高齢化社会と労働市場

第1回

RAMP Retirement Age to Miss Pension ~定年後年金受給前世代

 

みなさん、はじめまして。わたしはジーニアスという会社でシニア市場を対象とした人材ビジネスをしています。本連載では「高齢化社会と労働市場」をテーマに、2030年までにどのような変化が起こるのか予測をしてみたいと考えています。

1. 高齢化社会到来、労働市場で今何が起こっているのか?

■日本の総人口の変化

日本の総人口は1億2762万人(平成24年2月1日)、その内65歳以上の高齢者人口は過去最高の3005万人で、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は23.6%。65~74歳人口(前期高齢者)は1518万人(11.9%)、75歳以上人口(後期高齢者)は1487万人(11.7%)です。
もう既に4人に1人が高齢者という社会であることは皆さんもご存知だと思います。なお、0歳~14歳までの年少者(1665万人)を除くと、15歳~64歳までの生産年齢は8090万人となり、2,7人の勤労者が1人の高齢者を支える構図となっています。

■2030年の人口ピラミッド

2030年の人口ピラミッド

2030年というのは団塊の世代(1947~49年)がもれなく80歳を超える年であり、また段階ジュニア(1971~74年生まれ)が60歳に差し掛かる高齢化社会における節目の年といえます。毎年国立社会保障・人口問題研究所という機関が「日本の将来推計人口」という白書を発行していますが、その資料(平成24年1月推計)によると2030年の日本は、総人口1億1662万人、総人口に占める65歳以上人口は3685万人、高齢化率31.6%です。
この頃には総人口もいくらか減少し、3人に1人が高齢者という社会が間違いなくやってきます。残念ながらこの人口動態は平均余命や出生率など長年のデータの蓄積で計算されているので大きく外れることはありません。
なお、人口推計では1.7人の勤労者が1人の高齢者を支える構図となるようです。

■経済と労働力率の関係

さて、ここで経済と労働力率の関係性について考えます。労働力率とは、総人口当たりの労働者数であり、労働力率が高い社会というのは、働いている人の割合が働いていない人よりも高い社会となります。高度経済成長期の日本社会は労働力率がどんどん上昇し、働き手が増えることでGDPが上昇し、経済に対してプラスに作用しました。しかし、今後高齢化していく日本社会は、この労働力率が低下し人口に占める養うべき人口がどんどん増加する局面にあります。そのため1人当たりの所得は低下し、人手不足が進行し、働く人々が担う社会保障などの負担が重くなります。

■社会保障給付費の現状

社会保障給付費の現状

社会保障給付費とは、ILO(国際労働機関)が定めた基準に基づき、社会保障や社会福祉等の社会保障制度を通じて、1年間に国民に給付される金銭またはサービスの合計額です。その推移はグラフを見れば明らかですが、人口構造と密接に関連しており、高齢化に伴い総額も上昇しています。特に年金の上昇は著しく、年金制度の抜本的改革がなければ増加の一途を辿ることが予想されます。

■改正高年齢者雇用安定法

社会保障給付費増大に伴い公的年金の給付開始時期が60歳から65歳に変更されました。労働市場においては、高年齢者雇用安定法が改正され、政府は企業に従業員を60歳から65歳まで働かせるような施策を講じるよう指導しています。この法律は2013年4月1日までに遂行することが義務付けられています。来年の4月2日以降に60歳定年を迎える人は、その時点で年金支給がゼロになるため、まさに救済措置という位置づけです。
その結果、企業は、①定年制度の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制度廃止のいずれかの措置を講じることになりました。
なお、財政は逼迫しており、今後も随時給付開始年齢が引き上げられることが予想されます。そのときにはまた定年を延長するのでしょうか。私は多くの企業で従来型の定年制度を運用することが難しくなり、定年制度そのものがなくなっていくのではないかと考えています。

次回は高齢化する労働市場における定年前後の諸問題について検討を深めたいと思います。

 
 

プロフィール

サーチファーム・ジャパングループ
ジーニアス株式会社
代表取締役社長 三上 俊輔

弊社は、独立系のエグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社から「組織戦略及び技術コンサルティング事業の分社化」を受けて、 2011年4月にジーニアス株式会社として発足致しました。現在国内外の大手製造業、新興IT企業の「経営戦略、事業計画の策定のサポート」、「人材・組織戦略の提言」、「人材採用、ヘッドハンティング」の各種サービスを提供しています。また、RAMP(=Retirement Age to MissPension、年金受給前の定年世代)の労働市場構築に向けた求人求職サービスの運営を行っています。

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