高齢化社会と労働市場

第4回

RAMP世代の活用法

 

前回のコラムでは、RAMP世代の就業意識と現実の雇用環境のギャップをテーマとしました。今回はRAMP世代の「就業形態の多様化」と「フリーで働くこと」について考えたいと思います。

■シニア人材の活用について

少し前からシニア労働市場に対する関心が高まっており、新聞や雑誌でも積極的に取り上げられています。SankeiBizでは「変わる雇用~シニアの選択~」という特集を組んでいます。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120830/mca1208300502001-n1.htm
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120831/mca1208310500001-n1.htm
最高齢アルバイトが80代のグローバルチェーン、定年後のドライバーを有効活用する大手宅配業者などシニア労働者活用について言及しています。これらの高齢化する労働市場に適応した就労形態の多様化は今後すべての経営者が直面する課題と言えます。

■人材業界の対応

またその一方で、私の所属している人材業界でも、高齢化する労働市場を弾力的に活用するためのサービスを提供する企業が増えてきています。直近では、顧問紹介、シニア派遣、シニア請負などいくつか新しいメニューが登場しています。

「顧問紹介」:大手企業の経営幹部、技術専門家など付加価値の高いシニア労働力を紹介するサービスです。
「シニア派遣」:50代、60代の人材派遣、これまで若年層や女性を主に派遣していた会社が高齢の登録者を掘り起こして派遣しています。
「シニア請負」:顧客企業から業務委託を受けた仕事をフリーの独立事業主(インデペンデントコントラクター)に発注するサービスです。

まとめ

業態 サービス名 運営会社 URL
顧問紹介 顧問名鑑 レイス http://komonmeikan.jp/
i-common インテリジェンス http://www.i-common.jp/
顧問派遣 エスプール http://komon-haken.spool.co.jp/
The レップ エッセンス http://essence.ne.jp/lp/thereplp/
シニア派遣 マスターズ人材サービス パソナ http://www.p-masters.jp/index.html
シニア・プロフェッショナル派遣 リクルート http://www.r-staffing.co.jp/sol/contents/senior/index.html
マイスター60 http://www.mystar60.co.jp/
シニア請負遣 RAMP ジーニアス http://www.genius-japan.com/ramp.html
かじワン 高齢社 http://www.koureisha.co.jp/

これまで60歳以降の就業者に対する人材業界のアプローチはアウトプレイスメント会社の再就職斡旋が大半で非常に限定されていました。中長期的にはエイジフリーな雇用社会が到来することが期待できますが、そうなる前の過渡期においては一時的に多くの高齢者が職に就けない状況が生まれます。人材業界はこの労働市場の不均衡を打開するためのサービスを提供し、雇用社会のインフラとして機能しなくてはならないと考えています。

■労働市場:RAMPの活用事例

さて、ここからは実際の活躍するシニアの事例について紹介したいと思います。
技術者Aさんは55歳、リーマンショック後の2009年に大手機械メーカーを早期退職、技術コンサルタントとして独立しました。現在4-5社の技術顧問契約を締結する個人事業主です。当初は営業活動に非常に苦労されていましたが、人材業界の提供するサービスを活用することで、新しいクライアントを獲得、個人事業を軌道に乗せています。

(1)大手化学品メーカー:半導体関連事業部の生産技術革新
3泊4日×2回/月、パイロットプラントにおける特殊プロセス(装置含む)を開発支援することで大幅な歩留まり低減を実現した。依頼元の企業が20年来抱えていた課題を解決した。

(2)中堅化学品メーカー:新規事業の教育研修
2回/月、特殊領域の基礎技術~応用開発にいたるコンセプトと、実際の開発支援を行った。

(3)精密機械メーカー:中期経営計画における自社技術評価資料の作成案件
4回/2か月、基礎技術・応用技術・該当商品をそれぞれ評価し、株主総会で発表する中期経営計画向け資料を作成した。

Aさんは1日のコンサルティングの準備に2,3日をかけ、現役時代の専門知識を活かしつつも目の前のクライアントの課題を現在進行形で理解してソリューションを提供しています。クライアントの満足度は非常に高く、多くのリピートオーダーを獲得しています。

■フリーで働くということ

Aさんのような個人事業主が事業を軌道に乗せるハードルは一般的には高いと考えます。現役時代の人脈は会社の看板に紐づいていたものも多く、いざ独立した場合には商売につながらないことが多く、また与信管理やコンプライアンス上の基準で個人事業主へのアウトソーシングが叶わない場合もあります。
加えて、いざコンサルティング開始後もいくつかのトラブルが見受けられます。契約の範囲があいまいで結果的に非常に安い費用で業務を行うことになる、コンサルティング先で自身の経験を押しつけてしまう="教えてやる"という姿勢にクレームが付き契約途中で終了になるなどです。

定年後フリーで独立したAさんの成功の秘訣を整理すると以下の通りです。
① これまでの人脈に依存せず積極的に外部サービスを活用すること
② 自営と派遣/パートタイムの仕事を掛け持ちして、所得を確保すること
③ 契約の際にはプロフェッショナルの助言を受けること
④ 自分のこれまでの経験を過信せず、準備に十分な時間をかけること

もしもあなたが定年後独立を考えているのであれば、定年2,3年前から外部サービスとコンタクトを取るなどの準備は必須だと考えます。

次回はRAMP世代を外部リソースとして活用して成功しているいくつかの企業をご紹介したいと思います。

 
 

プロフィール

サーチファーム・ジャパングループ
ジーニアス株式会社
代表取締役社長 三上 俊輔

弊社は、独立系のエグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社から「組織戦略及び技術コンサルティング事業の分社化」を受けて、 2011年4月にジーニアス株式会社として発足致しました。現在国内外の大手製造業、新興IT企業の「経営戦略、事業計画の策定のサポート」、「人材・組織戦略の提言」、「人材採用、ヘッドハンティング」の各種サービスを提供しています。また、RAMP(=Retirement Age to MissPension、年金受給前の定年世代)の労働市場構築に向けた求人求職サービスの運営を行っています。

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