして、「もうひとつの職業」、つまり、「相手を説得するという職業」、の2つです。


しかし最高の「セールスパーソン」は、モノやサービスを売り込みません。そして「売っている」という感覚を相手にあたえることがありません。


まず最初に何を売るべきか


では最高の「セールスパーソン」は、まず何を売るのでしょうか。


セールスパーソンであるあなた自身への信頼を得るため、自分自身の売り込みをする、と考える方も多いかもしれません。
これも実は大きな間違いです。
売るべきものは、「結果」、です。


つまり、商品の機能性の高さなどをアピールするのではなく、その商品やサービス、或いはあなたのアイデアや意見を取り入れたら、どんなベネフィットが得られるのか。そしてそれらのベネフィットが得られた時、どんな未来・生活・問題解決が待っているのか。それが、「結果」です。


“I”主導の主語から脱却する


しかしながら、つい自分を売り込もうとして、気づかぬうちに“オレ様”プレゼンになってしまっているケースは多々あります。その一つに、“I”の多用が挙げられます。


例えば、“I think”というフレーズはよく使われます。しかし、セールスのプロフェッショナルは、「Think」ではなく「Know」、つまり、「…と思う」のではなく、「…だと知っている/確信している」、から相手を説得しているのです。
さらには、「I」を主語にして語ることで、話のフォーカスが、相手ではなく、セールスパーソン自身に引き込んでしまい、相手との壁を作ってしまうのです。


イエール大学の調査によると、次の12語が、もっとも説得力のある単語だそうです:

・You

・Money

・Save

・New

・Results

・Easy

・Health

・Safety

・Love 

・Discovery

・Proven

・Guarantee


プレゼンから、“I”を省き、“You-focus(聞き手中心)”にシフトすることで、相手への説得力はグンと上がってきます。


具体性の高い言葉選び


聞き手は常に、“What’s in it for me?(それは私にとってどういいのか?)”という視点であなたの話を聞いています。
あなたの提案を受け入れたら相手にどんなベネフィットが得られるのか。自分自身のメッセージに対し、繰り返し“So What?(だからなんなのか?)”と尋ねてみましょう。


ご参考までに、説得力に欠ける、と言われている単語やフレーズも下記にリストアップします。

・Full service

・Proactive

・Professional

・Great

・Creative

・Paradigm

・Value added

・Customer relations

・Total quality

・Number one

・Consultant

・Relationship

・Win-win

・Long

・Family values

・Luxury

・All natural

・On sale

・Sales training

・High-tech

・Partnership


例えば、下記のような、多用されがちな表現も、実は説得力に欠ける表現となってしまいます。具体性に欠ける、ふわっとした印象を与えてしまうからです:


“We have been in business for so long, you can rely on us”

“We are number one in the market”


信頼を勝ち取り、相手を説得するためには、明確に証明できないことや、具体的イメージが沸かない抽象的表現は避けるよう心がけましょう。

 
 
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リップシャッツ信元夏代
アスパイア・インテリジェンス 代表
ブレイクスルー・スピーキング 代表


早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナルに鉄鋼・紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーを経て、2004年に、戦略コンサルティング会社のアスパイア・インテリジェンス社をNYに設立。2015年にはブレイクスルー・スピーキングを設立し、グローバルに活躍したい日本人のためのパブリックスピーキングのE-learningプログラムや企業内研修を中心に、個人コーチングなどを行っている。


トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテストでは、日本人初のNY大会優勝3連覇を果たしたほか、世界で100名強しかいない、World Class Speakingコーチに唯一の日本人として認定される。世界的権威者、ブライアン・トレーシーらと共に共著した「The Success Blueprint」は、アマゾンの2016年ベストセラーに。2015年にはTEDxTalkに登壇している。


BREAKTHROUGH Speaking:http://www.btspeaking.com

ASPIRE Intelligence:http://www.aspireintelligence.com

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