NY発:文化と言葉の壁を越えて” 伝わる”ロジカルスピーチ術

第17回

急に話を迫られたら?!

リップシャッツ信元夏代 2019年2月7日
 

何かの会合に行ったら急に指名されて、コメントを求められたり、即興でスピーチをすることになり、あたふたしてしまった。そんな経験をしたことはありませんか?


これまでこの連載コラムでは、事前準備ができるプレゼンやスピーチ、を前提にお話してきましたが、実際のビジネスの場では、ミーティングや顧客との商談、会食、など、とっさに何かを考えて話さなければならない場面、というのも多々あると思います。


アメリカの有名なコメディアン、ジェリー・サインフェルドのスキットの中に、「人間の恐怖ナンバー2は「死」。ナンバー1は、パブリックスピーキング。つまり、お葬式で人前で話すくらいなら、棺おけに入っていたほうがまし、っていうことだ!」というものがあります。
少々大げさだったとしても、事前準備ができるスピーチですら、「怖い」という苦手意識を持つものなのですから、突然に指名されて、準備する間もなしに話を迫られる、というシチュエーションの場合、その苦痛たるや…!!!


しかし即席で自社のビジネスのピッチングができる能力は、ビジネスマンにとっては必須の能力、といっても過言ではないでしょう。
これは「エレベーターピッチ」とも言われますが、これは、エレベーターの中で、口説き落としたい意思決定者にばったり出会ってしまった時、エレベーターに乗っている間の短時間で簡潔に説得力をもって即興でピッチングができるほどの能力をたとえて、「エレベーターピッチ」と呼ばれています。


今日はそんな即席スピーチの3つのコツをお話ししましょう。


即席スピーチのコツその1:与えられた質問やトピックをまずリピートする


突然に振られたら、慣れていないとあたふたしてしまいます。内容を考える時間は、立ち上がって演台まで歩くまでのものの数秒しかないことでしょう。その間に頭の中はパニック状態です。頭をフル稼働させても間に合いません。話をしながら内容を考えなければならないのです。数秒でも時間稼ぎができたらよいですよね?
そんな時は、まず、「ただいまご質問頂いたのは(いただいた課題は)、○○○、ということですね。ありがとうございます。」のように、まずはトピックをリピートするところから話し始めてみましょう。その間に時間稼ぎをしながら頭をフル稼働させて、何から話すか考える、というトリックです。
また、とりあえずは話を始めたことで、不思議と自分自身も少し落ち着いてくるものです。


即席スピーチのコツその2:サンドイッチ型の構成にはめ込む


即席でスピーチを行う場合、慣れていないと、話があちらこちらに飛んでしまい、まとまりのない話になってしまいがちです。
それを防ぎ、そしてどんな時にでもどんな話題でも対応できるように、まずは話の「型」をいつも持っておくと良いでしょう。


ここでおすすめするのは、「PREP」という型です。

PREPとは、

Point

Reason

Example

Point

の頭文字をとったものです。


これはどんなスピーチにも言えることなのですが、伝えたいポイントがぼやけていては、スピーチを行う意味がありません。聞き手にとっては、最後まで話を聞かないと要点が分からない、という構成では、すぐに集中力が切れてしまいます。
そこでまずは「要点を先にいう」癖をつけておきたいものですが、それに役立つのが、このPREPという型です。


まずは、話の要点(Point)を言ってしまいます。その次に、なぜそう言えるのか、理由(Reason)を述べます。次に、聞き手にとってわかりやすい身近な例(Example)挙げながら、その理由をバックアップします。そして最後にもう一度、要点(Point)で締めます。


つまり、サンドイッチのように、PointとPointで中身を挟んであげる、という構成です。
このPREPという型があれば、どんな話題でも、必ず簡潔かつ論理的に話をまとめることができます。


即席スピーチのコツその3:「○つの例をお話しします」と数字を出してしまう


PREPで難しいのが、Exampleのところです。具体例が出せずにぼやけてしまったり、あるいは、だらだらと話が広がってしまい、ポイントを忘れてしまったり、というケースを何度も見てきました。
これを防ぐためには、例を挙げる際、1つでも3つでもいいのですが、「○つの例(ストーリー、など)をお話しします、と数字を出してしまいましょう(その後、話を進めながらも必死で頭をフル稼働させ、○つの例を考えるのですが...!)。


つまりこういうイメージです: 


「私の要点はこれです(Point)。なぜならこういう理由だからです(Reason)。ではなぜそう言えるのか、3つの例をお話ししましょう(Example)。まず1つ目は~。2つ目は~。最後に3つ目は~。この3つの例で言えるように、私の要点はこれなのです(Point)。」


こうすることで、話の構成に、さらに分かりやすいロードマップが加わり、聞き手にとっても、後に続く話の内容が理解しやすくなります。


即席スピーチに強くなるには、練習を積み重ねる以外方法はないのですが、上記のような3つの基本ポイントをマスターするだけでも、死にも勝るスピーチの恐怖はだいぶ和らぐことでしょう。

 
 
 このコラム筆者のe-ラーニング講座開講中! “ニューヨーク発:文化と言葉の壁を越えて” 伝わる”ロジカルスピーチ術”  ニューヨークを拠点に20年以上にわたり、多くの企業のお手伝いをしてきた事業戦略コンサルタントであり、元マッキンゼー、そしてTEDxTalk登壇者であるリップシャッツ信元夏代氏により、グローバルなビジネス実践型の視点で開発されたBreakthrough Method™。
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リップシャッツ信元夏代
アスパイア・インテリジェンス 代表
ブレイクスルー・スピーキング 代表


早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナルに鉄鋼・紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーを経て、2004年に、戦略コンサルティング会社のアスパイア・インテリジェンス社をNYに設立。2015年にはブレイクスルー・スピーキングを設立し、グローバルに活躍したい日本人のためのパブリックスピーキングのE-learningプログラムや企業内研修を中心に、個人コーチングなどを行っている。


トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテストでは、日本人初のNY大会優勝3連覇を果たしたほか、世界で100名強しかいない、World Class Speakingコーチに唯一の日本人として認定される。世界的権威者、ブライアン・トレーシーらと共に共著した「The Success Blueprint」は、アマゾンの2016年ベストセラーに。2015年にはTEDxTalkに登壇している。


BREAKTHROUGH Speaking:http://www.btspeaking.com

ASPIRE Intelligence:http://www.aspireintelligence.com

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