チームが元気になる!エンパワーメント会話術

第4回

部下に安心感を与えるカギは「話す」よりも「聴く」姿勢!

齋藤 実央 2016年5月30日
 
前回のコラムでは、部下や後輩が自己効力感を持っていきいきと仕事にチャレンジするためには、「以前と比べて、何がどのぐらいできるようになっているか」を上司や先輩が言葉にして伝えることが大切だと書きました。今回は、「どのような言葉を掛けるか?」ということ以上にカギとなる「どのように聴くか?」という姿勢について、エンパワーメントという視点からお伝えします。

たとえば、部下が仕事に集中できておらず、凡ミスが何度かあったとします。その時、「やる気がない」のが理由だと考えると、「もっとやる気を出して!しっかりしろ」と頭ごなしに叱ってしまいがちです。
しかし、もしかすると家族やプライベートで悩み事があり、業務に集中できていないのかもしれません。もしくは、仕事の締め切りに追われて寝不足なのかもしれません。ひょっとすると友人と比べて自分のキャリアに焦ったり、不安を抱えたりしているのかもしれません。
何が本人の集中や自信を削いでいるのか、要因を理解しないままに叱ったり指導をしたりしても、良い解決にはつながらないでしょう。

部下がいったいどこに行き詰っているのか理解するために必要なのは、まずはしっかり部下の話を聴くことです。「上司にきちんと話を聴いてもらえる」という安心感があれば、抱えている悩みや不安について部下の口から素直に話せるかもしれません。そして、「話を聴いてもらえた」ということで気持ちが落ち着き、自分自身で冷静に問題を整理する一助にもなるでしょう。

この時、大切なのは、特に意識せずとも音が耳に入ってくるという意味の「聞く」(英語では"hear")ではなく、相手に関心を持ち耳を傾けるという意味の「聴く」(英語では"listen")という姿勢です。

ただし、職場での上下関係がある場合、「こんなこと言ったら上司に叱られるに違いない」という恐れが先に立ってしまうと、部下はますます心を閉ざし、本音を話さないでしょう。ですから、話を聴く時には、部下の不安感をなくすために、最初に次の3つのことを伝え、実行しましょう。

①まずは話を最後まで聴く(途中で意見や判断をはさまない)こと。
②ここでの話は人事的な評価や判断には影響しないこと。
③部下が話したことは、絶対に外に漏れないこと。

もちろん、言葉だけでなく態度で示すことも同時に必要です。「何でも話していいよ」と口では言いながら、明らかに苛立った態度を見せたり、部下の人格を否定したりするような発言を途中でしたりするようでは意味がありません。また、「ここだけの話」のはずが他の社員にゴシップ的に伝わってしまうと、上司や組織そのものに対する不信感が募り、ますます仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。また、ほかの人に見られない・聞かれない部屋で話を聴くなど、環境面での配慮も求められます。

部下が何らかの理由で自信を失っているときには、最終的に部下自身の力で困難な状況を打破できるよう、まずは上司が「聴く」姿勢を言葉と態度の両方で示し、安心できる環境を用意するようにしましょう。


【イベント告知】
※本コラムで紹介した「自己効力感」をテーマに、弊社で6/17(金)夜に対話イベントを行います。関心のある皆さまとお話できればと思っております。 http://www.innovations-i.com/shien/event/1740.html
 
 

プロフィール

株式会社エンパブリック
齋藤 実央(さいとう みお)

首都大学東京卒業、英国・ヨーク大学修士課程修了(シティズンシップ教育)。 日本赤十字社で青少年教育プログラム等に従事し、大学院留学を経て2015年10月エンパブリックに入社。 各種ワークショップの企画・広報・運営を担当。 セルフエンパワーメントを促す教育的アプローチや環境づくりをテーマに、研究と実践を続けている。


HP:株式会社エンパブリック

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