海外販売で世界へ!世界一周バックパッカーからの起業

第4回

TPP加入でアニメ崩壊の危機!?『ワンピース』も別ものに!

佐藤 亘 2016年3月22日
 



二次創作はアウト? セーフ?


 インターネット上に溢れる既存の著作物をモチーフにした二次創作、
これらは法律上では間違いなくアウトです。
しかし実際に著作権違反として摘発されるケースは多くありません。
というのも著作権は親告罪(※1)であり、それに加えて
二次創作の多くは著作者が黙認しているのが現状だからです。

TPP加入で黙認が不可能に?


 しかし、日本がTPPに加入すればそうはいかなくなります。
TPPの中でも、知的財産の保護はアメリカが最も重要視している事項です。
この知的財産にアニメやマンガなどの著作権が該当するため、
現在日本で「黙認されているけど本当はアウト」な著作物の二次創作に
大きく影響がでることが考えられます。

アメリカのコンテンツマーケット規模


 アメリカにとって知的財産権は国益に大きく関わる部分です。
 それというのも、コンテンツやITはアメリカにとって主要な輸出品目で、
著作権と特許の使用料だけで1200億ドル(12兆円)(※2)もの外貨を
稼ぎだしているからです。
これらの印税として動くのは、産業全体で動くお金のごく一部です。
つまり使用料だけで12兆円を海外から稼ぐということは、
さらにずっと巨額のお金が動く経済規模だということになります。

アメリカ基準の制度『著作権侵害の非親告罪化(※3)』と『法定損害賠償(※4)』


 「著作権侵害の非親告罪化」が適用されると、
著作物が無許可で使用された場合に、権利者の申告はなくとも
捜査当局の判断だけで著作権侵害として立件されるようになります。

 同様に注目すべきなのが『法定損害賠償』です。
 これは、著作権侵害の賠償について、
実際に生じた損害額に応じて賠償するのではなく、
法廷で損害額を決めてしまうという制度です。
これにより、実際は微々たる損害額であっても、
それを大きく上回る賠償金額を支払わせることが可能になります。

 アメリカは自国のルールである『著作権の非親告罪化』や
『法定損害賠償』を世界標準化することで、
国益を最大化しようと狙っているのです。

日本の巨大マーケットを壊滅させる危険性も


 日本の二次創作は、コミックマーケット(コミケ)1回の開催で、
グッズ、書籍の売り上げが約140億円になるという巨大市場です。
この分野は、世界第2位、年間12兆円の市場規模を持つ
日本のコンテンツ産業のすそ野を支える役割も担っています。

 しかしTPP加入で二次創作が厳格に規制されれば、
コミケに代表される二次創作の市場は大きく縮小されることは
避けられません。
コミケ自体は存続できても、そこに並ぶ二次創作物
(同人誌や同人ゲームなど)について、
出展サークルの売上規模によって著作権侵害が問われることとなり、
創作物の数や規模、サークルの出店数に
大きく影響することが推測されるのです。

 これについては出版関係者からも懸念の声が上がっています。
というのも、オリジナルの作家や出版業界としても
「二次創作は原作のファン活動の延長」とみる向きが大きく、
作品やジャンルを盛り上げる側面もあると考える人が多いからです。

二次創作でなくても規制の対象に


 TPP参加国を見てみると、大人向け銃撃ゲームは
発禁のニュージーランド、
児童ポルノだけでなく反道徳マンガも単純所持禁止のカナダなど、
アメリカ以上に表現規制が非常に厳しく宗教色の強い国が多いです。
これらの国の基準に合わせて表現規制を統一された場合、
日本で許容されている多くの創作物
(ゲーム、ライトノベル、アニメなど)が規制対象とされ、
世に出てこなくなる可能性が高いのです。

 例えば日本を代表する人気作品である『ワンピース』は、
アメリカ版では銃や喫煙、流血のシーンが大幅に改変されるなど、
原作から大きく翻案された内容になっています。
 TPPに日本が参加すれば、『ワンピース』は
日本の原作版からこのような変更を強いられる可能性がでてくるのです。

課題が山積みのTPP参加


 二次創作だけでなく、アニメ・ゲーム業界そのものが
縮小する可能性が高くなるTPPへの参加。
 これによって、世界中で絶大な人気を博している
日本独自のアニメ文化が衰退し、
今まで築き上げてきた文化が凋落してしまうことは、
どうにかして避けたい事態です。


※1 親告罪
(出典 Wikipedia:https://goo.gl/vrH7ET )
親告罪(しんこくざい)とは、告訴がなければ
公訴を提起することができない犯罪をいう。
告訴を欠く公訴は、訴訟条件を欠くものとして判決で公訴棄却となる。

※2
(出典 経済産業省://goo.gl/ZlSA87 )
「海外22 カ国・地域のコンテンツ市場  基礎情報調査」※PDF

※3 日本の著作権法における非親告罪化
(出典 Wikipedia:https://goo.gl/loqJ6J )
著作権法における著作権侵害の処罰を親告罪ではなくすること。
つまり、著作権侵害事件を被害者(著作権者等)の
告訴を経ることなく公訴を提起できるようにするということを指す。
なお、親告罪においても、
第三者による告発や警察独自の判断による捜査、
あるいは現行犯逮捕などは非親告罪と同様であり、
告訴は強制捜査後に受理する場合もある。

※4 法定損害賠償
(出典 Wikipedia:https://goo.gl/ikdS9U )
私法上の損害賠償の一種であり、
与えられた損害の程度に応じて賠償額を算定するのではなく、
制定法の範囲内で規定するものをいう。
場合によっては侵害量の確知が困難もしくは不可能である
知的財産権・無体財産権侵害のように、
被害者が蒙った損害の正確な立証や算出が困難な不法行為に対し
法的救済を行うための具体的な賠償内容を予め法律で定めたものである。


 
 
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プロフィール

ジャパンコンサルティング株式会社
代表取締役 佐藤 亘(さとう わたる)

北海道出身 上場通信会社の取締役を退任後、35歳の時に世界40ヶ国を巡る旅へ。 約1年の旅の中で日本製品の需要と評価の高さを実感する。
帰国後、「日本と世界をつなぐ仕事」をしたいと言う思いから、
ジャパンコンサルティング株式会社を設立。

幅広いジャンルの商品70万アイテム以上を海外販売で取り扱い、
膨大なデータとノウハウを蓄積する。
その後、企業の海外WEB販売、販路開拓をさまざまな面から総合的に支援する事業をスタート、
多くの企業を、海外販路の拡大や売上大幅アップなどの成功へ導く。

現在は事業を拡大し、世界40ヶ国約400人に及ぶ各分野の専門家であるネイティブスタッフと連携して、
進出先の国やターゲット層に合わせた戦略の策定、ECサイトの企画・作成、
eBay、Amazonなどのマーケットプレイスにおける効果的な販売や集客、運営についての支援、
有力な販路開拓を効率的に探すための提案、海外販売の代行サービスなど、
日本企業の海外進出を具体的かつ全面的にサポートする事業を幅広く展開している。

「日本の売りたいと世界の欲しいをつなぐ」ための事業をさらに拡大中。

経済産業省、中小機構などセミナー開催、講演、メディア掲載多数。

ジャパンコンサルティング株式会社
Web Site : http://www.j-consulting.co.jp/
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